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2018.06.27

専門家が選ぶ10万円で満足度200%な腕時計5選

お手頃価格な腕時計にだって実は、語りドコロがたくさんある! 5人の時計ライターに「アンダー10万円で買うとしたら?」を質問し、オススメの一本を選んでいただいた。

CREDIT :

文/広田雅将、福田 豊、篠田哲夫、鈴木裕之、渋谷康人

価格と価値が必ずしもイコールではないのが腕時計の難しさであり、面白さでもある。もちろん、高級な時計には、複雑機構が搭載されていたり、途方もなく人の手がかけられていたりと、価格が高くなる理由がある。が、だからと言って"安い時計は悪い"には直結しない。お手頃でも、語りドコロがあって品質も十分な時計が実はたくさんあるのだ。

今回、5人の時計ジャーナリストにアンダー10万円の時計を選んでいただいたところ、普段は高級時計を付けている方でも満足できる5本が集まった。そもそも、高級時計だって、毎日同じものを付けていたのでは面白くない。コーディネートやその日の予定に合わせて時計を選ぶのも腕時計の楽しみ方のひとつのはずだ。ハズしの一本として、アクティブに遊ぶ日の一本としてこんなモデルはいかがだろう?

『クロノス日本版』編集長・広田雅将が選ぶのは……

ストーヴァ「フリーガー ウェールス40」10万円

ドイツの小メーカーであるストーヴァ。「金属の魔術師」と言われるヨルク・シャウアーが社主だけあって、価格は控えめだが、ケースや文字盤の質は大変に優れている。もともとストーヴァの時計は大変にお買い得だったが、本作は一層値段が魅力的だ。
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「ストーヴァ フリーガー ウェールス40」自動巻き、SSケース(40mm)、カーフベルト、5気圧防水。10万円/ストーヴァ(スピンドル新丸ビル店)
定価はなんと、税抜きで10万円。しかし、ケースや文字盤はドイツ製だし、ムーブメントもスイスのETA製だ。加えて、上位モデルほど凝った仕上げはもっていないが、ブラスト処理で荒らしたケースや適度にツヤを落とした文字盤も、30万円クラスの質感をもっている。昔のパイロットウォッチのデザインを踏襲しているだけあって、視認性も◎。クルマで例えるなら、ポルシェ「ケイマン」の素モデルといったところか。
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第二次世界大戦時のドイツ空軍用という出自だけあって、伝統的なミリタリーウォッチのデザインをしている。インデックスと針にはスーパーミノルヴァが施され、夜光性なのもポイント。
最近、時計のトレンドはツヤありからツヤなしに向かっている。つまり、高級時計といえども、きらきら光るのは野暮、というわけだ。そういう意味で、外装すべてがつや消しの本作は、トレンドにドンピシャ合っている。

今の季節ならば、カラフルなNATOストラップに替えて、カジュアルに使うのはありだし、最近のヨーロッパのトレンドに倣って、あえてツヤ消しのクロコダイルやアリゲーターストラップを合わせるのも面白いに違いない。ブランド物で固めたなかにストリートファッションを入れるのと同じで、ベーシックな時計に豪華なベルトを合わせると、通っぽく見えるのだ。ちなみにケースの出来が悪いと高級なベルトに負けてしまうが、このモデルは決して見劣りしないのでご安心あれ。
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時計ライター・福田 豊が選ぶのは……

ミドー「コマンダー シェイド スペシャルエディション」9万4000円

古くからの時計ファンにとって、ミドーは1940~50年代ごろの小ぶりのクロノグラフや、指針式のカレンダーモデルなどが人気だったブランド。今年ちょうど創業100周年で、旧来のロゴ(筆記体)を復活させたアニバーサリーモデルがいくつも発表されたのが、いちファンとしてうれしかった。
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「コマンダー シェイド スペシャルエディション」自動巻き、SSケース&ブレスレット(37mm)、5気圧防水。9万4000円/ミドー(スウォッチ グループ ジャパン ミドー事業部)
これもそのひとつ。1959年に誕生したブランドを代表するコレクション「コマンダー」のなかでも特にマニアに人気の高い1979年のモデルを復刻したものだ。ケース一体型のミラネーゼブレスレットや、グラデーションのダイヤルなど、まさに70年代テイストの雰囲気が満載。10万円はオーバーしてしまうが、ローズゴールドカラーのモデル(11万7000円)もおすすめだ。
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37mm径と小ぶりなケースサイズなので、印象はクラシックかつエレガント。ダイヤルもシックな雰囲気で、スーツスタイルに合わせても、0ひと桁多いドレスウォッチと遜色ないだろう。

オリジナルのデザインを忠実に復活させた70年代テイストを活かして、当時らしいウエスタンシャツやデニムシャツの着こなしに合わせると、ジャストマッチで格好よく付けこなせるだろう。ミラネーゼブレスレットも目を惹く魅力のひとつなので、Tシャツ一枚で腕元コンシャスに着けてもお洒落にキマりそうだ。
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時計ライター・篠田哲夫が選ぶのは……

ハミルトン「カーキ フィールド メカ」5万3000円

メンズウォッチの進化の歴史を考えると、“ミリタリーウォッチ”が果たした役割はとても大きい。視認性が高く、頑丈で、精度が高く、しかも手にしやすい価格帯。つまりは“時計の理想像”を完璧に具現化したのが、ミリタリーウォッチなのである。
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「カーキ フィールド メカ」手巻き、SSケース(38mm)、テキスタイルストラップ、5気圧防水。5万3000円/ハミルトン(スウォッチ グループ ジャパン ハミルトン事業本部)
ハミルトン「カーキ フィールド メカ」は、アメリカ軍に納品されていたミリタリーウォッチの原点のひとつであるだけでなく、1940年代の雰囲気を今でも残している。つまり“本物の”ミリタリーウォッチということだ。いわゆる復刻ウォッチとは一線を画する価値があるので、10万円以下というこなれた価格でありながら、非常に魅力的。それは“本物”の魅力なのである。
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リューズを引くと秒針が止まる機能(ストップセコンド)は、現在で標準機能となっているが、当時の米陸軍では部隊全員が秒針を合わせてから任務に就くための機能として重用されていた。
“フィールド”というモデル名が示すとおり、ラグジュアリーなシーンより、アウトドアやスポーツなど屋外でアクティブに遊ぶ際に使うのが正解だろう。しかしミリタリーウォッチは、実はスーツにも似合う。というのもスーツのルーツは軍服にあり、ミリタリーウォッチをつけるというのは、文脈上は問題ないからだ。ハミルトン「カーキ フィールド メカ」はケースも小ぶりなので、ちょっとしたハズしのテクニックとして効果的だろう。“現代の戦士”であるビジネスマンにこそ、使って欲しい時計である。
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時計ライター・鈴木裕之が選ぶのは……

クロックツー「W35 ピュアブラック」9万1000円

個人的には、予算が10万円なら絶対にデザイン優先で決めたい。ということでオススメしたいのがこの一本だ。
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「W35 ピュアブラック」電池式、SSケース(35×35mm)、レザーベルト、5気圧防水。9万1000円/クロックツー(スイスプライムブランズ)
バウハウスの正統な後継者…といった端正な佇まいと、ミニマリズムにまず惚れた。2009年に登場したクロックツーは2018年から2代目に進化していて、ドットがダイヤル四隅にあるクロック同様のデザインになった点も高評価。特に35mmサイズは装着感が良い。

ダイヤルは110の文字列が並んだ意味不明なタイポグラフィーだが(これがカッコ良いんだけど…)、プッシャーを操作した瞬間に、意味のある言葉が浮かび上がる。例えば、今が7時26分ならば、「IT IS TWENTYFIVE PAST SEVEN」というワード表示+ドットの点灯がひとつ、といった具合。ケースや尾錠の質感もカッチリしていて仕事に抜かりはない。ちなみにプッシャー重ね押しで、永久カレンダーや秒カウンターも表示できる。
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無機質な印象に反して、製品はすべてシュウェビッシュ グミュンドの工房で職人による手作りだ。これで10万円アンダーはかなり値打ちもの。
使うシーンだが、まずビジネスでは避けた方が無難。というのもプッシャー操作をしない限り何も点灯せず、“チラ見”はまず不可能だから。さらに読み取り方にもヒトクセある。毎時34分までは、5分ごとのワード表示+ドット表示で1分単位まで読み取れるが、35分以降はカウントダウン方式に切り替わる。例えば7時34分は「IT IS HALF PAST SEVEN」+ドット点灯4点だが、7時35分から「IT IS TWENTYFIVE TO EIGHT」と変わる。つまり8時25分前だ。

理屈は分かるけど、瞬間的に読み取る自信はないから、大事なアポイントがある日は使わないだろうな。逆に“時間に縛られない時計”として休日には重宝できそうだ。
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時計ライター・渋谷康人が選ぶのは……

カシオ「G-SHOCK ORIGIN GMW-B5000D-1JF」6万円

G-SHOCKは世界のどこにも似たものがない、耐ショックという基本機能もデザインも、ひと目見て誰もが「G-SHOCKだ!」と分かる、日本が世界に誇るオリジナルな腕時計だ。なかでも今から35年前、1983年に誕生した初号機「DW-5000C」のスクエアデザインは永遠の定番。
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「G-SHOCK ORIGIN GMW-B5000D-1JF」ソーラー式、SSケース(49.3×43.2mm)・ブレスレット、20気圧防水。6万円/カシオ(カシオお客様相談室)
ただ、樹脂製のケース・バンドは数年間で劣化したら買い換えるもので、悲しいかな、愛着をもって使い込むことはできなかった。でもオリジナル(原点)のスタイルをフルメタル化したこのモデルなら「使い捨て」にならない。愛着をもって使い込める。さらに機能的にもスマートフォンリンクの搭載で大きく進化し、使いやすく、操作する楽しみをも備えているのだ。これで6万円というプライスは、満足度200%、いや300%だろう。
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アウトドアでのハードな使い方でもびくともしない、オリジナルモデルのタフさに加え、フルメタル化によって大人の腕時計にふさわしい存在感を兼備している。ポリッシュ仕上げされ美しくクールに輝くベゼルとブレスレットには、ほどよいラグジュアリー感もある。

だから、週末やフライデーなどのカジュアルスタイル、特にTシャツやポロシャツの腕元の良いアクセントになることは、改めて言うまでもないだろう。またメタルブレスレットなので、ビジネススーツにも完璧にフィットする。キラリと輝くそのフェイスで、パーティーウォッチやクラブウォッチとしても申し分ないし、思い切ってタキシードに合わせてみたって悪くない。つまり、実はどんなシーンでも映える、万能の一本なのだ。
※掲載商品はすべて税抜き価格です

■ お問い合わせ

カシオお客様相談室 03-5334-4869
スイスプライムブランズ 03-4360-8669 (https://www.facebook.com/jpqlocktwo
スウォッチ グループ ジャパン ハミルトン事業本部 03-6254-7371
スウォッチ グループ ジャパン ミドー事業部 03-6254-7190
スピンドル新丸ビル店 03-3211-5117

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