「IWC」のヨットクラブは手に入れるなら今！ 瞬く間に中古市場から消える可能性も!?

世界を舞台に活躍するDJ田中知之（FPM)さんが自らの美意識に叶った「男の定番」をご紹介する連載。今回のテーマは……。

非常に着心地の良い、かと言って特にこれみよがしに主張することもなく、とてもさり気ない。言わば上質なシーアイランド・コットン素材の白いポロシャツのような腕時計、それがこのIWC（International Watch　Company）のヨットクラブだ。

IWCは１８６８年にスイスのドイツ国境近くの街で創業した。そのためか、ドイツの職人気質にも影響を受け、質実剛健な時計作りを続けるとても優良なブランドだ。ロレックスやパテック フィリップほどの知名度や、オーデマ ピゲのような華やかさもないが、昔から本物嗜好の紳士に根強い人気がある。特に70年代以前のヴィンテージは“オールドインター”の愛称で呼ばれ、独特の雰囲気を纏う。

そして60年代後半に登場したこのモデルは、そのペットネームのとおりヨット乗りのための腕時計。防水性の高いスクリューバック式ケースを採用し、IWCの独自のペラトン式の自動巻き機構で重みのあるローターを使用し、巻き上げ効率も良く、耐久性や仕上げの美しさにも定評がある自動巻き式ムーブメントであるキャリバー8541Bを搭載。

ムーブメントとケースの間にリングが入り、さらにラバーが付き、その構造が衝撃を吸収する設計だ。特にこのシルバー文字盤の個体はスポーツウォッチとしての堅牢性を持ち合わせていながらも、ドレスウォッチのような繊細さも漂う非常に使える一本だと私は思う。

しかもデザイナーは、パテック フィリップのノーチラスやオーデマ ピゲのロイヤルオークのデザイナーとしても余りにも高名なジェラルド・ジェンタ。実は僕も含めここ最近、この時計のオーナーになった時計好きの友人が何人もいる。というのも、この時計、ジェンタのデザインにしてはまだまだ知名度が低く、中古価格もとても手頃。探せばまだ20万円代で見つかったりする場合もある。比較的良い状態で残存する個体も多く、修理にも困らない。ただ、ちょっとしたきっかけで火がつけば、瞬く間に中古市場から消える可能性もあるかと思われる。

あとひとつ、僕がこの時計でとても気に入っているポイントがある。リュウズヘッドに魚のマークが入っているところだ。まぁ、これは古いIWCの防水モデル共通の仕様なのだが、白いポロシャツに例えたこの腕時計だけに、おぼっちゃま感漂うヨットというスポーツのイメージと相まって、ワンポイントの魚マークがとても有効ではないだろうか。

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