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2024.05.20

日比野 玲(63)「モデルは好感度勝負。いい人生を送っていないと“いい顔”になれない」

加齢を恐れ、抗うのはナンセンス。むしろポジティブに受け入れて、付き合っていくのが得策です。そこで63歳の今も現役のモデルとして活躍する日比野 玲さんにインタビュー。歳を重ねてもなお輝く秘訣を探ります。

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写真/内田裕介(タイズブリック) 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)

60歳を過ぎた今、仕事も遊びも余裕をもって楽しめるようになりました

日比野 玲(63)「モデルは好感度勝負。いい人生を送っていないと“いい顔”になれない」
生きとし生けるもの、誰もが加齢からは逃れることはできません。だからこそ年齢に抗うのではなく、ポジティブに捉えていきたいところ。そこで63歳の今も現役のモデルとして活躍する日比野 玲さんにインタビュー。日頃のスキンケアからストレスとの向き合い方まで、豊かに歳を重ねるヒントをうかがいました。

● 日比野 玲(ひびの・あきら)

1961年生まれ。岐阜県出身。80年代からモデルとしてさまざまな雑誌や広告、ファッションショーなどで活躍。俳優としてもドラマや映画など多くの作品に出演し、台湾・中国進出も果たす。妻はモデルの前田典子さん、長男の山口リュウさんもモデルとして活動中。

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── まず率直に、歳をとってよかったことはなんですか?

日比野さん(以下日比野) 若い頃は仕事に対してガツガツしていたし、息子が生まれた時は、もっと頑張らなきゃと構えていました。でも、もう子どもも成人していろいろなことから解放された今、自分のために生きていいんだなと思えて、仕事も遊びも余裕をもって楽しめるようになってきました。

欲がまったくないわけではないけれど、60歳を過ぎてからは、仕事もプライベートも肩の力が抜けてぐっと楽になってきた。それに、いろいろな経験を積んできて、物事や人のことがよく見えるようになりましたね。

── ちなみに同世代で、モデルを続けている方はいますか?

日比野 今も現役なのは山根龍志さんくらいかも。年齢的には僕よりもちょっと上ですが、80年代はパリコレでも活躍していたモードの最先端を走っていた先輩です。40、50代になってからモデルを始める方も結構いるみたいなんですが、若い頃から続けている人はほとんどいないんですよね。
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── 改めて60代までモデルを続けるってすごいです!

日比野 僕は30歳手前でモデルの仕事を休んで、俳優活動に力を入れていたんです。40歳くらいでモデルに復帰したんですが、その時にはもう若い頃の仲間は結構やめていましたね。僕もこの歳までモデルができるとは思っていませんでしたけれど(笑)。

清潔感があって毎日が充実しているように見えないと、モデル業は難しい

日比野 玲(63)「モデルは好感度勝負。いい人生を送っていないと“いい顔”になれない」
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── 20代と40、50代では体型キープなどの努力が全然違いそうですよね。

日比野 そうそう。若い頃は勢いもあって、ごまかしが効くんですよ。でも、歳をとってくると、いろいろと顔に出てきちゃうから。

── 前日の疲れが出るとか?

日比野 それもあるけど、むしろ生き方ですよ。いい生き方をしていれば自然といい顔になってくるんですよね。モデルは特に清潔感や爽やかな雰囲気が大切でしょ? 充実した毎日を過ごすことが、表情にも繋がってくるんです。

── 納得です、モデルは好感度が大事ですもんね。ところで日比野さんは穏やかな印象ですが、ストレスを感じることはありますか?

日比野 仕事ではもうあまりストレスがないんですよね。あるとしたら、家庭での些細なことかな。家のことで妻から叱られた時とか(笑)。それも、まあゴルフに1回行ったら忘れちゃう程度なので幸せですよ。
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ストレス解消にはテニスとゴルフ、そして睡眠です

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── ストレスの解消法は、ゴルフですか?

日比野 テニスとゴルフです。コロナ禍の頃から、仲のいい友人たちとスポーツで発散しています。テニスは2時間がっつりダブルスでプレーするから、結構疲れるし、瞬発力と持久力もかなり鍛えられます。

テニスは週に1回、ゴルフは月に3、4回行けたらベストかな。どちらも屋外でやるスポーツなので、日焼けとのせめぎ合いなんですけれどね。
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── スポーツは奥さま(モデルの前田典子さん)も一緒に?

日比野 彼女はテニスはやりませんが、ゴルフはよく一緒に行きます。あとストレス解消には睡眠ですね。朝5時半に起きて早い日は22時半に寝るので、かなり早寝早起きでしょ(笑)。

── 早寝早起きはいつからですか?

日比野 50代後半ですね。きっかけはコロナの自粛生活かな。家でテレビばかり見ているうちにつまらなくなってきて、夕食を食べてお風呂に入ったら、もう寝ちゃおうかと。それで、自然と朝早く目が覚めるようになって、すごく調子がいいんですよ。

起きて犬の散歩に行って、帰ったらコーヒーを淹れる。これが毎朝のルーティン、至福の時間です。最初は焙煎した豆を買ってきて、自宅で挽いて飲んでいたんですが、最近は焙煎も自分で始めたんです。9時くらいまでは家族も放っておいてくれるので、ひとりの時間を楽しんでいます。
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いざ仕事を辞めても、一緒に遊べる友達がいないと急激に老けちゃう

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── ひとりの時間も大切ですよね。

日比野 その時間に地元の岐阜に住んでいる同級生や大学の友人、ゴルフ仲間とメールをするんです。「今日こっちは天気がいいよ」とか「明日はゴルフだ」とか、そういう他愛のないやりとりが、また楽しいんですよね。

60代になって、みんな仕事や子育てが落ち着いて、また一緒に遊べるようになってきた。無理せずに遅い時間からゴルフをスタートして、ラウンド後に夕飯を食べて帰ってくる。昔みたいに丸一日友人と一緒に過ごせるのが、すごく楽しくて。
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── 定年後に抜け殻のようになってしまう、なんて話も聞きますが、学生時代の交友関係が復活するのはいいですね。

日比野 そうなんです。いざ仕事を辞めても、やりたいことが見つからなかったり、一緒に遊べる友達がいないと、急激に老けちゃうんですよ。友達は本当に大切な財産です。

── 肝に銘じます。同級生には、やっぱり「若いね」と言われますよね?

日比野 まあ、言われますね(笑)。僕は仕事柄ひと通りスキンケアしていますが、みんなまったく気にしていないからね。「日焼け止めはちゃんと塗ったほうがいいよ」とか「これをつけたほうがいい」とか、同級生に教えています。実は自分が妻から言われていることの受け売りなんですけどね(笑)。

スキンケアで絶対に外せないのは、日焼け止めです

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── 本格的にスキンケアを始めたのはいつですか?

日比野 きちんとスキンケアをするようになったのは、40代ですね。僕が20代の頃はまだほとんど男性用スキンケア商品がなかったし、周りもスキンケアをしていた記憶がないんですよね。将来できるシミやシワなんて、気にもしていなかったから。

ただその頃のメンズモデルはメイクを自分でしていたので、僕もメイク道具はひと通り揃えていました。ヘアメイクさんが付いているのに、それぞれ「自分はこれがベストだ」っていうこだわりがあって、最終的には自分で直しちゃったり。ファッションショーになると、みんなすごい厚化粧になるの。それが普通だったんですよね。
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── メイクはするのにスキンケアはしないなんて! 肌の衰えを感じたのはいつですか?

日比野 50代になって肌の油分が少なくなってきて、乾燥してシワが目立ってきましたね。でも63歳なんだから、シワがあるのは当たり前。逆になかったらおかしいので、ある程度はあっていいと思っています。

── シミはともかく、大人の男性のシワは魅力にもなりますよね。愛用しているスキンケアアイテムを教えてもらえますか?
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日比野 絶対に外せないのが日焼け止め。韓国コスメのマニアホリックの「サンスクリーンパック」(右)はお土産でもらったのですが、伸びがよくて、顔に塗っても白くならないので気に入っています。SPF50+・PA+++でしっかり紫外線を防ぎ、自然なツヤも出ます。

「メリッサボーテ UVケア ミルク」(右から2番目)は、成分にこだわったノンケミカル処方。肌にも環境にも負担が少ないから、安心して使えます。夏のゴルフでは、メリッサの上にマニアホリックを重ねて塗ります。ゴルフの昼食時やテニスの合間も、汗をかいたら必ず日焼け止めを塗り直します。

スキンケアで最近気に入っているのが、ヴァロンの「オールインワンセラム」(右から3番目)。化粧水、美容液、クリームの3ステップを1つで完了できるからすごく便利です。

ゴルフやテニスのあとはアフターサンケアに高濃度ビタミンCを凝縮したメソシューティカルの「VCセラムアドバンスド」(左から2番目)、普段は肌のハリを整えるレチノール配合の「トランスダーマA」(左から3番目)をプラスします。これは使い始めた時にみんなに肌を褒められて、もう5年以上リピート中です。乾燥が気になる日には、ララヴィの「オイルイン ローション」(左)も。
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スキンケアは妻から勧められて使い始めることが多いですね。大きな仕事の前日には、妻にちょっといいシートマスクを分けてもらったり(笑)。

── 体型の崩れや体力の衰えは感じますか?

日比野 もともと太りにくい体質なので、お腹も出ないし、体型はあまり変わっていないかな。むしろちゃんと食事を摂って、体重が落ちないように気をつけています。この歳になると風邪を引いて2、3日寝込むだけで、顔がこけて老けちゃうからね。

体力の衰えは、テニスで感じます。以前はとれていた球がとれなかったり、体が思うように動かなかったり。ゴルフに限っては、経験を積んでいくから昔よりもスコアが伸びるし、衰えを感じないんですよね。昨日も40代前半の後輩とラウンドしましたが、飛距離はほとんど変わらなかったな。

── ジムには通っていますか?

日比野 たまに泳ぎにいく程度で通っていません。黙々と筋トレをするよりも、仲間とスポーツをするほうが楽しいし、好きなんです。
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最近、ぶら下がり健康器を買ったので、自分の部屋に行くたびに毎回10回ほど懸垂をしています。腹筋も鍛えられるし、腰が伸びるから気持ちいいんですよ。あとは気が向いた時にスクワットをするくらい。
日比野 玲(63)「モデルは好感度勝負。いい人生を送っていないと“いい顔”になれない」
── 若いモデルや息子さんを見て、美容意識の違いを感じますか?

日比野 僕らが若い頃と比べると、みんな当たり前にきちんとスキンケアしていますよね。それが、まだ若いのに肌を甘やかしすぎだなと感じることもあって。20代なら日焼け止めと基本的なスキンケアで充分だと思うんですけどね。

── ちなみに、美容で後悔していることはありますか?
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日比野 やっぱり日焼けですね。僕が20代の頃は、焼けていたほうがカッコいいという感覚で、みんな日サロ(日焼けサロン)に通っていたからね。時代だから仕方ないけれど、あの頃に焼きすぎたことは後悔しています。

今の若い子は絶対に焼かないでしょ? うちの息子も白いほうがいいってよく言っています。でも日光を全然浴びないとビタミンD不足になると思うので、朝の散歩では日光に当たるようにしています。

── 息子さんから美容面で影響を受けることはありますか?

日比野 ありますよ。僕、若い頃はすね毛が濃いのがコンプレックスで、短パンの撮影だと結構気になっちゃって。だから、息子が脱毛をする時に一緒にやってみたんです。そうしたら膝下がツルツルになってね。もう脚を出すのも全然平気です(笑)。

あと若い時は、ヒゲが濃いのも悩みだったんですよね。剃り跡が青々としちゃうから、ファンデーションで隠したり。でも歳をとった今となっては、ヒゲはいい感じでアクセントになるというか、むしろ剃った顔に違和感があるので、ヒゲの脱毛はよく考えてしたほうがいいかも。白髪も増えてきたから、剃っても青々とならないしね。
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── グレイヘアが素敵ですが、いつ頃から今のスタイルになったんですか?

日比野 実は結構最近なんです。これまでずっと染めていたけれど、いかにも「染めました」って色になるのが嫌だったんです。すぐ根元が白くなってきちゃうから、染めるのが面倒でね。グレイヘアにしたかったんだけど、マネージャーからストップがかかっていて。

5年ほど前までは、仕事先やクライアントから「黒い髪でいてほしい」と言われることが多かったらしいけれど、グレイヘアが注目されてきたので「そろそろいいかな」と。それで1回試してみたら、思いの外好評でね。解禁になりました。

── とてもお似合いです!

日比野 ありがとうございます。似合う服やファッションの嗜好も変わってくるんですよね。昔は黒、紺、白ばかり着ていたのに、最近は茶色が好きになったり。地味な色ばかりだとくすむので、グリーンやオレンジ、ピンクなど、派手な色も楽しむようになりました。本当に歳をとるといいことばかりですよ。
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今すごく楽しいので、残りの人生もその延長で過ごせると最高です

日比野 玲(63)「モデルは好感度勝負。いい人生を送っていないと“いい顔”になれない」
── エステや美容クリニックには通っていますか?

日比野 代官山の松倉クリニックには年に1度、年末に通ってフォトフェイシャルの施術を受けています。それと毎年の自治体の健診にプラスして、知り合いのエステサロンが提携している病院でもしっかり調べてもらっています。その結果に合わせて、サプリメントも飲んでいますよ。

── 食事で気を付けていることはありますか?
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日比野 納豆などの発酵食品を摂るようにしていますね。妻が普段作ってくれるのは、和食が中心のヘルシーな料理なので助かっています。僕も料理は好きなので、ひとりの時は焼き魚、息子とふたりの時はカレーやシチュー、中華料理も作りますよ。

コロナ禍以降、夜の街にあまり出かけなくなって、昔ほどお酒を飲まなくても楽しめるものだなと。飲みすぎると二日酔いになったり翌日が面倒なので、ひとりで飲むなら夕食時にビールを1缶(350ml)くらい。お酒はほどほどがいいですね。

── 最後に、これからどのように歳を重ねていきたいですか?

日比野 今すごく楽しいので、残りの人生もその延長で過ごせると最高ですね。いい人生かどうかは、最後までわからないでしょ? 何か失敗をしたとしても、それを経て肯定できる今があるなら、結果的にその失敗もよかったと言えるわけで。死ぬ時に振り返って、「いい人生だったな」と思えたらいいですよね。

モデルの仕事もいただける限りは続けたいけれど、いつか岐阜の田舎に帰って美味しいコーヒーが飲める、居心地のいいカフェをやるっていう目標もあるんですよ。本当に実現できるかはわからないけれど、そんな夢があるだけで、生きていくのも楽しくなるし、毎日を豊かな気持ちで過ごせると思うんです。

オヤジ美容が気になるならこちらも

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