2024.09.20
【第7回】
日本の「焼き鳥」を外国人がみんな大好きな深イイ理由とは?
イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える企画です。
- CREDIT :
文・写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)
好きなタイミングで好きなものを焼いてくれる「焼き鳥屋」は最高!
炭火でじっくりと焼き上げられた鶏肉は、芳ばしい香りとジューシーな味わいで多くの人を虜にする。特に最近は外国人観光客の間でも人気になっていて、日本の街角で焼き鳥屋に外国人を見かける光景はもはや珍しくはない。
だから日本の焼き鳥は最高だよ! 食べてもおかわりしても無性に食べたくなる気持ちは分かるよね? 自分の目の前で焼かれて、鶏のすべての部位もあって、野菜とか牛肉とか好きなタイミングで好きなものを焼いてくれて、僕みたいな食いしん坊にとっては憧れの一つだと思う。焼き鳥屋さんの空間は、日本独特だ!
シンプルな調理法でありながら、その味わい深さは魔法のようだ!
未だに焼き鳥に驚いているのは、鶏肉に塩やタレを塗って焼くというシンプルな調理法でありながら、その味わい深さ! まるで魔法のようだ。炭火でじっくりと焼き上げることで、鶏肉の旨みが凝縮されて、外は香ばしく中はジューシーな食感を楽しめる。そして、お酒にもよく合ってビールもワインも楽しめるからいい食文化だ。このシンプルな調理法と奥深い味わいのバランスが、多くの人々の心を掴んでいるんだろうな。
さっきも書いたけど、鶏肉のすべての部位を頼むのができるのが本当にすごいと思う。想像で食べづらい部位を、勇気を出して食べてみたら最高に美味しくてやめられない時もある。苦手なものが数秒で好きになれるなんて、夢なのか現実なのか分からなくなるよ。
「焼き鳥」は日本への旅の思い出、日本の文化に触れるきっかけ
そして、焼き鳥は健康的でもあるんだ。よく考えたら鶏肉は高タンパク低カロリーな食材として、世界中で健康志向の人々に人気がある。また、焼き鳥は、揚げ物と比べて油分が少ないから、ヘルシーな食事ができるというメリットが大きい。
ここからもっと深く焼き鳥の魅力に掘っていこう! もちろん僕も含めて外国人にとって、焼き鳥の存在は単なる食べ物ではなく、日本への旅の思い出、日本の文化に触れるためのきっかけとなっているのよ。焼き鳥屋では、カウンターに座って日本語が通じなくても、なぜか会話になることが珍しくはない。隣の日本人をちらっと見て、どのように食べているかをチェックしているうちに、話しかけてもらえる。日本人はシャイと言われることがあるけど、僕はそれは違うとはっきり言える。困っている外国人にこんなに優しくしてくれるなんて、日本人だけだよ! 日本人のように食べて飲んで楽しむことで、文化の壁がなくなるんだ。
焼き鳥を食べることは、日本の食文化を理解するための第一歩だといえる。焼き鳥を通して、日本の歴史や風習、人々の暮らしについて学ぶことができるから最高すぎる場所だ。たった一本の焼き鳥で日本へのアモーレが止まらなくなったイタリア人の僕がここにいる。
● マッシ
本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
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