2018.06.01
永久定番の白Tは、なぜお洒落に欠かせないアイテムになったのか?
本来下着でありながら、大人の装いにも欠かせない定番となった白Tは、いつからファッションアイテムになったのか? さらに、いま大人はどのように着こなすべきか? そんな疑問に迫ります。
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文/竹内虎之介 イラスト/Isaku Goto
定番中の定番・白Tは、元々軍用品だった?
でも、ちょっとここで疑問を感じる方もおられるでしょう。そう、男が素肌の上に纏うものといえばシャツそのものじゃなかったの? なんでその下にさらに肌着を着るんだ?ということです。しかし、当時ヨーロッパの兵士たちが制服として身につけていたのは粗く織られたウールのシャツ。これが特に夏には不快だったんですね。それでシャツの下にもう一枚肌着を着たというわけです。
肌着からアウターへ
さらに、復員学生たちがこれを着続けたため若者の間で普及。大学ではアスレティックウェアとしても盛んに用いられるようになりました。時は1940年代、Tシャツは早くもアウターとして地位を手に入れたのです。
スポーツウェアからファッションアイテムへ
マーロン・ブランドは1951年公開の映画『欲望という名の電車』で、ジェームス・ディーンは1955年公開の映画『理由なき反抗』で白Tを着用。その格好よさで若者たちの心を鷲掴みにします。これは当時の大人にとっては、いまでは考えられないほどセンセーショナルなスタイルでした。なんせ肌に張り付く下着ですからね。1980年代にガーター姿でステージ立ったマドンナと同じくらいの、あるいはそれ以上の衝撃といえばおわかりいただけるかと。
しかし、どんなに大人が眉をひそめようとも、すでに巨大なマーケットの担い手になりつつあった若者の勢いは止められません。こうして白Tは若者の社会に対する反抗や異議申し立ての象徴として、ファッションシーンを席巻する存在となりました。同時に白T(&デニム)のファッション化こそが、男女の垣根をも超える新たなスタイルのスタート地点となりました。そう、ここからいまに続くカジュアルの歴史が始まったのです。
シンプルなアイテムゆえに微差こそ大差
どちらがいいかは体型や好みにもよりますが、襟ぐりの開き具合に関しては、その効能を考えて使い分けるというのもひとつの手。ただし、いずれにしてもシンプルを極めたアイテムゆえに微差が肝要、という点は現在も変わらぬ重要なポイントといえましょう。
日本人の着こなしのお手本はこの方!
では、日本人が参考にすべきは誰なのか? それが、日本人で初めてデニムをはいた男として知られる白洲次郎の着こなしです。彼のこなしも白T&デニム。やはりこのふたつは切っても切り離せないセットだったようです。で、その着方はというと、ボディにちょい余裕があり、襟ぐりもほどユルのTシャツにリジッドデニムという装い。
それをデニムではなく、ちょい腰ユルのグレスラと合わせ、腕元に上品ながらも華奢すぎないブレスレットなどをあしらえば、まさにいまどき。白洲次郎流白Tスタイルの現代版が完成するという次第です。
いまや性別を超えた定番アイテムとなった白Tにはこんな歴史があったのですね。「実は白Tってね……」と豆知識的に話せたらちょっぴり鼻が高いかもしれません。この夏も白Tとともにお洒落をお楽しみあれ!
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