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2023.09.01

「世界のベストレストラン50」SNAPリポート

バレンシアで開催、食の一大アワード「50 BEST」。集まった記者やフーディーはどんな装いだったのか?

今年6月、「The World’s 50 Best Restaurant」の授賞式がバレンシアにて開催されました。そこに集まったのは、各国のシェフやジャーナリスト、フーディーたち。彼らの装いに注目しながら、このアワードがどんな意味をもつのかご紹介します。

CREDIT :

文・写真/大石智子

The World’s50 Best Restaurant 授賞式

世界を食べ歩く出席者の装いにも注目!

前回の【シェフ編】に続いて、今回はジャーナリストやフーディーの装いをご紹介。フードトリップをするうえで、「The World’s 50 Best Restaurant」(以下50 Best)のリストは、現地での滞在を一層面白くしてくれるもの。アワードの参列者たちはそんなリストも活用し、国内外を食べ歩いています。そこで彼らには、最近の印象に残ったレストランも教えてもらいました。
コラムニストの中村孝則さん(右@officedandynakamura)とデジタルクリエイターのメリッサさん(左@supertastermel)。
▲ コラムニストの中村孝則さん(左@officedandynakamura)とデジタルクリエイターのメリッサさん(右@supertastermel)。中村さんの最近印に残ったレストランはポルトガル・リスボンの「Alma」でした。「歴史的な建築物の空間、料理、そして素晴らしいポルトガルワイン。バランスよくレベルが高い。これからリニューアルするとのことで、50ベストにはまだ入ってないですが、そのポテンシャルありかと」と称賛。
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涼やかな色合いの袴姿で目立っていたのは、「世界のベストレストラン50」日本評議委員長を務める中村孝則さん。

「宮古島伝統織工芸の“宮古織り”の生地で仕立てた着物と、絽の袴です。宮古島の伝統工芸センターを訪れた際に織られていた宮古織りなのですが、なんともいえない青の発色の素晴らしさに惹かれ、反物を購入して仕立ててもらいました」

フードジャーナリストの小松宏子さんとワイン講師の瀬川あずささんも、素敵な着物姿で登場。

「単衣を持っていなくて単衣が欲しかったので、今回のアワード直前に青山の八木さんで仕立ててもらいました。帯も同じく八木さんで、こちらは15年ほど前に購入しました」と小松さん。和装にエレガントさを添えるパールの指輪は結婚した時に祖母から譲り受けたもので、50年ほど前に購入されたジュエリーとか。
小松宏子さん(左@hiroko_mainichi_gohan)と瀬川あずささん(右@azusa.segawa)。小松さんは料理書の編集や執筆も多く手がけ、『茶懐石に学ぶ日日の料理』(後藤加寿子著・文化出版局)では仏グルマン料理本大賞「特別文化遺産賞」、第2回辻静雄食文化賞を受賞。瀬川あずささんは株式会社食レコ代表取締役、レピュニット・ラボ合同会社代表も務める。最近素晴らしかったレストランを聞くと、小松さんは東京の「SÉZANNE」、瀬川さんは京都の「Jean-Georges at The Shinmonzen」でした。
▲ 小松宏子さん(左@hiroko_mainichi_gohan)と瀬川あずささん(右@azusa.segawa)。小松さんは料理書の編集や執筆も多く手がけ、『茶懐石に学ぶ日日の料理』(後藤加寿子著・文化出版局)では仏グルマン料理本大賞「特別文化遺産賞」、第2回辻静雄食文化賞を受賞。瀬川あずささんは株式会社食レコ代表取締役、レピュニット・ラボ合同会社代表も務める。最近素晴らしかったレストランを聞くと、小松さんは東京の「SÉZANNE」、瀬川さんは京都の「Jean-Georges at The Shinmonzen」でした。
瀬川さんが着ていたのは親戚から譲り受けた墨流し染めの着物。「葡萄のように見える帯留めも気に入っています」と、ワインのスペシャリストらしいポイントもありました。ちなみに、墨流しは「水に墨(黒=苦労)を流す」という意味で縁起のよい柄。流線模様の生地の雰囲気にヴァレクストラのバッグが好相性でした。

おふたりの気品溢れる佇まいに、正装としての着物の魅力を改めて実感。職人の手作業による繊細な美しさは、日本の食の魅力にも共通すると、遠くスペインで思ったのでした。
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スパンコールのジャケットとキルト(スコットランド伝統のスカート)の組み合わせがお洒落だったのは、ロンドンのPR会社取締役のイヴァン・クリスポさん。ジャケットとシャツはASOS DESIGNS、キルトはNokoClub、靴はEMBASSY LONDONのCharlesでした。
ロンドン在住のイヴァンさん(右@ivan_crispo)と『FOOD & WINE Italia』編集長のフェデリコ・ディ・チェザーレ・ヴィオラさん(左@fededecesareviola)。イヴァンさんが最近印象に残ったレストランは、イタリア・トスカーナの「Lux Lucis」。
▲ ロンドン在住のイヴァンさん(右@ivan_crispo)と『FOOD & WINE Italia』編集長のフェデリコ・ディ・チェザーレ・ヴィオラさん(左@fededecesareviola)。イヴァンさんが最近印象に残ったレストランは、イタリア・トスカーナの「Lux Lucis」
「黒のキルトが一番気に入っています。夏にぴったりな手作りの男性用コットンスカートですからね」とイヴァンさん。黒の装いに足元のタータンチェックが小粋に効いています。

ピンクのミニドレスが人目をひいていたのは、ドバイでAppleのブランドマネージャーとして働くノーハ・フォケラデさん。ドレスは2019年にリリースされたジャンバティスタ・ヴァリとHMの限定コレクションでした。
ドバイ在住のフーディー、ノーハさん(@comme.des.gourmets)。ともにドバイにある46位の「Orfali Bros」と11位の「Tresind studio」へは何度も訪れたことがあり、「ドバイを訪れるなら絶対に外せないレストランですよ」とお薦めする。
▲ ドバイ在住のフーディー、ノーハさん(@comme.des.gourmets)。ともにドバイにある46位の「Orfali Bros」と11位の「Tresind studio」へは何度も訪れたことがあり、「ドバイを訪れるなら絶対に外せないレストランですよ」とお薦めする。
「夏向けの明るい色でご機嫌な雰囲気もあり、とても楽しいフランスのパティスリーを思い起こさせます。エリック・リペール(NY・Le Bernardinのシェフ)がこのドレスを褒めてくれて、幸運を祈ってくれたんですよ! 華やかでありながら真面目になりすぎない空気感が最高に好きです。私が死んだら、ジャンバティスタ・ヴァリのチュールで包んでほしいです(笑)」
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続いては50 Best認定の“テイストハンター(TasteHunter)”、セス・シェジさんをご紹介。テイストハンターとは、50 Bestの活動や最旬レストランの発信を託された、いわば世界選抜のグルメPR大使です。
中央がテイストハンターのセスさん。最近の旅先のお気に入りを聞くと、「ロンドンではAkoko、KOL、Kudu。ケープタウンではSalon、PIER、Salsify。ウィーンではSteirereck、NYではCosme、Atomix、Le Bernadineが好きです」とのこと。
▲ 中央がテイストハンターのセスさん(@seth_shezi)。最近の旅先のお気に入りを聞くと、「ロンドンではAkokoKOLKudu。ケープタウンではSalonPIERSalsify。ウィーンではSteirereck、NYではCosmeAtomixLe Bernadineが好きです」とのこと。
なんと無報酬ですが、各地の最新情報を得られ、シェフと交流しやすい立場となり、結果、食べる歩くことがもっと楽しくなっていく。遊びのプロを極めていくので、彼らのSNSは要注目です。現在、全世界で14名が選出され、日本からは唯一keisuiさん(@keisui)が任命されています。

世界を飛び回るセスさんは、ロンドンとケープタウンを拠点にするクリエイティブディレクター。ネイビースーツの差し色となっていたのは、オレンジのチーフとカクテルでした。この偶然の同色が格好よかった!

「オーダーメイドのスーツにトム・フォードのベルベットのボウタイとトム・フォードのサングラスを合わせました。お気に入りポイントはスーツの襟につけたピンです。デヴィッド・ベッカムとの旅行中にスコットランドで手に入れたもので、私にとって特別なもの。デヴィッドは私のスタイル・アイコンだったから、彼に会って一緒に仕事をすることになったのは私にとって大きな出来事。このピンはその旅行を思い出させてくれます」
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最後にご紹介するのは、旭酒造代表取締役社長の桜井一宏さん。同社は世界に誇る「獺祭」を掲げ、2022年から日本初のオフィシャルスポンサーとして50 BESTに参加しています。桜井社長が纏っていたのは、「銀座もとじ」の御召(御召ちりめんの着物)と、「獺祭」のロゴがさり気なく背に入った「Y.&サンズ」の法被でした。
日本酒を求める人が絶えなかった「獺祭」のブース。
▲ 「獺祭」をふるまう桜井社長。「獺祭」のブースはお酒を求める人が絶えなかった。
「こういう場所ではザ・日本じゃなきゃいけないと思いました。ロゴがあることで日本というアイデンティティとともに獺祭のアイデンティティを出しています。着物はシンプルだけど仕立てのよさが出やすくて、正装としてよいですね」と桜井さん。唯一の国内スポンサーとなった経緯も伺いました。
「このアワードではやはり日本のレストランが世界一になることを願っています。そんな風にみんなが応援していると思っていたら、国内のスポンサーが誰もいない。じゃあ僕らがまず後押ししようと参加を決めました。現地に来てみると、予想以上に世界中のシェフが私どものお酒を知っていたことがうれしかったですね。

その反面、知っていたとしてもお店に入れていないと分かり、宿題をもらいました。ただ、ここはシェフにとってお祭りの場。商売っ気を出さず、あくまで美味しいお酒で楽しく過ごしてもらう。僕らは純粋にレストランを応援し、結果的に飲食が盛り上がったら自分達にも意味があります」
「獺祭」のブースの隣をキャビアの「Kaviari」にした人は天才かと思うほどの好相性!
▲ 「獺祭」のブースの隣をキャビアの「Kaviari」にした人は天才かと思うほどの好相性!
「獺祭」が先陣を切ってスポンサーになったことは、他の日本企業への大きな足がかりとなるはず。生産者の立場から、「日本の食はまだまだいける」と話す桜井さん。そんな気概をどれだけ多くのジャンルの人がもち、食に携わる人をサポートするかも日本人シェフの国際舞台での活躍に影響するでしょう。
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会場でふるまわれた「Cinco Jotas」のイベリコハム。
▲ 会場でふるまわれた「Cinco Jotas」のイベリコハム。
今年のアワードのデザインイメージに合わせて作られたスタッフの衣装も素敵でした。女性のヘッドピースはバレンシアを拠点とするクリエイティブ集団「signne」が製作。
▲ 今年のアワードのデザインイメージに合わせて作られたスタッフの衣装も素敵でした。女性のヘッドピースはバレンシアを拠点とするクリエイティブ集団「signne」が製作。
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アフターパーティーに登場したシェリー「ティオ・ぺぺ」のブランドアンバサダー。
▲ アフターパーティーに登場したシェリー「ティオ・ぺぺ」のブランドアンバサダー。
以上で現地リポートを終了します。50 Bestを現在知らない人にとっても、このアワードはあながち人ごとではありません。晴れ舞台あってこそ、憧れの感情をもつ若手が生まれ、引き継がれるカルチャー、新たに生まれるカルチャーはあるはずだからです。来年も夏に開催予定の「The World’s 50 Best Restaurant」。インバウンドが完全復活したいま、日本勢の躍進にぜひ注目を。
The World’s 50 Best Restaurant

「The World’s 50 Best Restaurant」

大石智子(おおいし・ともこ)

● 大石智子(おおいし・ともこ)

出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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