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2021.06.20

魯肉飯(ルーロー飯)に合わせるワインを選ぶなら⁉

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多い時は月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

CREDIT :

文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

緊急事態宣言の解除はまもなく。ですが、宣言解除後も飲食店での酒類提供は自粛が続く可能性もありそうで、ワイピ受難の日々が続きます。そんな鬱憤を笑い飛ばしたく、前回に続きお笑いネタ『ダジャレのワイン選び〜失敗と成功』をお送りします。今回は成功編です。

モテるワイン道入門~ダジャレでワインを選んで大成功

まずは前回の失敗の反省から。何と言ってもこの失敗の最大の原因は、「モテたい」、「いいカッコしたい」との雑念が先走り、策を弄し過ぎた点にあると思います。ダジャレで選ぶ目的は、「面白い」とウケることを狙うわけですから、ここは「お笑い」の基本である「共感」を得られるように、素直・シンプル・ストレートなアプローチの方がよいのでしょう。実際、それで成功した事例をご紹介します。

【場所】
筆者の別荘(軽井沢)

【シチュエーション】
ワイン仲間5名(男性2名、女性3名)を別荘に招待しての2泊3日のワイン会、と言うか料理・ワイン合宿。男性のうち1名は港区にある某フレンチレストランの有名シェフ。

【趣向】
シェフには普段の料理人としてのお仕事は忘れ、オフとしてのワイン会を楽しんでいただく。むしろ私や仲間が作るシンプルな素人料理と一緒にワインを味わい、色々とツッコミを入れていただく。

【オープニングランチのメニューとワイン】
私はゲストの受け入れ準備のため、先乗りして前泊。初日のランチのメニューとワインをどうしようかと考えていました。やはり、乾杯はまずシャンパーニュを開けるとして、ランチにはやはり仲間が好きなブルゴーニュ……であればメニューは軽めのパスタか。だとするとワインは……と思考を巡らせていたところ、たまたまセラーのラックにあった白ワイン「Domaine Roulot(ドメーヌ・ルーロ)」が目につきました。このドメーヌの当主でもあるジャン・マルク・ルーロは「映画とワイン」でも紹介しましたが、映画『大統領の料理人』(原題「Les Saveurs du Palais」 2012年・フランス)にも登場する元俳優にして、現在はワインメーカー。そのワインは世界中で引っ張りだこの大人気です。

「よし! ワインはコレで決まり! 」となり、あとは料理です。パスタにしようか、それともリゾットにしようかなどと考えていたところに、ダジャレの悪戯心が頭をもたげ「そうだ! ワインのルーロと掛けて魯肉飯(ルーロー飯)」とヒラメキました。早速ネットでレシピをチェックしたところ、豚バラ肉と茹で卵を中華風の味付けで煮込み、青梗菜を添えれば筆者にも何とか作れそうです。シンプルな献立なのでランチにも良さそうだし、豚バラと白ワインの相性は必ずしも悪くありません。と言うことで、早速仕込みを……作戦遂行開始です。
▲ 豚バラ肉の煮込みをごはんに乗せた魯肉飯(ルーロー飯)は台湾の人気料理。
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「魯肉飯(ルーロー飯)にはやっぱりコレでしょ」

【結果】
ゲストが到着してシャンパーニュで乾杯した後に、メニュー(魯肉飯)を紹介します。反応は「えっ、中華⁉️ 」「でも美味しいよね」「大好物」などと食いつきはまずまず。「でもワインは⁉️ 」となった時に予め、ワインクーラーにブラインド用のスリーブ(*1)をかぶせて冷やしておいたワインを出して「そりゃあ、魯肉飯に合わせるワインと言えばこれしかないでしょ」とドヤ顔で決めゼリフ。ほどなくして、ワインが「Domaine Roulot Meursault Vireuils 2010」だと分かった時には一同大爆笑でした。
▲ 実際にこの日作った魯肉飯と「Domaine Roulot(ドメーヌ・ルーロ)」のワイン。撮影/筆者
失敗例と成功例の違いは一体どこにあるのでしょう? 自分なりに考えてみたところ「手間のかけどころ」「汗のかき方」の違いかと感じました。前回の「抑揚」の失敗例は、かけた手間は自分の頭の中のみ。机上の空論であれこれ複雑に考えはしたものの、さほど汗はかいていません。それに対して、今回の「Roulotに魯肉飯」は、発想はベタでシンプルながら、実際に魯肉飯に挑戦して調理する必要がありました。やはり、何事も頭でっかちにあれこれ考えるよりも、手足を動かす方が上手くいくようです。

「ダジャレとワイン」いかがでしたでしょうか?  皆様もぜひ考えてみては?

*1) ブラインドテイスティングを行う際、ワインの詳細を隠すためボトルに被せる布などのカバー(写真)。新聞紙・包装紙やアルミホイルなどで代用する場合も多い。

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● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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