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2021.04.10

第3回

【図解】機械式時計はどうやって動いてる?

機械式時計のムーブメントは100を超えるパーツで構成されていますが、どんな風に力が伝わっていくのでしょう? 正確な時間を表示できるのはなぜ? パーツの説明をしながら、その仕組みに迫ります。

CREDIT :

イラスト/林田秀一 文/高井智世

ゼンマイのほどける力が針に届くまで

第1回目で「機械式」の特徴は、“巻き上がったゼンマイのほどける力で動くもの”とお伝えしました。では、具体的にその力がどう機械を動かすのでしょうか? 時計の針に力が届くまでの基本の仕組みを図解します。腕時計の記事でよく目にするパーツの役割も、これで丸わかり!

まず、巻き上げた力はどう伝わる?

機械式ムーブメントから受け(パーツを固定するためのパーツ)や自動巻きローターを外すと、その内部には歯車などの細かなパーツがひしめき合っています。その中でも、手巻き/自動巻きに関わらず、巻き上げた力を蓄えるのは、ゼンマイを収めた「香箱車」というパーツです。

ゼンマイの力を回転運動に変換する香箱車を起点に、そこから連なる歯車機構がエネルギー伝達を行うことから、香箱車は別名を「1番車」といいます。

歯車機構は一般的に「香箱車(1番車)」「2番車」「3番車」「4番車」で構成され、その順番にエネルギーが伝わっていきます。この機構は「輪列」と呼ばれます。

それぞれの歯車は、次に続く歯車の軸回りに設けられたカナという固い部分とかみ合いながら回転数を増幅させ、2番車は1時間に1回転、4番車は60秒間に1回転します。ここから分かるように、2番車には分針、4番車には秒針が取り付けられ、時間が表示されるのです。なお時針は、2番車の同軸上にある12時間で回転する歯車に取り付けられます。

本来、ゼンマイの力がそのまま伝わると歯車は猛スピードで回転し、エネルギーはアッという間に使い切られてしまいます。そこで、力を定量化するパーツが「ガンギ車」「アンクル」「てんぷ」です。
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コレが機械式時計の心臓部!

まず、4番車の回転を引き継ぐのが「ガンギ車」。ガンギ車の特殊な形の歯は、「アンクル」のふた股に分かれたアームの爪(入り爪&出爪)に対応したもの。回転するガンギ車の歯が、左右に反復運動をするアンクルの爪に当たることで、輪列からのエネルギーを一定量ずつ放出できるのです。この働きを「脱進」といい(ガンギ車とアンクルは「脱進機」と総称されます)、このメカニズムが腕時計のチク・タク……という音の発生源です。

この脱進機で調整されたエネルギーを正確にコントロールして循環させるのが、「調速機」である「テンプ」です。テンプは振り子の等時性を応用したもので、アンクルから伝わるエネルギーを、テンプに取り付けられた渦状の「ヒゲゼンマイ」が収縮と拡張運動を繰り返すことで左右の往復運動に変換します。

その力が、テンプに取り付けられた「振り石」からアンクルに戻り、アンクルをリズミカルに左右交互へ動かし、そしてガンギ車へと戻されていくのです。ここで大切になるのが、いかにそのリズムが一定であるかということ。テンプは1秒間に5~10回など規則性を持って正しく振幅し、輪列機構はそれをベースとして1秒、1分、1時間を正確に刻みます。
▲ A. ランゲ&ゾーネの自社製手巻きムーブメントCal. L051.1。
▲ A. ランゲ&ゾーネの自社製手巻きムーブメントCal. L051.1。
そんな心臓部とも呼べるテンプですが、「テンワ」(テンプを構成する輪状のパーツ)に小さなパーツが付いているのを目にしたことのある方もいるのでは? 

それは「チラネジ」というネジ状のウエイトで、テンワの重量調整をし、精度の狂いを細かく補正するためのもの。現在では素材や加工技術の進歩によって飾り要素として付けられている場合もありますが、チラネジが付いていたら高級ムーブメントと認識して問題ないでしょう。

■ お問い合わせ

A. ランゲ&ゾーネ 03-4461-8080

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