2023.12.04
【第84回】
ワルい男にハマりがちな美女「“慣れてる人”の共通点は……」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/椙本裕子 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第84回のゲストは、里依紗さん(30)です。
普通に“外”でした。それが凄くイヤだったんです
「よろしくお願いします」
── 今日は恋愛のことや仕事のこと、これまでの人生について色々聞いていくんですが、中には不躾な質問もあるかもしれません。不快な時には仰って下さい。
「はい、大丈夫です」
── では早速ですが、「私可愛いのかも? 美人なんじゃない?って気づいたのは、いつ頃でしたか。
「あ〜高校生ぐらいだったと思います」
── 中学生の頃はチヤホヤされませんでしたか?
「ちょっとヤンキーっぽくて、一匹狼的な感じだったからなかったですね。中学生の頃はもっと女の子っぽい子がモテると思います」
── そうか、ちょっとこう独特な雰囲気がある、個性的な人はもう少し大人になってからかもしれません。そうだ、ここでの呼称としてニックネームをつけないといけないんです。誰かに似ていると言われませんか。
「言われたことないんですよ。なんか『あなただよね』って感じで」
── 個性的な人には「誰々に似てる」って失礼になることもありますもんね。でも今日は特別に、色白でちょっと外国人のような雰囲気で……あ、仲 里依紗さんに似ている感じがしますので、里依紗さんと呼ばせていただきます! では、高校生の時にお付き合いした中で印象に残っている人はいますか。
「友達の紹介で知り合った彼かな。背の高い、優しい人でした」
── 好きなタイプの男性上位みたいな人じゃないですか!
「そうかもしれないですけどね。卒業後、私は進学しなかったんですが、彼が浪人することになり、勉強に専念したいと言われて別れたんです。でも本当は浮気してたってことがSNSの書き込みで発覚したんですよ(笑)」
── あれれ、気づかなかったですか?
「全然気づきませんでした。本人には言いませんでしたけど腹が立ちましたね〜」
── すみません、その彼とはどこまでの関係だったんですか。
── それは彼の家とかで?
「友達の家でした(笑)」
── ええ〜〜!! どういうことですか?
「男女4人で友達の家で遊んでたんです。そうしたら向こうのふたりがいい感じになっていたので、ちょっとうちら邪魔だから、向こうの部屋に行くか、ということになって、その流れでってパターンでした」
── えー! それは初めて聞いた展開です。そういうことって楽しかったですか? その年齢の男性って猿みたいにしたがるじゃないですか。同じように“これ楽しいじゃん”って思えました?
「あの、うちも彼の家も親が家にいたので、基本的に外だったんですよ。だから」
── え? 外って、外でするってことですか? ラブホテルに入るとかじゃなく? 公園とかってことですか」
「はい、普通に外(笑)。だから嫌でしたね。嫌すぎて、でも嫌って言えなくて、生理だからとか言って逃げてました」
── そうか〜。お金もないし、でもしたいしで、そういう行動になっちゃったのかなあ。その後里依紗さんは就職したんですか。
ソレに慣れている男性は、女の人の反応をよく見ています
── え、その日に!? じゃあ彼には「これイケるな」と思われちゃったのかも。
「まあ、チョロかったんでしょうね〜」
── 彼は自信を持っていたはずです。だって、そうじゃなかったらちょっとは食事に行ったりデートしたりしますよね。
「うん、全くなかったです。何をするんだろう? って思いながら彼の家について、おしゃべりしてたらチューされて。それがめちゃくちゃ上手だったんですよ」
── あの、キスが上手ってどんな感じなんですか。
「ん〜、凄くゆっくりなキスですね。でも表現するのが難しい。余裕があってガッツいてはいない、余計なこともしない」
── なるほど、その後も上手かったんですか。
「慣れてる感じです」
── 上手いとか慣れているってどういうことなんだろう。男性は“自分は上手にできているか”を気にしているので、教えていただいてもいいですか。
「慣れた人は女の人の反応をよく見ていると思います。こちらは言葉でそこだとかここだとかは言わないので、それを読み取れるかどうか、なのかな。変なぎこちなさとかもない」
いつも家に直行の彼でも、好きだった
「そうなんですよね。付き合うのかなとか思ったんですが、そういう話はないままに定期的に呼ばれて、そのうちパタリと連絡が来なくなったので私からは連絡をしなかったんです。また時間が経つと連絡が来て、これはなんだろうと思っていたら、彼女ができた時は絶対に連絡を寄越さないということがわかった。それでなるほど、そういうことかと思いました」
── その彼はデートや食事はしてくれるんですか?
「全然なしです。終わったら車で送られて帰る、みたいな」
── ひどいですね! 嫌じゃなかったんですか。
「その時はそれでもいいやと思っていました。好きだったからそんな扱いでも連絡が来ると『キター♡』ってなってしまって。健気ですよね(笑)」
── うわ〜切ないです。それ何歳の頃ですか。
「18〜9歳頃の話です」
── そんな、そんな青春真っ只中の女性をそんな扱いにして、その男は本当にひどいやつだと思います。その状態をどうやって終わらせたんですか。
「連絡が来ない時期に私にも彼氏ができて、携帯番号を変えたんです。それでそれっきりになりました。もう今はさすがになんとも思っていません」
── あ〜よかった。そこで縁が切れてよかった相手だと思いますよ。ではその後の恋愛については後編で聞かせてください。
後編に続く。
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)。