フォーシーズンズホテル京都に誕生した「鮨 銀座おのでら」。これは必然です

鯖寿司や箱寿司、巻き寿司など独特の寿司文化を育んできた京都。長らく江戸前寿司不毛の地などと言われてきましたが、近年は徐々に江戸前を謳う店も増え、いまだ数が多いとはいえないものの、ミシュランの星を獲るような店も出てきています。

そんななか、おそらくは京都の江戸前寿司文化に大きな影響を与えそうな店がオープンしました。それが「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」です。

京都と言えば日本最大級の観光都市、特にインバウンドからは圧倒的な人気を誇る街であるだけに、何においても“日本的なもの”が他所以上に求められます。無形文化遺産にも登録された「和食」を代表する「寿司」のイメージが、おそらくは江戸前寿司であることを思えば、これだけ旅行客が増えたこの街に、最上級の江戸前寿司が少ない方が不自然なのかもしれません。

今回、「銀座おのでら」を誘致したフォーシーズンズホテル京都は京阪の外資系ラグジュアリーホテルの中でも、とりわけ上質で落ち着いた“和の伝統と美を受け継ぐ”デザインが人気です。フォーシーズンズホテルは本部がカナダということもあり、アメリカの富裕層から特に熱い支持を得ているとか。

そして「銀座おのでら」は「銀座から世界へ」をコンセプトに伝統の日本食を世界に伝え、今や３カ国21店舗を擁する国際志向が特徴。「鮨 銀座おのでら ニューヨーク店」が現地のミシュランで何年にもわたって星を獲得したことで、グルメなニューヨーカーにとって「銀座おのでら」ブランドは旧知の存在でもあります。そう考えれば、世界的な観光都市で実現した二者のコラボは時代の必然と言えなくもありません。

そもそも街場の一流寿司店はほとんどが常連で占められ、予約が取りづらかったり、価格が不明瞭など、特に旅行者には利用しづらいものです。その点、フォーシーズンズホテル京都という外資系一流ホテルに店を構える「鮨 銀座おのでら」は、予約が取りやすく、価格も明朗で、観光客でも安心して寿司が楽しめます。この店が京都を訪れる海外富裕層のディナーリストに、かなりの確率で入って来るようになるまで、そう時間はかからないだろうと思います。

では、この店が、インバウンド専用かといえば、もちろんそんなことはありません。寿司好きはどこへ行っても寿司が食べたいもの。東京の「おのでら」を知る人であれば、京都との違いを楽しむこともできるだろうし、何泊かする旅であれば、間に京都の江戸前寿司を挟むのも一興かと。

というわけで、全国の江戸前寿司好きにとって見過ごせないこちらの店ですが、能書きはこのくらいにして、店の様子もご紹介していきましょう。

「鮨 銀座おのでら」が位置するのはザ・ラウンジ＆バーと同じホテルの3階。天井近くまで広く取られた窓の向こう側には、このホテルの代名詞ともいうべき、平安時代末期に造られ、平家物語にも記された名園「積翠園（しゃくすいえん）」が眺められます。

店内に目をやれば樹齢400年の檜を用いた長さ8mの白木のカウンターが、凛とした佇まいで客を迎えます。

店を任されているのは「鮨 銀座おのでら ニューヨーク店」の料理長として先述したミシュランの星を守り続けた久保卓弥さん。久保さんはその後、東京の総本店に活躍の場を移し、今回、フォーシーズンズホテル京都店の料理長として着任しました。

この日いただいたのは料理長おまかせコース。前菜5種ににぎり8貫、季節の小丼ぶり、赤出汁、江戸前玉子焼きとデザートで3万7500円（ともに税・サービス料込）

このレベルの店になると、もはや美味しくて当たり前。次々とテンポよく出される料理と鮨はそれぞれに手の込んだ工夫が凝らされ、旬の繊細な味わいを存分に楽しませてくれます。器は「銀座おのでら」を象徴する岡山の伝統的な備前焼に、この地ならではの清水焼も取り入れた構成。

お酒で注目すべきは「フォーシーズンズホテル京都」のビバレッジディレクターによる日本酒、ワイン、焼酎、ティーなどジャンルにとらわれないペアリング（2万2000円 税・サービス料込み）。これは、「銀座おのでら」初の試みだそうですが、まさにフォーシーズンズと組んだことにより実現したスペシャルなサービス。出される酒の銘柄を考えるとかなりお得でもあり、人気が出そうです。そしてすべてのドリンクが世界のプロに愛されるオーストリアのグラスメーカー「Zalto（ザルト）」で提供されるのもポイントでしょう。

今後、京都の江戸前寿司はこの「鮨 銀座おのでら」をひとつの基準として展開していくのではないか、そんなエポックメイキングな店になりそうな期待が膨らみます。

店の利用は宿泊客に限定していませんが、願わくば、食事のあとはこちらに宿泊してホテルライフも愉しんでほしいものです。フォーシーズンズホテル京都には積翠園だけでなく、リゾート感溢れる20mプール、最新マシーンの揃ったフィットネスジム、禅からインスピレーションを得たスパでのトリートメントなどとにかく魅力的な施設が勢ぞろい。部屋のインテリアや装備品の素晴らしさ、話題のステーキハウス「エンバ・キョウト・チョップハウス」の豪華な朝食ブッフェも、一度は経験する価値アリです。

「おのでら」からの、フォーシーズンズ宿泊。そんな素敵な旅を組めるのなら、彼女は大喜び、貴兄のモテ度も爆上がりすること間違いなしと断言いたしましょう。

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