2025.03.15
【第18回】
ひとり一枚が基本! ピッツァの食べ方にはルールがあるって知ってた⁉
イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える連載です。
- CREDIT :
文・写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)
イタリア流ピッツァ正しい食べ方と付き合い方とは?

不思議なのは、ピッツァに乗っている具が変わっても、そのほっこり感が消えないこと。目の前にあるだけで安心するし、好きな人とデートしているようなワクワク感もある。実は、ピッツァを前にすると僕はいつも初恋のような気分になる!
読者の皆さんもピッツァが好きでよく食べると思うけど、正しい食べ方と付き合い方は知っているかい?

イタリア流のピッツァの食べ方とルール
どうしても他の味を試してみたいなら、めちゃくちゃ頼み込んで、ほんの少しだけもらう。でも、基本的には「自分のピッツァは自分のもの」という意識が強いんだ。
また、イタリアではカスタマイズのオーダーをする人も意外に多い。「よく焼いてください」「小さめにしてください」「この具を抜いてください」など、自分好みに調整することが一般的だ。だからこそ、理想のピッツァを作ってもらったら「シェアしたくない」という気持ちが生まれるのも納得だよね。
とはいえ、食べ切れない場合は「食べたい人がいればあげる」というスタイルもある。でも、基本的には「食べ切れる」のが当たり前で、子供でも完食することが多いんだ。

ピッツァの正しい食べ方とは?
でも、ここで謝らないといけないことがある……。
実は僕は、ピッツァを手で食べる派! 手で食べることで美味しさをより感じられるし、なぜか特別感もある。この特別感の理由は、本来フォークとナイフで食べる料理なのに、ピッツァだけは手で食べても許されているから。やっぱり、みんなに愛されているからこそ、ピッツァは特別なんだろうね!

イタリア人のピッツァのクセと不思議な行動
日本では「ピッツァは最後まで食べるもの」というイメージがあるけど、イタリアでは耳(クラスト)を残す人が多いんだ。お客さんに聞いてみると、よく出てくる理由は、「耳も食べるとすぐお腹いっぱいになる」「途中まで食べるけど、次のピッツァを食べるために残す」など。
「ピッツァと言えるのは具が乗っている真ん中の部分だけ。耳はピッツァではない」なんて言う人もいたよ。これを聞いた時、僕は「耳も美味しいのにもったいない……」と悔しい気持ちになった。でも、お店側に聞くと「ピッツァの耳も食べてほしい」という意見がほとんどだった。日本の方が、ピッツァへのリスペクトが深いのかもしれないね!
ピッツァのメニューは日本と違って4〜5ページあり、100種類以上あるのが普通。でも、イタリア人の多くはメニューを見ずに「いつものピッツァ」を頼むんだ。
僕はイタリア滞在中、毎回じっくりメニューを読んで、「同じピッツァを頼まないようにしよう!」と意識していた。だって、日本に帰ったらなかなか食べられないからね。ということは、メニューをじっくり見ている人は、イタリア人ではないか、住んでいない可能性が高いのかも……?

日本と違う、ピッツァ専門店の文化
ピッツァの味付けとこだわり
また、僕はクアトロフォルマッジ(4種のチーズ)のピッツァにハチミツをかけるのが好きだけど、イタリアでは「塩辛いものと甘いものを混ぜない」のが基本。試しにお店でハチミツを頼んでみたら「ない!」とはっきり断られたよ。

イタリアのピッツァ屋は「交流の場」
ピッツァの食べ方や付き合い方には、意外と「決まったルール」があるけど、日本でもイタリア人のように自由に楽しめば、それでOK! ありのままで食事を楽しもう!

● マッシ
本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
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