


「フランスでは冬になると生肉を食べよう、と言うんですよ」
「実はぼく、生肉には少し抵抗があったんです。フランス料理をやっている以上、肉は加熱してソースをかけたのが料理だと思っていたんです。でも2004年にフランスへ渡り、11年も暮らしているうちにだんだん生肉が好きになって。フランスの人々はとても日常的に『タルタルステーキ』や「カルパッチョ』など生肉を食べるんですよ」
それはやはり専門店で?
「もちろん有名な肉料理店で、というのもありますが、カフェやビストロでもごく一般的に食べています。面白いのは、冬になると『生肉食べたい』と言い出す人が多いんですね。12月になって、クリスマスを控え、疲れてくると『タルタル食べたい』と。生肉はエネルギーとパワーを与えてくれる、と信じられています」
「シベリアや、アラスカに暮らす先住民族はカリブーやアザラシの生肉だけを食べていたことで知られていますね。他にも『タルタルステーキ』の発祥は中央アジア(現在のロシアやモンゴル辺り)のタタール人が食べていた生肉料理だと言われていますし、寒冷地と生肉は密接な関係があるのかもしれません」
タルタルステーキは最初、馬肉だったと聞きました。
「そうそう、いまも馬肉は生食しても安全な肉だとされています。そしてこのタルタルステーキを焼いたのがハンバーグになるんです。そう思うと、原始的な料理でもありますね(笑)」

心も身体もムフフ♡となるタルタルステーキ
「フランスの国民食だと思っています。ここ『セラフェ』はレストランだからいいお肉(この日は常陸牛のウチモモ・ソトモモ)を使いますが、フランスのカジュアルな店なら、その日に出た端肉を寄せ集めて叩くのが『タルタルステーキ』。鮨屋のちらしずしみたいな、と言えばわかりやすいでしょうか? サステナブルでしょ(笑)」

「これはコロナ禍中に誕生した改良型。かわいいでしょ(笑)。でも、きちんと意味もあって。生の牛肉を食べると元気になる、という話はさきほどしましたが、実は心にも効くんです。店にいらしたドクターから聞いたんですが、この赤い肉の色が男性ホルモンを掻き立てるんですって」

「そうなんです。だから98%のお客様がオーダーしてくださるんです。元気になりたいなら『タルタル』と『カルパッチョ』、これ間違いないですよ」


セラフェ
住所/東京都目黒区下目黒1-3-4 ベルグリーン目黒 B1F
電話/03-6420-0270
営業時間/12:00〜13:00(L.O)、18:00〜22:00(L.O)
休/日曜・祝日、月曜の不定休