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2024.10.18

仏料理の名店「トゥールダルジャン 東京」に隠された10の秘密

フランス・パリで400年の歴史を誇るフランス料理「トゥールダルジャン」唯一の支店である「トゥールダルジャン 東京」は今年開業40周年を迎えます。誰もが知っているフランス料理の名店で、本店さながらの技と誇りが受け継がれてきた一方で、まだ知られていない秘密もあるようで……?

CREDIT :

文・編集/秋山 都 (Web LEON) 写真/吉澤健太

フランス料理にあまり明るくない人でもご存知であろう「トゥールダルジャン」。直訳すれば「銀の塔」という意味をもつこのレストランはフランス・パリで1582年に創業。フランス最古のレストランとして400年余という長きに亘って歴史を紡いできました。東京には「ホテルニューオータニ」開業20周年記念事業として1984年に誕生。こちらも、今年開業40周年という記念すべきアニバーサリーイヤーを迎えています。

この40年間、「トゥールダルジャン 東京」では本店「トゥールダルジャン」のエスプリと、料理人やサービススタッフなど店を支える人々の技と誇りが脈々と受け継がれてきました。そのなかには今だから言える秘密や裏話もあるようで……? 知っているようで知らなかった「トゥールダルジャン 東京」の秘密を公開します。
トゥールダルジャン 東京
▲ 「トゥールダルジャン 東京」のエントランス。
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東京・紀尾井町

『トゥールダルジャン 東京』に隠された秘密とは⁉

【01】 パリ⇔東京のフライト中に決まった開業

1964年に創業された「ホテルニューオータニ」の20周年に際し、海外の一流レストランを招聘したい。そう考えたのは創業者大谷米太郎の息子で、当時「ホテルニューオータニ」3代目社長であった大谷米一。数々の名店に打診したものの、なかなか良い返事をもらえずにいたところ、ある日、東京~パリを往復する飛行機の機上で偶然隣り合ったのが、「トゥールダルジャン」2代目オーナーのクロード・テライユ氏だったとか。意気投合したふたりは、このフライト中に「トゥールダルジャン」の日本出店を決めたのだそう。ちなみに「トゥールダルジャン 東京」は、フランス最古のレストランである「トゥールダルジャン」の唯一の支店です。
トゥールダルジャン 東京
▲ 1964年開業当日のテープカット。左は「ホテルニューオータニ」3代目社長を務めた大谷米一氏(1916-1995)。右は「トゥールダルジャン」オーナーのテライユ氏。
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【02】 日本庭園が見えない? 当初のプランは最上階

当初のプランでは「ホテルニューオータニ 東京」ガーデンタワーの最上階にオープンする予定だったそう。「トゥールダルジャン」オーナーのテライユ氏の「こんな美しい日本庭園が見えないのはもったいない」という鶴の一声により、現在のロビーフロアでの開業が決定しました。日本庭園が見えることで、レストランウエディングの草分けにもなった「トゥールダルジャン 東京」ですが、最上階にあったらまた違う展開だったかもしれません。
トゥールダルジャン 東京
▲ 「ホテルニューオータニ」のシンボルでもある池泉回遊式の日本庭園。加藤清正公の下屋敷や井伊家の庭園として、「トゥールダルジャン」パリ本店を同じく400年余りの歴史をもつ。
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【03】 名物・鴨の料理を日本で最初に食べたのは昭和天皇⁉

トゥールダルジャン 東京
▲ 昭和天皇がパリ本店で召し上がった鴨料理の番号が振られたカード。
「トゥールダルジャン」といえば鴨の料理が有名。さらに、その料理を食べると、鴨の一羽一羽ごとに通し番号が振られたカードがもらえることが有名なのですが、これはさかのぼれば19世紀末、当時の支配人フレデリック・デレールのアイデアだったとか。ちなみに、1921年6月21日。当時、皇太子であった昭和天皇がパリ本店で召し上がった際の鴨番号は「53211」。「トゥールダルジャン 東京」ではこの番号に敬意を表して、この番号の次の番号、つまり「53212」からスタートさせています。
トゥールダルジャン 東京
▲ こちら、現在の鴨カード。鴨が銀の塔を抱くイラストレーションで、デザインもモダンにアップデイトされています。
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【04】 40年間のすべてを見聞きしている生き証人がいます

トゥールダルジャン 東京
▲ 「トゥールダルジャン 東京」のエントランスにある壁画に描かれているのは40年前のボラ―青年。
パリで医学を志していた青年、クリスチャン・ボラー氏はオーナーであるテライユ家とつながりがあったことから、ある日「レストランビジネスをやってみないか」とオファーを受け、ふと興味がわいたことから来日。以来40年、総支配人として今も「トゥールダルジャン 東京」のすべてを取り仕切っています。いつも颯爽と若々しく、「トゥールダルジャン」の美学を貫く姿はまさにプロフェッショナル。
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【05】 カレーライスを食べる際、スプーンを使ってはいけません

主にフランス料理の高級レストランで給仕するスタッフを“メートル”と呼びますが、「トゥールダルジャン 東京」では、彼らにも厳粛なしきたりやルールが徹底されています。
KEI Collection PARIS
▲ 腕時計の代わりにメートルたちが持っているのは懐中時計。ベストのポケットからそっと出すしぐさもかっこいい!
例えば、メートルたちは腕時計の着用禁止。理由は、お客さまの前で時間を気にするしぐさがエレガントではないことと、高価なクリスタルのグラスやシルバーのテーブルウェアを傷つけてしまうかもしれないから。お客さまの見えないところでも美意識は貫かれていて、例えばホテル内の社食でカレーライスを食べる際にも、彼らはスプーンを使わずフォークで食べるように教育されています。そういえばフランス料理で米料理が出ても、イタリア料理でリゾットが出ても、スプーンは使わないですもんね。
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【06】 アンリ3世ご愛用のフォークもございます

スプーンの話が出たところで、フォークのエピソードも。「トゥールダルジャン 東京」にはアンリ3世が使ったと言われるフォークのレプリカが展示されています。
トゥールダルジャン 東京
▲ 最初に登場したフォークは二股だったんですね。
これは1582年3月4日、当時の国王アンリ三世が鹿狩りの帰りに「トゥールダルジャン」に来店した時のこと。隣りのテーブルでフィレンツェから来た貴族が小さなとがった道具を使っているのを見た王は、「それは何だ?」とご下問。するとそれは、ヴェニスから届いたばかりの発明品とのこと。これがフランスの食文化史上初めてフォークというものが登場した場面でした。
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【07】 ホストとゲストでは見ているメニューが異なります

KEI Collection PARIS
▲ ホスト(もてなす)サイドとゲスト(もてなされる)サイドで2種のメニューが用意されています。
「トゥールダルジャン 東京」ではメニューが2種類用意されています。ひとつは値段が記載されているもの。もうひとつは、値段が記載されていないもの。これは価格など気にせずに料理を選んでほしいというホストの気持ちに沿ったおもてなしであり、価格の記載のないものをゲスト側に渡すためです。かつてはカップルであれば女性に渡されるメニューに価格がないこともよくありましたが、現在は……色々せちがらく難しい世の中です。
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【08】 ゲストの人数によって変わるのはキャンドルの数と……?

次にテーブルの上へ目を移してみましょう。「トゥールダルジャン 東京」では卓上でキャンドルを灯していますが、ゲストの人数によってその内容が変わります。2名のゲストなら2本、3名~のゲストなら3本、となるのですが、変わるのはその本数だけではありません。
トゥールダルジャン 東京
人数によって変わるのは、その位置と高さも。たとえば2名ならキャンドルは対面するふたりのサイドに置かれるため、かなり高く調整されているのですが……。
トゥールダルジャン 東京
3名以上の場合は、キャンドルはテーブルの中央に置かれるため、ゲストの視線を遮らないように低く設定されています。常にゲストの立場で考える「トゥールダルジャン 東京」らしいエピソードです。
トゥールダルジャン 東京
▲ キャンドルを消す際も専用のスナッファーを使用します。エレガント!
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【09】 行きと帰りで向きを変える鴨がいるカモ?

トゥールダルジャン 東京
▲ バカラ社製の鴨のオブジェ。
同じく卓上にはこんなキュートな鴨のオブジェが置かれています。こちらは食事前にはゲスト側を向いているのですが、お帰りの際には出口の方を向いています。いつ向きを変えているのでしょうか? 気になるカモ……。
トゥールダルジャン 東京
また。「トゥールダルジャン 東京」と言えばこのシルバーのカトラリーやショープレートが有名ですが、これらはすべてクリストフル製。銀器はメンテナンスが大変ですが、週に一度、スタッフ総出で磨いているのだそうです。
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【10】 フランス貴族の館を思わせる、美しい空間

トゥールダルジャン 東京
▲ 食前の待ち合わせやアペロ、食後のドリンクを楽しむことができるバー。
エントランスを一歩入ると、フランスの美意識が感じられる空間が広がる「トゥールダルジャン 東京」。店内はひとつの時代だけではなく、「トゥールダルジャン」の歴史のそれぞれの世紀を表現し、巧みにコラージュされています。例えば……ブルボン王朝のシンボリックな色である濃紺で彩られたエントランス、ルイ16世とルイ14世の時代を表現しているエントランスホール、歴代の国王や宮廷の名士など、フランスの食文化に関わり貢献した人物51人の肖像画が飾られているバー(写真)、ルイ15世のロココ時代を表現したダイニングルームなどなど……店内を巡るだけで、フランスの歴史と文化を旅することのできる貴重なひと時に。まさに美食が文化となっているフランスを身近に感じることができます。
このほど「トゥールダルジャン 東京」では開業40周年を記念して、シグネチャーである「幼鴨のロースト」をさらに現代的に進化させた料理を素晴らしいワインとともに味わえるアニバーサリーランチ/ディナーが予定されています。これを機に「トゥールダルジャン 東京」の秘密を探しに出かけてはいかがでしょう。
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トゥールダルジャン 東京

◆「トゥールダルジャン 東京」開業40周年記念アニバーサリーランチ・ディナー

期間/11/7(木)~11/10(日)
時間/ランチ12:00~13:30(最終入店時間)、ディナー17:30~20:00(最終ご入店時間)
料金/ランチ1名5万円、ディナー1名10万円(ともに飲物、税金・サービス料込)
*予約は2名より

*11月16日(土)、17日(日)には「ホテルニューオータニ大阪」内、フランス料理「SAKURA」にて「トゥールダルジャン 東京」開業40周年記念フェア『40th ANNIVERSAIRE SPECIAL 2 DAYS』を開催予定
予約・問い合せ/06-6949-3246(「SAKURA」直通)

トゥールダルジャン 東京

■ トゥールダルジャン 東京

住所/東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ ザ・メイン ロビィ階
予約・問い合わせ/03-3239-3111(直通)
営業/12:00~13:30(最終入店)・15:30(閉店)、 17:30~20:00(最終入店)・22:30(閉店)
定休/月曜・火曜・水曜のランチ

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