2024.03.24
【第91回】
モラハラ男から夜逃げして……。ハイスペ男性と付き合ってきた美女が結婚相手に求める条件
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
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取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第91回目のゲストは、前回に続いて咲さん(27)です。前編では“モテる星に生まれた”という面白いお話や、仕事熱心な一面を聞かせてもらいました。後編では、社会人になってからの恋愛談を伺います。
非の打ち所がない彼だったはずがモラハラ男に変わってしまい
「あ、起業前の修業のような時期に一旦、専業主婦のような生活を挟みます(笑)」
── あ、結婚されてる?
「いえ、婚約していましたが破棄しました」
── どんな人だったんですか。
「会社を経営していて稼いでいるし、見た目もめちゃくちゃカッコよくて、俳優さんみたいな人でした。背も高く、鍛えているからスタイルも抜群、非の打ち所がないような人だったんですが、途中から俗に言うモラハラに変わっていってしまって」
── 途中で変わったんですか。初めはそうじゃなかった?
「はい、初めは優しくてチヤホヤしてくれたんですけどね。嫉妬が激しくて束縛が強かった」
── え! そんなにモテそうなのに? なんでだろう。具体的な話を聞いてもいいですか。
「ある日、元彼から電話がかかってきたんです。少し話をしていたら何かを感じ取ったのか『今の誰? 元彼とかやろ』とイライラした感じで言われて。ちょっと怖かったのと嘘はつけないなと思ったのとで『元彼だけど、別に普段連絡取ってないし、たまたまだから』と言ったら『そんな元彼の連絡先なんかブロックして削除しとけやー!』って怒鳴られて」
「怖かったですね〜。門限もあったんですが、仕事で遅くなることもあるので毎日守るのは無理なんですよ。門限過ぎると拗ねるし、小学生みたいなことでキレて、一緒に出かける予定の直前に『もう行かねえ』って言い出すこともあったし」
── そういうのって例えば「これはモラハラだよ、どうしてそうなるの」という話はできないものなんですか。
「私が反論するとさらにワ〜っと言ってくるので言えなくなるんです。“こう言ったらこう言われるだろう”という思いも定着して、ビビってる状態ですからね。怖くて言い出せません」
── モラハラをされるとそうなってしまうんですね。その関係性に持っていって、逃げられなくする。
「本当にそう。で、囲ったら囲ったで安心して自分は遊ぶという」
── 彼は遊んでたんだ。まあモテるでしょうし、浮気もするでしょうね。
「はい、指摘したら逆ギレされましたね。なぜ専業主婦みたいになっていたかというと、生活費を渡すから仕事を辞めて欲しいと言われたからです。でも、お金はもらえなくて、美容院とかも自分の貯金を切り崩して行ってました。最後はエアコンの温度でキレられて、あ〜もう無理だなと。信頼できるお姉さんみたいな人に相談したら『もう家を出なさい、私が迎えにいくから』と言ってくださって、夜逃げみたいに家を出ました」
── それは相談できる人がいて良かった、本当に。そうやって誰かが強制的に引っ張ってくれないと、ずっとそこにいちゃいますよね。
「本当にそうなんですよ。助けてもらえて一生の感謝です。あの時のお姉さんはカッコ良かったです」
極端なドケチや、浮気を疑う元彼も……
「あ、ドケチな人がいました。その人は超エリートなんですが、一緒に泊まるホテルをひとり分で予約して、後からこっそり上がってきてって言うんです。誕生日プレゼントとかも中古品。あまりにもそういうことが続いて……」
── 相手を不快にさせるケチは違いますよね。
「最初はそうじゃなかったんですけどね〜。話の中で、将来結婚しても相手に自分の稼ぎは渡さないとも言っていて、“あ、この人は自分大事で何かあった時に守ってくれる人じゃないな”と。最後は喧嘩別れしました」
── それは仕方がないと思います。
「でも、そのふたり以外はみんな良い人でした。ケチな彼の次に付き合った人はとてもピュアで可愛らしい人だったし。旅行の時にはスケジュールを立ててお手紙で渡してくれたり、宝探しみたいに家に手紙が置いてあって、辿って行ったら私の大好物がある、みたいな」
── わ〜、楽しそうで良いですね。でも別れちゃった?
「はい、私が仕事に夢中になるあまり、オフィスに泊まりこむことも多くなって、彼に浮気を疑われたんです。実際していませんし、言葉でも伝えているのに、相談もなく一緒に暮らしていた家を出て行ってしまって。何日かで帰ってきましたが、私の誕生日にその選択をされたことと信じてもらえなかったことで、今度は私が冷めてしまって終わりました」
── あ〜そうか。ちょっと残念でしたね。
セックスは会話以上のものを得られると思うのでとても大事です
「今までは経営者とか世間的なステイタスを持った人のことをカッコいいと思いがちだったんですが、まあ痛い目を見たので(笑)、今は真逆です。仕事は自分でするので、私のことを大好き大好きって言ってくれる人が良いです」
── では今後結婚するとしたら、大事にしたい条件的なものを「ルックス、お金、性格、会話、セックス」に分けるとすると、何が上位にきますか。
「うわっ難しい。1番は性格、次がセックスかな」
── あ、セックスが上位に入るんだ。それはどうしてですか。
「会話以上のものを得られる気がするので。婚約していた人とはセックスレスだったんですよ。そうなると信頼関係が崩れるというか、相手が何を考えているのかもわからなくなってきて、会話すらうまくできなくなるから。だからちゃんとその辺も相性のいい人がいいな」
── 相性ですか。相性ってどんなことをいうんだろう。
「こうしたいとか、こういうのしてほしいとかを言い合えるかどうか。言葉じゃなくても自然とお互いが良い流れに持っていける、その相性は必要だと思います。そこで大事なのは信頼関係でしょうね。お互いがちゃんと好き同士でいい関係性が成り立っていれば、次第に自分の好きなことができるようになるんじゃないですかね(笑)」
── 咲さんにとっては、好き合っていることがセックスがうまくいく条件ですか。
「はい、あとは慣れと勉強です!」
── 今日は楽しかったです。ありがとうございました!
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)