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2024.05.31

VOL.18 「電気自動車ってなんだ?」

BEVへと進化した、新型ポルシェ マカンと超レアな電動スポーツボートに試乗

2024年1月末にワールドプレミアされた2世代目ポルシェ マカン。タイカンに続くポルシェのBEV(電気自動車)第2弾となるモデルだ。

CREDIT :

文/藤野太一 写真/Porsche AG 編集/Web LEON

カイエンに次ぐ、人気モデルのマカンがBEVにモデルチェンジ

マカンは2014年に発売されたミッドサイズSUV。約10年の間に二度の改良を加えながら、つくり続けられてきた。2023年のポルシェの世界販売台数をみると史上最高のセールスを記録しており、モデル別にみればトップがカイエンの8万7553台、2位がマカンの8万7355台と、ほぼ同率一位といっていいほどに売れている。
ポルシェ マカン BEV
そんな虎の子(ちなみにマカンはインドネシア語で「虎」の意)をモデルチェンジするに際して、BEV専用車にスイッチするという。ポルシェはいま2030年までに新車販売の80%以上をBEVにするという戦略を掲げており、この新型マカンが急先鋒になるというわけだ。
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ポルシェ マカン BEV
4月下旬、新型マカンの国際試乗会が地中海性気候で1年をとおして温暖な気候で知られるフランス・ニースから少し南下したリゾート地アンティーブで行われた。実はフランスは新車販売におけるBEVの割合は15%超、PHEVを足し合わせるとおよそ21%にまで伸びている。実際に街を走るクルマに目をやると、フィアット500eやルノーゾエ、テスラモデル3などコンパクトBEVを多く見かける。一方で日本はBEV の割合は2%、PHEVを足しても約3%と状況は大きく異なる。
ポルシェ マカン BEV
▲ 試乗会場に並べられた新型マカン。標準色が13種類、スペシャルカラーは59種類を用意する。
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試乗の発着地点となるヨットハーバーに用意された今回の試乗車はベーシックな「マカン4」とハイパフォーマンスモデルの「マカンターボ」の2種類。この時点ではまだ未発表だが、追ってSやGTSなどといったモデルが登場するはずだ。

ここでサプライズが用意されていた。オーストリアのラグジュアリーボートメーカー「フラウシャー(Frauscher Bootswerft)」社とポルシェが共同開発したスポーツボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー(Frauscher ✕ Porsche 850 Fantom Air)」に試乗できるという。実はこれは新型マカンのパワートレインを使った電動ボードだ。
ポルシェ マカン BEV ボート
▲ 船首から船尾までの全長は8.67メートル、幅2.5メートル。電動化によって得られた広いスペースにより9人が乗車可能。
ポルシェ マカン BEV ボート
▲ フレームレスのアクリルガラス・ウインドスクリーンの後方に、ハイグロスブラックのインストルメントパネルを配置。ポルシェをイメージしたステアリングホイールは海水への耐性が高められている。
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スポーツカーのようなコーナリングのスポーツボートにも試乗!

内外装のデザインはポルシェが担当。ステアリングなどまさにポルシェそのもの。インストゥルメントパネル上部にレイアウトされた5基のアナログメーターは、911を彷彿とさせる。ボートのフロア下に新型マカン譲りの最新モーター、バッテリーを搭載している。もちろん音もなく滑らかに動き出す。

船によくある排ガス臭がまったくない。船酔いする人もこれならだいぶ軽減されるかもしれない。ボートはどんどん速度を上げていき、まるでスポーツカーのようなコーナリングを披露する。聞けばそこはクルマと同じで、電動化によって低重心かつモーターの推進力をラグタイムなく正確にコントロールできるため、従来のボートでは実現できなかった操縦感覚が得られるという。
ポルシェ マカン BEV ボート
▲ マカンターボと同一のモーター、100kWhのバッテリー、制御ユニットを搭載。ポルシェの800Vバッテリー技術を導入しており、11kWの普通充電と250kWの急速充電にも対応。巡航速度は22ノット(約41km/h)に設定で約45kmの航行が可能。速度をおさえれば、約100kmまで航続距離を伸ばすことも可能。最高速度は46ノット(約85km/h)。およそ2〜3時間の使用を想定している。
ファースト・エディションは25隻製作される予定。価格は56万1700ユーロ(約9400万円)から。予約注文はフラウシャー社を通じて行われる。取材時には残り8隻で、日本人で購入した人はまだいないということだったので、ご興味のある方はぜひ。
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ボートの試乗を終えて、マカンの試乗へとうつる。新型マカンの新しい骨格はアウディとの共同開発によるBEV専用の「PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)」と呼ばれるもの。アウディはこれを用いてQ6 e-tronを発表済み(国内は未発表)で、今度はVWグループの他ブランドにも展開されていくはずだ。
ポルシェ マカン BEV
▲ アウディとポルシェが共同開発したBEV専用プラットフォームPPE。パワートレインは、前後アクスルに電気モーター(永久励磁型PSM)を配置した2モーター式で4輪を駆動する。800Vアーキテクチャーを備えたPPEのフロアには総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーが効率よく敷き詰めている。
ボディサイズは全長4784mm、全幅1938mm、全高1622mmで、ホイールベースは2979mmと先代モデルより86mm延伸。そのためCd値は0.25とクーペのようなスタイリングから想像していたよりも室内空間にはゆとりがある。前後シートともに先代モデルより着座位置が低くなっており、後席は身長180cmの大人が座ってもしっかりとヘッドクリアランスが確保されていた。
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やっぱりポルシェ、なインテリアの進化にも注目

インテリアは、タイカンにはじまった最新のデザインの流れを汲んだもの。ダッシュボードは12.6インチの自立型メーター、10.9インチのセンターディスプレイ、オプションの10.9インチ助手席用ディスプレイが一体化したブラックパネルとなり、タイプ930の911のインテリアを彷彿とさせるT字型を強調している。
ポルシェ マカン BEV
▲ BEVだからとすべてをデジタル化するのではなく、スタート/ストップボタンをはじめ、エアコンのスイッチ類、オーディオのボリュームなど、アナログのコントロールエレメントを残しているのもポルシェらしいところ。
そしてラゲッジスペースも先代モデルよりも広くなっている。リアスペースは通常540リッターで、背もたれを倒すと最大1348リッターに拡大。そしてボンネットの下には“フランク”と呼ばれる容量84リッターのセカンドラゲッジコンパートメントがある。
ポルシェ マカン BEV
▲ マカン4は、最高出力285kW(387PS)で、オーバーブースト時には300kW(408PS)のパワーを発生。最大トルクは650Nm。0-100km/h加速は5.1秒、最高速度は220km/h。一充電走行可能距離は、613km。
まずマカン4に乗った。事前にセットされたナビゲーションの案内に従ってクルマを走らせる。夕方の渋滞するアンティーブの市街地を抜けると、ほど近くにあるモナコで開催されるモンテカルロ・ラリーのようなコースへと導かれた。大きくて重いクルマなのに、軽快な身のこなしで山岳路を走り抜けていく。BEVになってもポルシェはポルシェだと感じる。

翌日、ターボに乗った。昨日まではマカン4で十分と思っていたけれど、やはりターボはいい。アクセルペダルの操作に対して瞬時に反応する。まさに意のままといったところ。足回りは22インチタイヤ+エアサスの組み合わせだったが、乗り心地も洗練されていた。昨日と同様に山岳路での試乗だったが、さらにクルマとの一体感が味わえた。
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ポルシェ マカン BEV
▲ ターボは、最高出力430kW(584PS)で、オーバーブースト時には470kW(639PS)を発揮、最大トルクは1130Nmと4桁に到達している。0-100km/h加速は3.3秒、最高速度は260km/h。一充電走行可能距離は591kmとなっている。
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ポルシェ マカンを選ぶなら、そろそろ決断の時

実は当初マカンは、世界的に現行型のICE(内燃エンジン車)と新型のBEVを併売するとアナウンスされていた。しかし、欧州域内でサイバーセキュリティ法が施行されることになり、それに対応できないICEは、欧州のほとんどの国で販売終了になるという。ちなみに日本においても2022年から同様の規制が始まっているが猶予期間が与えられており、しばらくは現行型ICEと新型BEVが併売されるかたちになりそうだ。いずれにせよ、残された時間はそう多くないはず。マカンを検討の方、ICEかBEVか。そろそろ決断の時です。
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