2017.12.11
腕時計デザインの常識を覆した、ルイ・ヴィトン「タンブール」の魅力とは?
誕生15年目を迎え、いまや世界的人気を博すルイ・ヴィトンのウォッチコレクション「タンブール」。人々を魅了し続ける秘密を、高級腕時計専門誌『クロノス日本版』編集長・広田雅将氏にたずねた。
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写真/照内 潔 文/福田 豊
では、そんなタンブールの魅力はなにか。高級腕時計専門誌『クロノス日本版』編集長・広田雅将氏と、LEON.jp編集長・前田陽一郎が対談を行なった。
「タンブールが登場したのは、僕がLEONに入るちょっと前ぐらい。初めて見たときは『また、変わった時計が出てきたな』と思ったんです。でも、15年が経ったいまになると、これはタイムレスなデザインなのかな、と。実際、友人が2006年ごろに買ったタンブールをいまも着けていて、つい先日それを見たとき、改めて格好いいと感じたんですね。タンブールって、登場したときには、時計界ではどんな評価だったんですか?」
タイムレスなデザインの鍵はどこに
「時計のケースには、そもそも二律背反のようなところがあるんです。ケースが薄いと装着感はよいが、目立たない。そこで目立つように立体的にすると、装着感が悪く、横からの見た目が間延びする。時計界はこの相反する難題と常に戦い続けてきたんです。
そしてその矛盾を打開し、薄い時計に立体感を盛り込むことに成功した最初の例が、おそらく1972年のジェラルド・ジェンタによるロイヤル オークのデザイン。ベゼルを立体的にすることでケース全体を立体的に見せました。
ところが1980年代の終わりごろになると今度はケースサイドを立体的にする方法論が登場します。それは主に使用されるムーブメントが厚くなったから。通常、ケース厚はムーブメント厚の約2倍といわれます。約8mmもの厚みのムーブメントを収めるために生じた間延び感を解消するには、ケースサイドを立体的なデザインにせざるを得なくなったのです」
時計デザインの難題を打破した"奇妙な"デザイン
「薄い時計は立体感を与えないといけない。厚い時計は間延び感を与えてはいけない。そのアンビバレンスみたいなものをどうすればよいか。タンブールの面白さ、偉さは、ベゼルレスでケース上端に“LOUIS VITTON”の文字を入れたこと。普通ならケース下より上の径が小さいと間延び感が出てしまうのを、文字で上手く解消しました。
それと同時にこれならケースを厚くも薄くもすることができる。一見奇妙に感じたけれども、薄い時計に立体感をもたせ、厚い時計の間延び感を消す、上手いデザインだったのだな、と今は感心しています」
今年、新たに踏み出された次なる一歩
「タンブール ムーンで面白いのが、時計部門の責任者のハムディ・シャティさんが『遠くから見るとケースが膨らんでいるのか凹んでいるのかわからなかった』といっていたこと。それで『このデザインならタンブールの新しいバリエーションになれる』と思ったのだそう。そこが違うフォルムでありながら、同じタンブールのDNAを受け継いでいる、ということなのでしょう」
正面からも、横からも。無二のデザイン
「あともうひとつ、重要な点がベルト(ストラップ)。ルイ・ヴィトンのアイコンであるモノグラム・モチーフやダミエ・パターンを使うなど、これも一目でわかるデザインにしているのが凄い。ベルトにアイコニックなモチーフを入れるというのは、ほかの時計ブランドにはできないこと。これもタンブールの大きな強みですよね」
「そして今年はベルトがワンタッチで交換できるようになった。しかもその新しいベルトがこれまでのモデルにも付けられて、だからタンブールの優位性はさらに広がっていくことになる。そんなふうにケースとベルトだけで充分に個性が出せて、ある意味、アクセサリーのように楽しめる時計って、タンブールぐらいじゃないですか?」
イエローなどの鮮やかな色使いもタンブールならではの長所。自社で製造されるダイヤルの仕上げや発色の素晴らしさも注目点だ。
新作のタンブール ムーンはケースバックがトランスパレントに変更。ムーブメントを覗き楽しむことができるようになった。
ワンタッチで交換可能の新型ストラップも今年の大きな話題のひとつ。取り付け部は炭素繊維強化プラスティック製で、軽く、硬く、耐久性に優れている。
イエローなどの鮮やかな色使いもタンブールならではの長所。自社で製造されるダイヤルの仕上げや発色の素晴らしさも注目点だ。
新作のタンブール ムーンはケースバックがトランスパレントに変更。ムーブメントを覗き楽しむことができるようになった。
ワンタッチで交換可能の新型ストラップも今年の大きな話題のひとつ。取り付け部は炭素繊維強化プラスティック製で、軽く、硬く、耐久性に優れている。
広田雅将
1974年生まれ、大阪出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍し、2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。また、一般・時計メーカー・販売店向けなど、幅広い層に対して講演も行う。
高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]
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ルイ・ヴィトン クライアントサービス/☎︎ 0120-00-1854
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