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2024.07.04

【第2回】

「サイゼリヤ」は“お金じゃなくてセンス”が大事というLEON読者にこそ行ってほしい!

イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える企画です。

CREDIT :

文・写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)

マッシ massi   webLEON イタリア人 思考する食欲
「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」などで知られるイタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさんが、日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える連載です。第2回は彼が心の底から愛する、そのサイゼリヤについて。えっ、LEONでサイゼリヤ⁉
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価値のある料理は、価格で決まらない!

今日は読者の皆さんに、まるで友人の家に招かれたような心地よさを感じられる、ある場所を紹介しようと思っているんだ。僕はその場所が大好きで、話したいことが山ほどあるから聞いてくれる? それとも、一緒にいく?

それがどこかと言えば、そう、皆さんの期待通り(笑)、「サイゼリヤ」だ。僕が日本に来てよかった理由の一つは、間違いなくサイゼリヤだ。この店に足を運ぶと、いろんな料理の香ばしい匂いと、アットホームな雰囲気が出迎えてくれる。パスポートなしでいつでもイタリアの食旅行が楽しめるなんて、夢のようだ! 日本で活動しているイタリア人の僕を支えてくれて、まるで恋に落ちたような気分だよ。
サイゼリヤは僕にとって、ただ安いファミレスというわけではない。なぜかというと、イタリア人が大切にしている「シンプルさ」の中に隠れている、人生の輝きを教えてくれるから。そして、イタリア人にとっては間違いなく、居心地の良い場所だと僕は思っているんだ。価値のある料理は、価格で決まらない!
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▲ イタリアのトラットリア(大衆的なレストラン)はこんな感じだ。
たぶん、多くの人も同じだと思うけど、壁に飾られた絵画やイタリアの音楽、有名な観光地の写真に囲まれていると、心がワクワクして、気分が高まるよね! 実は、サイゼリヤの魅力はこれなんだ。サイゼリヤの内装は、イタリアのトラットリア(大衆的なレストラン)に近くて、気楽にワインから好きな料理まで注文でき、自分の家のようにまったりと過ごせる。まるで、おばあちゃんの家に帰ってきたような感覚。これが、本当に大事なポイントだ。僕はサイゼリヤの扉を開ける時、「Sono tornato!(ただいま!)」と言いたくなるよ。

そういうことで、無意識にサイゼリヤに行ってしまう僕は、なぜこうなるんだろうと考えた。そして気が付いたんだ! 一般的なレストランの「一度きりの美味しさ」より、「毎日楽しめる美味しさ」にこそイタリア人も、そして日本人も弱いってことに。
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シンプルさがもたらす楽しさを誰もが体験できる場所

サイゼリヤは、料理の味付けを控えて、油の使用を最小限に抑えることで、食後の胃に負担をかけず、健康的な食事を提供しているみたいだ。これは本当にありがたい話だよ。それぞれのメニューの隙間には、細かいこだわり感がある。ベジタリアンも(マルゲリータピザ、プチフォッカ、コーンクリームスープ、ガーリックトーストなど)、ヴィーガンも(ペペロンチーノ、ガーデンサラダなど)、心配なく楽しめる料理がたくさんある。それに、ダイエットをしている人にとっても最高の食事ができるよね。

それだけではない。人間にとって生きていくうえで欠かせないものは「酸素」だ。毎分毎秒吸っている酸素だけど、例えば、みんなは酸素に「飽きる」なんてことないよね? もし酸素にキャラメル味がついていたら、どうだろう。きっとキャラメルの濃い味に飽きてしまって、酸素が嫌になってしまう。

同じように、料理も味が濃すぎると、飽きてしまって毎日は食べたくないだろうけど、その味付けが少ないことがイタリア料理の特徴なんだ。イタリア料理は、素材の味を最大限に引き出し簡単な調理法で、毎日食べても飽きることなく楽しめる料理ということ!
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▲ こちらもイタリアのトラットリア。フライパンが飾ってあるんですよ。
イタリア料理のこの「心」は、そのままサイゼリヤで体験できるんだ。高級なレストランと違って、いつもより少しだけプチ旅行をしているような感覚。緊張もなく、イタリア現地の雰囲気を五感で楽しめる、というのはなかなかないよ。やっぱりどう考えても、大事なことはただ一つだ。「どこで何を食べているか」より、「気を遣わずにハッピーになること」。これに尽きるよ!

このような魅力的な料理は簡単に作れるわけではないと、最近やっと分かってきた。サイゼリヤは、そのシンプルさがもたらす楽しさを誰もが体験できる場所だし、デートでも最高の思い出になる。
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特別なものは何もいらない。日常の中に喜びを見つける

イタリア人は「la dolce vita(甘い生活)」という言葉で表されるように、生活の質を重視している。これは贅沢や派手さを意味するのではなく、日常生活の中でシンプルで充実した時間を過ごすことを表しているんだ。自分自身が等身大でいられること、自分自身が満足できていることに重きを置いている。特別なものは何もいらない。食事、家族、自然との触れ合いなど、日常の中に喜びを見つけることが重要ということ。

このシンプルさの魅力を料理に当てはめれば、そのポイントは「オリーブオイル」にあるんだ。イタリア料理に欠かせないオリーブオイルを料理のベースに使うと、どんな料理にも統一感が出てくる。さらにその料理は、ワインとの相性が抜群に良い! 料理や飲み物を、その時の気分と組み合わせることで、「おいしさ」が大爆発するんだ。
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▲ サイゼリヤにて。シンプル・イズ・ベストなんです。
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サイゼリヤの魅力は、ちょうどいい料理のサイズにも表れている。一人だと満足感があるし、大人数だといろんな料理を組み合わせてシェアできる。小さい頃、おばあちゃんちに遊びに行った時に出てきた、たくさんの料理を思い出すよ。家族でおばあちゃんが作った料理を順番に食べて、学校であったことを楽しく話して……、あの頃のキラキラした思い出が、このサイゼリヤで蘇ってくるんだ。
ここまで来るとみんなも気が付いたかもしれないけど、その一皿一皿には、シンプルながらも奥深いストーリーがある。このように、サイゼリヤはイタリア料理の精神を大切にして、素材の持つ自然な味わいを引き出した料理を出すことで、多くの人に日常的に愛される存在になっていると感じるよね。

これからは、サイゼリヤの空間をもっと楽しんでほしい。そして、目に見えないシンプルさを五感で感じてみて! 食べているうちに、だんだんと特別な感覚に変わっていくところが、サイゼリヤの素晴らしさがあふれる瞬間だ。だからこそ、高級なレストランにも負けない。

では、この素晴らしさをぜひサイゼリヤで実感してみてみよう!
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● マッシ  

本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
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