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2025.03.09

フォルクスワーゲン・ゴルフは噂のとおり生産中止となってしまうのか?

フォルクスワーゲングループはこの5年で約140万台も販売台数が減少し、昨年12月には大規模なストライキも行われた。この流れをうけて今年2月に、フォルクスワーゲンの未来に向けた計画が発表された。その注目すべき内容とは?

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文/藤野太一

2025年2月、フォルクスワーゲン(以下VW)が2030年までの未来に向けた計画を発表した。世界的に電気自動車(BEV)の業績が踊り場を迎えたといわれる中で、電動化をいち早く推進してきたVWは今後どこへ向かっていくのか。ゴルフは噂のとおり生産中止となってしまうのか。最新の情報をお届けする。
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VWグループとしての販売台数はこの5年で約140万台も減少

近年VWはBEVを主軸として製品ポートフォリオを構築してきた。2022年の時点で、2030年までに電気自動車の販売台数の割合を、ヨーロッパで少なくとも70%に、北米と中国で50%以上に増加させることを目指すと発表していた。

2024年のVW(乗用車)の世界販売台数は約480万台(前年比1.4%減)。ドイツ市場においてはシェア 19.1%を獲得し、マーケットリーダーとなっている。このうちBEV が占める割合は16.3%。2023 年と比較して2.8%の増加となっている。これだけをみれば決して悪い数字ではないようにも思える。
VWの電気自動車ブランド「ID」シリーズの第一弾となったハッチバックモデルの「ID.3」
▲ VWの電気自動車ブランド「ID」シリーズの第一弾となったのが、ハッチバックモデルの「ID.3」。VWグループのBEVとしては、「ID.4/ID.5」に続く量販モデル。2024年の販売台数は14万9100台。いまのところ日本へは導入されていない。
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しかし、コロナ禍、ウクライナ戦争以前の2019年の数字をみると、VWだけで約628万台、VWグループ全体では約1097万台と過去最高のセールスを記録していた。ちなみに2024年のVWグループとしての販売台数は約903万台(前年比2.3%減)、BEVのシェアは8.3%で販売台数は前年比3.4%減となっている。2019年比でみればVW単体で約140万台も減少しているわけで、それがそのままVWグループの数字に影響しているようにみえる。

こうした現状を打破すべくVWの経営陣が打ち出した策は、創業以来初めてとなるドイツ国内工場の閉鎖、それ以外の工場でも人員削減や従業員の賃金カットを行うというものだった。もちろんこれに労働組合は猛反発。昨年12月には大規模なストライキが行われたことは連日、日本でも報道されていたとおりだ。
クリスマスを目前に控えたタイミングで、どうにか労働組合との交渉は合意に達した。内容としては国内工場の閉鎖は見送り、一方で2030年までにドイツ国内3万5000人以上の人員削減、約73万台の生産能力が縮小されることになるという。単純計算であるがまだ約70万台の余剰生産能力があるわけで、そのギャップをこの数年で埋める必要があるというわけだ。
フォルクスワーゲン BEVのコンセプトカー「ID.2 All」
▲ 2023年に発表されたBEVのコンセプトカー「ID.2 All」。2026年の正式発売がアナウンスされた。ベース価格は2万5000ユーロ未満を予定。
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BEVを推しつつ内燃エンジンを搭載したニューモデルを続々投入

この流れをうけて今年2月に発表されたのが、フォルクスワーゲンの未来に向けた計画だ。ポイントを以下に抜粋する。

・2026年に小型BEV「ID.2all」を発売。ベース価格は2万5000ユーロ未満に
・2027年までに約2万ユーロのエントリーBEV「ID. EVERY1」を含む、9つのニューモデルを導入予定
・ウォルフスブルグの本社工場では次世代のBEV(「ゴルフ」と「T−Roc」)を生産予定
・内燃エンジンをもつ「ゴルフ」の生産拠点をメキシコへ移管
フォルクスワーゲン 「ID. GTIコンセプト」
▲ 「ID.2 All」をベースに発表されたのが「ID. GTIコンセプト」。現在、ポロやゴルフに設定されているスポーツモデル「GTI」のBEVバージョン。
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ゴルフは現行型の8代目が内燃エンジンを搭載する最後のモデルになるのではと噂されていたが、生産継続が決まったことはファンにとって朗報だろう。ただしメキシコへの生産移管となると北米とのビジネスにおいてはトランプ政権の関税政策が悩みに種にもなりそうだが……。
フォルクスワーゲン 最新の8.5型ゴルフ
▲ 日本にも導入がはじまった最新の8.5型ゴルフ。1月にはイメージキャラクターにディーン・フジオカ氏を起用したTVCMを公開した。
ゴルフは日本でも8代目のマイナーチェンジ版(通称8.5型と呼ばれる)が発売されたばかりで評価も上々だ。昨年には新型パサート、新型ティグアンとPHEVも含めて内燃エンジンを搭載したニューモデルが続々と投入されており、日本市場においてはもうしばらくは内燃エンジンモデルを主軸にしてビジネスを展開することになるのだろう。年内にはID.4に続く日本市場第2弾BEVとして「ID.Buzz」の導入が予定されている。
フォルクスワーゲン 新型パサート
▲ 新型パサートはこの世代からステーションワゴンのみのボディタイプとなった。1.5ℓのマイルドハイブリッドガソリンと2ℓクリーンディーゼル、そして140km以上のEV走行が可能なプラグインハイブリッドをラインアップ。
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フォルクスワーゲン 新型ディグアン
▲ 新型ディグアンでは、マイルドハイブリッドガソリンエンジン×前輪駆動と、クリーンディーゼル×フルタイム4WDをラインアップ。
フォルクスワーゲン 「ID.Buzz」
▲ 日本へ導入されるIDシリーズとしては、「ID.4」に続く第2弾となる「ID.Buzz」。かつて人気を博したバンタイプの「VWタイプ2」のデザインを復刻したBEV。今夏の導入が予定されている。
かたや本国としてはBEVを推す方針に変更はなさそうだ。ちなみに2024年のドイツ市場における販売台数トップ10のうちVWはなんと半数を占めている。車種は「ゴルフ」、「T-Roc」、「ティグアン」、「パサート」、「ポロ」である。いまのところ本国の皆さんも日本人と同様にどうやら内燃エンジン車がお好みのようだ。

BEV推しが悪いというわけではないのだけれど、小排気量エンジンに過給機を組み合わせた「TSIエンジン」で大排気量=エライという既成概念を打ち崩してきたVWなのだから、未来計画にも実は新しい内燃機の開発も粛々と続けていますけどね、とひとこと付け加えてくれたなら世界中のVWファンももう少し心中穏やかでいられると思うのだけれど。
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