ハイセンスなテック系アイテムを活用する
日々精力的にアップしている着こなしSNSでも、そのセンスの良さはもう明らか。そんなコーディネート達人に、今回は雨の日の装いについて伺ってみました。どうしてもテンションが下がってしまいがちなこの梅雨時。達人は一体どんなアイディアを盛り込んで実践しているのでしょう?
「昔は防水アウターと言うと、あからさまにソレっぽいルックスのものが多いものでした。しかし昨今は撥水など機能性を持たせながらスタイリッシュなアイテムも多数リリースされています。
つまり晴れの日でもフツーにお洒落な服。そういった機能派アイテムを幾つか用意しておくと、突然の雨でもいつものように自分らしく出掛けられるのです」
「いわゆるスプリングコートの一種であり、化繊の薄仕立てで非常に軽快に羽織れる一枚です。男性的なダブルブレストかつロング丈は、この季節ならではの薄着スタイルに重厚さを添える効果あり。
また撥水性あるロングコートは身体全体をカバーしてくれるので、雨の日に何かと便利です」
お洒落を語る上でサイズ感はマストです
「個人的な意見ですが、お洒落かどうかはサイジングやフィット感に掛かっています。今回は少し寛ぎ感を演出したかったので、ジャストサイズの44ではなく48のコートを選んでたっぷり感を意識しました。
そうすると袖が余るので、袖口を折り返してアクセントを付けてみたり。とにかく鏡を見て全身をチェックすることが大事だと思います。
日々着用感なども含めを確認することで、自分らしいジャストサイズや、適度なオーバーサイズの加減も見えてくるものです」
「いわゆるテック系素材のパンツであり、多少の水滴ならしみ込んだりしない素材です。コートと同様に化繊系のブラックで揃えているので、まとまり感あるルックスに仕上るところもポイント。
大きめのコートに合わせてパンツもワンプリーツモデルをチョイス。ゆとりあるフィットゆえに都会的なブラックスタイルでも、ストイックすぎない軽妙な雰囲気になると思います」
村上さんらしいポイントとして特に見逃せないのが、中に着込んだドレスシャツ。実は白色ではなく淡いピンクというのがお洒落です。
バグッタはデザイン要素を絶妙に取り入れる名手であり、ステッチの見えない小さめの襟や僅かに大きめのボタンなど、可愛げのあるデザイン性が気に入っています」
そして足下はニューバランスの1500UKでフィニッシュ。やはり一部で人気の900系だと丸っこすぎるのでしょうか?
単純に雨の日に革靴ではアレなので、スニーカーにしたかった。で、上着やパンツのテック系テイストに合わせて1500を選んでみたのです」
“抜き・差し”の加減が本当に絶妙な村上さん。ちなみにこのブラックコートスタイルは、しっかり雨が降っているシーンを想定した装いとのこと。そこでお次は雨が降ったり止んだりな時のコーディネートを披露していただきました。
30年物デッキシューズで作る小粋な梅雨スタイル
実はこのトップサイダーのデッキシューズが僕の定番雨靴なのです。もう、かれこれ30年くらい愛用しているかもしれません(笑)」
「そうです、だってデッキシューズですからね。中までズブ濡れになっても問題ないよう、素足ではいています」
この味出まくりのデッキシューズを軸に組んでいただいた“雨スタイリング”。村上節はどうやら素材選びにも込められているようです。
味わいと快適性を兼備した逸品素材がポイント
胸のダブルポケットからも分かるとおり、ミリタリー的なデザインが特徴です。シャツはコットンではなく100%リネン製。湿度の多い日でもベタッとならずドライタッチが楽しめます。
また襟ナシのバンドカラーは見た目にもスッキリしていながら、Tシャツほど子供っぽくも見えない。ボタンの開け具合で自在に雰囲気を変えられるところも便利なんです」
「はき倒し系のデッキシューズに合わせるパンツとなると、これもやっぱりドレスよりもカジュアルな一本となります。またミリタリーなアウターとの相性も考慮して、ホワイトジーンズをチョイスしてみました。そしてコレもまた30年ほど前に手に入れた、自家製ヴィンテージなアイテム(笑)」
30年履き続けていることも凄いことですが、30年間体型が変わらないのも実に立派。しかもまったく汚れていません。ポイントは自らカットオフした裾にあるとのこと。
何気ないけどすべてが計算された足下
そして30年もののカットオフジーンズが醸し出す濃い味わい。まさにプライスレスな境地に達しています。続けることでのみ達成するオレ流のカッコ良さが、この足下には凝縮しているんです。
● 村上忠正 (スタイリスト)
1969年、東京生まれ。21歳の時、当時スタイリストであった鈴木卓爾氏に師事しその後独立。メンズファッション誌やタレント、広告等でのスタイリングを中心に活動する。特にメンズの成熟したドレスコーディネートテクニックに定評あり。昨今は谷原章介氏のスタイリングを手掛けるなど、多忙を極めつつもSNSにて自身のコーディネートをアップし好評を博す。
Instagram/@tadamasamurakami69
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