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2019.09.26

「高価なワインをご馳走すればモテる」と勘違いしていませんか。

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

CREDIT :

文・グラフ/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

10月を目前にし、猛暑だったヨーロッパ各国のブドウ収穫状況も気になるシーズンです。
前回から始めたモテ理論の探求ですが、今回はワインモテ値について考察していきます。このワインモテ値の最大化こそが、モテるかモテないかの別れ道、ワインモテの根幹と言っても過言ではありません。言わばフィギュアスケートのフリー演技で最初の4回転ジャンプが決まるかどうかくらい重要ですので、しっかりと学びましょう。

モテるワイン道~ワインモテ値Mwの最大化

まず前回のモテ値の公式のおさらいです。

Mt=Mo+αMw

Mt: ある集団または個人を対象とするあなたの総合モテ値
Mo: あなたの基礎モテ値(=ワインが関係しない場合のモテ値)
Mw: あなたのワインモテ値(=ワインを絡ませることで変化するモテ値の増減分)
α: 対象とする集団または個人のワイピ度係数

前回は、このなかでワインモテ値Mwアップに成功すれば、基礎モテ値Moが必ずしも高いくないあなたにもモテチャンスがやって来るというお話でした。
それではMwはどうやってアップさせるのでしょうか? その答えは以下の式に隠されています。
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Mw=L値×P値 ・・・・・  [ワインモテ値の公式]

L値とはあなたが提供できるワインの豪華度(=Luxury) を指します。
有り体に言ってしまえば、どれだけ価値の高い・貴重なワインを相手に振舞えるかと言うこと。
その出どころがセラーのコレクションなのか、お店のワインリストなのかはあまり重要ではありません。
また必ずしも、L値が高いこと=こちらが全額ご馳走することとも限りません。たとえ会費制のワイン会だとしても、お宝ワインを良心的な会費設定で開催する場合にはL値はうなぎ登りとなります。

要は、相手にとってのネット換算でのコスパ(=コスト対比のワインの豪華度)が大切なのです。L値をアップするには財力が必須なので、際限なくこのL値に資金を注ぎ込める人はなかなかいません。しかし、上手くいったときの効果はテキメンです。上手く行きすぎてアリ地獄に嵌らないように(この話は別の回でくわしく反省します……笑)。
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L値とP値をバランスよく育ててこそ、ワインモテ度が上がります。
次に、P値とはあなたのワインプレゼン能力(=Presentation)、経済力ではなく工夫や気配りによる勝負です。

✔  TPOを考えたワイン銘柄やお店選びのセンス
✔ ワインのストーリーや蘊蓄を嫌味なく語れるスマートさ
✔ ワインの一緒に楽しむ相手に対する優しさ・思いやり
✔ 女性をカッコよくエスコートしてワインを楽しませる能力

など、言わばあなたのワイピとしての総合的な力量が試されます。
ワインスクールの人気講師や上級ワイピが振舞ったりすると、大して高価ではないワインでも不思議とありがたみを感じてしまうのはこのP値の高さによるものです。

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筆者自筆による解説グラフ。「名古屋の某氏」が気になる……
上のグラフに、MWA (平均的ワインモテ値)の場合の曲線を示してみましたのでご参照ください。ここで肝に銘じていただきたいのは、ワインモテ値MW がL値とP値の積算で決まるいうことです。ポイントは2つあります。

1). 掛け算ですから、いくらL値が高くても、P値がマイナスの場合、モテ値全体がマイナスになってしまい、空回りどころか逆効果になるということ。「いくら高価なワインでもあの人と飲むと酒がマズくなる」とか「どんな良いワインを飲むかではなく、誰と飲むかが大切。彼とだけは一緒に飲みたくない」なんて言われているP値がマイナスで残念な人、周りにいませんか?

2). P値を上げる努力をすると、L値を下げても同レベルのワインモテ値がキープできるということ。P値向上はお財布に優しくモテるための近道です。

賢明な読者の皆さんは、L値とP値両方の値をバランスよくとりながら、その最大化を目指してください。グラフで詳しく説明します。因みに、ワイピ界でも有名な名古屋の某氏などはL値とP値ともに突き抜けていますが、あまりにも異常値すぎて参考にならないのでここでは例外として扱います(笑)。小学生の野球教室で大谷翔平選手の例を出すようなものですから。

ワインモテ値MWの最大化いかがでしたか?
次回以降はワイピ係数αについて考えてみたいと思います。
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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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