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2024.12.26

アストンマーティン「ヴァンキッシュ」の3代目は新開発V12エンジン搭載で威風堂々!

ジェームスボンド007といえばのアストンマーティンが3代目「ヴァンキッシュ」を2024年9月に発表。世のなかが電気自動車へと向かうなか5.2リッターV型12気筒エンジンを新開発したという話題の一台をリポートします!

CREDIT :

文/小川フミオ 写真/Aston Martin 編集/高橋 大(Web LEON)

アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 大きなフロントグリルと大径ホイールが力強さを印象づける。
▲ 大きなフロントグリルと大径ホイールが力強さを印象づける。

最大の特徴は、新開発の5.2リッターV型12気筒エンジン。

世界的にオヤジさんの憧れが、映画『007』。007といえばのアストンマーティンが新型スポーツカー「ヴァンキッシュ」を2024年9月に発表。10月にメディア向け試乗会が開かれました。おみごと、な出来であります。

ヴァンキッシュは、今回で3代目になります。最大の特徴は、5.2リッターV型12気筒エンジン。なんと、世のなかが電気自動車へと(ゆるく)向かうなかにあって、新開発というまことに大胆なことをやりとげてしまったのです。

ボディは、側面から見たときの流れるようなシルエットに、ためいきが出るほど。より美しいスタイルが欲しいと、先代ともいえる「DBS」よりホイールベースを延ばしています。これも大胆、だけどクルマ好きにはうれしい英断です。
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アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 ダックテールと呼ばれるリアのスタイルが古くてあたらしい印象。
▲ ダックテールと呼ばれるリアのスタイルが古くてあたらしい印象。
あたらしいヴァンキッシュは、1950年代から60年代にかけての、世界中のコレクター垂涎のクラシック・アストンマーティンの特徴をうまく取り込んでいます。

ボンネットの造型しかり、フロントタイヤ背後のエアアウトレットしかり、後端がめくれるように持ち上がってリアスポイラーの働きをするダックテールしかり、すぱっと垂直に切り落としたようなコーダトロンカっていうリアエンドしかり、であります。

とりわけ、1956年の「DBR1」や、63年と64年の「DP212」「DP214」それに「DP215」(DPはディベロプメントプロジェクトの略)といった、レーシングカーを彷彿させます。
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アストンマーティンに数かずの名声をもたらした往年の名車「DBR1」。
▲ アストンマーティンに数かずの名声をもたらした往年の名車「DBR1」。

伝統的のスタイリッシュさがさらに進化

もちろん、そんなこと知らなくても、誰が見ても”いいなあ”としびれるスタイリングです。今回のヴァンキッシュは、リアの座席はほぼ使われていない理由に、「2+2」でなく「2+0」。後者のゼロとは、ひとは乗れないけれど、荷物が置けるスペースのことです。

「ヴァンキッシュは、ウルトララグジュアリーなパフォーマンスと、英国製スポーツカーのスタイリングを合わせたもの」。アストンマーティンでチーフクリエイティブオフィサーを務めるマレク・ライヒマン氏は、舞台になったサルディニアで語っていました。

いたずらに過激なデザインでなく、伝統的なスタイリッシュさを特徴とするアストンマーティン。今回のヴァンキッシュも、スーツ、似合うと思いますよ。オシャレしたデートにもいいかんじ。さすが英国製と感じさせるキャラクターです。
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アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 気持ちよくカーブをこなしていく操縦性に魅了される。
▲ 気持ちよくカーブをこなしていく操縦性に魅了される。
アストンマーティンの12気筒といえば、さきに触れたとおりDBSが搭載していた5.9リッターがありますが、今回は排気量を5.2リッターにダウンサイズ。CO2排出量をこうして抑えるいっぽう、パワーはなんと614kWに達します。

ドライブすると、このエンジン、すごいのひと言。1000Nmもの最大トルクが2500rpmから出ますから、発進からしてたいそう力強く、エンジン回転が4000rpmにさしかかるあたりから、ターボチャージャーが効きはじめて、怒濤の、というかんじで大パワーが後輪を駆動して、車体を押し出します。

クルマ好きのオヤジさんならわかっていただけると思いますが、12気筒のよさとは、トルク感。つまり、アクセルペダルを軽く踏んだだけで、すぐに加速していく力強さにあります。
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アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 12気筒搭載のDBSは2024年前半に生産終了。
▲ 12気筒搭載のDBSは2024年前半に生産終了。

ノングノーズ後輪駆動でもカーブは得意です

もうひとつはイメージ。ヴァンキッシュの開発にたずさわったアレックス・ロング氏は「COVIDが終わって、市場では、8気筒、できれば12気筒のニューモデルに乗りたいという声が高くなっていたのをかんがみました」と開発の背景を語ってくれました。

いつまで乗っていられるかわからない12気筒ゆえにいまこそ、という思いを持つクルマ好きが多いということです。ハイブリッドを含めた電動車にも魅力はあるものの、12気筒エンジンというぜいたくなイメージもまた大事なのですね。
アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 DBSのエンジンに徹底的に手を入れ性能をあげたV12。
▲ DBSのエンジンに徹底的に手を入れ性能をあげたV12。
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ヴァンキッシュはこの12気筒エンジンの大きさをまったく感じさせません。英国のスポーツカーらしくノングノーズの後輪駆動で、ドライブにしている自分はほとんど後輪の上に座るような、伝統的なレイアウトにこだわっていますが、操縦感覚はいたってナチュラル。

小さなカーブだろうとすいすいと曲がるし、カーブを抜けたあとのダッシュ力もたいしたもんです。スポーツカーでもっとも重要なパーツのひとつであるブレーキはたいへんよく効き、自分のからだがヴァンキッシュと合体したような感覚でドライブできます。
アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 流麗という印象のリアビューがたいそう魅力的。
▲ 流麗という印象のリアビューがたいそう魅力的。
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外板色と内装の仕上げは「Q by Asron Martin」というビスポークサービスが利用できるので、自分好みの選択が可能です。日本の方々は、白や黒のボディカラーに、やっぱり黒の内装の組み合わせを選びがちのようですが、せっかくの12気筒のアストンマーティンです。ここで紹介している試乗車のように大胆な選択もアリ、ではないでしょうか。

価格は、33万英ポンド。1ポンド=195円として、6430万円になります。アストンマーティンジャパンによると、日本での価格は販売店に問い合わせてほしいとのことです。
アストンマーティン「ヴァンキッシュ」 こんなふうに室内を仕上げられるのもアストンマーティンならでは。
▲ こんなふうに室内を仕上げられるのもアストンマーティンならでは。
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Aston Martin Vanquish

【SPEC】
全長×全幅×全高=4850×1980×1290mm
ホイールベース=2885mm
5204ccV型12気筒 後輪駆動
最高出力/614kW@6500rpm
最大トルク/1000Nm@2500〜5000rpm
8段オートマチック変速機
車重/1774kg
価格/33万英ポンド

アストンマーティンジャパン
HP/https://www.astonmartin.com/ja

● 小川フミオ

クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。

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