2024.05.19
【Q】薄毛は、母方の祖父から遺伝するってホント?
オヤジの皆さま、最近、髪のボリュームが気になっていませんか? 忍び寄る薄毛の影に、日々不安を抱えている方も多いかと。そこで、薄毛にまつわる疑問を掲げ、「Dクリニック東京」を訪問。小山院長に答えていただきました。
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イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)
まずは、薄毛にまつわる疑問を解消して、自分なりの対処法を見出したいところ。そこで、薄毛治療の総合クリニック「Dクリニック東京」の小山太郎院長に教えていただきました。
【Q】AGAって薄毛のこと!? そもそもどういう意味?
先生 AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれています。加齢に伴う男性の薄毛を指しますが、50代、60代の男性が30代の頃と比べて毛量が減るのは、年相応の老化が引き起こす生理現象で病気ではありません。
ストレスによる円形脱毛症や、コロナやインフルエンザなど急激に体力を消耗する病気にかかったあとの後遺症、無理なダイエットや産後に脱毛症が起きるケースなど、さまざまな脱毛症がありますが、AGAはあくまでも健康な男性に起きる自然現象です。
【Q】薄毛は遺伝が8割。残りの2割は生活習慣で改善できる?
先生 そうですね。薄毛に限らず健康全般にですが、まず喫煙、極端な睡眠不足、そしてストレスが悪い影響を及ぼします。ストレスを感じると、髪の毛にダメージを与える物質が体内に分泌されることが確認されています。
飲酒については影響があるという論文も、ないという論文もあり、よくわかっていないのが現状です。厚労省からは「飲酒はほとんどの疾患のリスクを上げる」と発表されているので、リスクを避けたいのであれば、1滴も飲まないのが正解ですが、ほどほどであればいいんじゃないでしょうか。
【Q】薄毛の毛根は死んでいる? 白髪は抜くと増える?
先生 薄毛を「毛根が死んでいる」と表現するのは、間違いです。波平さんのように加齢による薄毛でツルツルになっても、実は毛根は生きています。薄毛は、以前なら1つの毛穴から太くて元気な毛が2、3本生えていたのに、男性ホルモンの影響で細く短い毛に変わってすぐに抜けてしまう状態です。
しかし、たとえ毛根が生きていたとしても、産毛のような毛が抜けては生えてを繰り返すだけで、太く長く成長する毛を作り出せなければ意味はありませんよね。そのように十分な毛を作れないほど毛根が弱ってしまったら、現代の医学や薬の力をもってしても、増やすには限界があります。早くに治療を始めたほうが理想のゴールに近づきやすいです。
【Q】薄毛の治療薬の副作用でEDになるってホント?
先生 これもよく言われていますよね。薬による副作用が起きる可能性は、もちろん0ではありません。ただそれは市販の風邪薬などと同じで、「すべての人に起こるわけではないけれど、起こる人もいますよ」という意味。
数値的に言うと、国内で一般的に使用されている「フィナステリド」という治療薬の成分で、1%くらいの男性に性欲減退や勃起が弱くなるという報告があります。しかし、それは服用をやめれば治るので、結局は個人の優先順位ですね。治療を始める前から、心配する必要はあまりないかもしれません。
最近はスマホなどのオンライン診察でAGAの治療薬を処方してもらうこともできますが、簡単に手に入る反面、副作用などのトラブルが起きた時の対処が不十分と感じることも。もしもの時は、きちんと医師に相談して適切な治療を受けてください。
【Q】薄毛は、母方の祖父から遺伝するってホント?
先生 半分本当です。血液型は100%遺伝で決まり、たとえ生活習慣を変えてもA型の人は一生A型ですよね。それと同じように男性の加齢に伴う薄毛も8割は遺伝で決まります。
男性の加齢に伴う薄毛に関係する遺伝子はこれまで数多く発見されていますが、その1つで比較的影響力が強いと言われているのが、男性ホルモンレセプター(受容体)の遺伝子です。この遺伝子はX染色体に存在します。 男性のX染色体は、必ず母親から受け継がれるので母の父である祖父が薄毛だった場合は、自分もその遺伝子情報を引き継いでいる可能性が高いということ。