2025.03.03
【Q1】中年太りの原因は筋肉が減ったから?
たるんだ体を目にしては、筋トレの必要性を感じているオヤジさんは多いかと。そこで服を着こなせる引き締まった体になるために、筋トレに関する疑問について、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんにうかがいました。
- CREDIT :
イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)
A.中年太りの解消には、減ってしまった筋肉量を筋トレで増やす必要があります

とはいえ、お洒落オヤジとしては、やみくもに鍛えるのはなんか違う。効率よく筋肉を付けるには筋トレこと筋力トレーニングを理解しなくては! ということで、日本におけるパーソナルトレーナーの草分け的存在・坂詰真二さんに疑問をぶつけてみました。
Q.中年太りの原因は筋肉が減ったから?
坂詰真二さん(以下坂詰) まずダイエットいう言葉の定義ですが、英語の「diet」は「食事制限で健康を保つ」という意味で、運動の要素はいっさいありません。ですが日本では、手段を問わず「体重を減らす」という意味で、ダイエットという言葉が広く使われていますよね。
体重を減らす手段としては、直接的に減らす方法と間接的に減らす方法の2種類があります。直接的な減らし方は、有酸素運動でエネルギーの消費量を増やすか、食事制限でエネルギーの摂取量を減らすか。比較的短いスパンで効果が出る方法です。
一方で間接的に体重を減らす方法の代表が、筋トレです。日本人の場合、20代まではだいたいの人が標準体型なのですが、30代、40代と年齢を重ねると、徐々に体型が崩れてしまう。その一番の理由が、筋肉量の減少です。
筋肉の重要な働きは体を動かすことですが、もう1つ体内の脂肪を絶えず消費して、熱エネルギーを生み出す役目もあります。つまり筋肉量が減ると、体内の脂肪を消費する量も減ってしまうんですよね。
── でも筋肉量が増えると、体重も増えるのでは?
坂詰 筋肉量を増やすと言うより、20代の頃の筋肉を取り戻して、当時のようにエネルギーを消費する体を作るというイメージです。筋トレは有酸素運動と違い、動かす場所が限定されるので、あまりエネルギーを消費しないんです。
筋肉量が増えるとエネルギー消費量が増えるので、食事量を増やさない限り徐々に体脂肪が減っていきます。結果、体重は増えません。とはいえ過剰なトレーニングと食事量の増加で筋肉を付けすぎてしまうと、服が似合わない体型になるし、キープするのも大変。血管や関節への負担も大きいので、やりすぎも禁物です。
── 筋トレすることで、体脂肪が筋肉に変わるわけではないんですね。
坂詰 筋肉が増えた結果として脂肪が減るので、置き換わったように思うかもしれませんが、それはありません。脂肪の体積は筋肉の1.1倍と10%ほど大きいので、同じ70kgの男性でも、体脂肪率が20%と30%の人の体型を比べると、30%の人のほうが膨らんで見えるんですよね。
また、筋肉と脂肪は形状も大きく違います。筋肉は流線型で骨に付いているので、腕や脚に付いた場合もメリハリがある。一方、体脂肪は全体的に丸く付き、重力に引き寄せられるので、ズドーンとした印象になる。だから同じ体重でも、筋肉量が多いほうが引き締まって見えるんです。

● 坂詰真二(さかづめ・しんじ)
スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。同協会認定パーソナルトレーナー。横浜市立大学文理学部を卒業後、株式会社ピープル(現コナミスポーツ)で、ディレクターや教育担当を歴任。その後、株式会社スポーツプログラムスにて、実業団等のチーム、個人選手へのコンディショニング指導を担当。独立後はアスリートへの指導、スポーツ・医療系専門学校講師などを務める。トレーナー歴は30年を超え、育成したトレーナーは3000人以上。著書も多数で、最新刊は『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話』(日本文芸社)。YouTubeは「坂詰真二の『真・トレーニングちゃんねる』」。