2024.10.20
【第99回】
美魔女はどんな恋愛をしてきた? 「私はシた側の気持ちもサレた側の気持ちもわかるので、既婚者には行きません」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(Web LEON)
テーマは今どきの美女たちの“悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第99回のゲストは、前回に続き涼子さん(40代)です。
前編では、高校生で親に嘘をついて初めてラブホに泊まったこと、社会人になり合コン三昧の生活をするうちに当時の彼氏では物足りなくなってしまったことなどを話してくれました。今回はその後の恋愛模様を伺います。
おぼっちゃま系の彼氏はモラハラ気質でした
「高身長で家柄の良いおぼっちゃま系の人。彼は就活中の大学生で、翌年広告代理店に就職しました。学生時代は楽しく付き合っていたんですが、就職した途端に全然会えなくなり、約束してもドタキャンされるようなことが続きました」
── あらら、なんだか嫌な予感しかありませんが。
「あれこれごちゃごちゃしましたね(笑)。おそらく、彼のことが好きだった共通の知り合いの女の子が私の悪口を彼に吹き込んだみたいで、彼から突然『なんであの子に冷たくするんだ』と責められたこともありました。
── ちょっとモラハラ気味ですね。
「ね、今振り返ればそう。でも当時の私は恋人至上主義だったので(笑)、はいはい!ってやっちゃってたんです。そしたら彼がみんなの前で私を指して『チーママみたいだな』って」
── ひどい男ですね。自分でさせておいてそれって。
男に依存するから捨てられる。自分の人生を自分で選べる女にならないと
そんな扱いされても好きだし、嫌われたくないしで悶々としてしまい、お肌も心もボロボロになって。
結局彼、私を放置して合コン三昧だったみたいです。そこから男性不審に陥って半年くらい泣き暮らし、煽るように酒を飲みすっかりお酒は強くなったんですが(笑)」
── そんな副産物が(笑)。男性不信は治りましたか?
「その時に“男性に依存するから捨てられるんだ。だったら自分で人生を選べる女にならなきゃならん”と心を切り替えました。そこからガラリと目線が変わったのはあります」
「ええ。40歳の会社経営者でした。出会った当時、私は24歳。その頃、モデル事務所にスカウトされて会社を辞めていて、収入が安定するまで銀座のクラブで働いていたんです。ヘルプ的な立場だったんですけどね。
そのお店の常連さんが『僕の友人に涼子さんがタイプの人がいるから紹介する』と言って店に連れてきてくれた人です」
── どんな人だったんですか。
「安心感があるっていうのかな、笑うとお猿さんみたいで可愛かった。そもそも私は3カ月だけ働こうと思っていたんですが、その日から彼が毎日通ってくれて、私は彼の接客だけすることになりました。その後辞めたので、周囲には『水揚げされた』と言われました」
好きになった彼は既婚者でした
「最初は知らなかったんですが、彼、既婚者だったんです。前の彼で傷ついていたので男性には期待しないようにしていましたから、今が楽しければいいかなと思って関係が始まってしまい……」
── ああ、そうだったんですか。彼は離婚するとは言わなかったんですか。
「そういう話はしていましたが、だらだらと関係が続いてしまった。これは良くないと思い、親にちゃんと結婚した姿を見せたいからと言って別れを切り出したんですけどね、『ちゃんと離婚するから』と引き止められ、元鞘に収まって1年後に子どもができたんです」
── 先にお子さんができたんですね。それで籍を入れた。
「いえ、彼とは結婚しませんでした。子どもの認知だけ」
「ええ。あちらの奥さんとはずっと別居だったので私とは事実婚として一緒にいたんですが、結局、私といる間に離婚はしませんでした。痺れを切らしてこちらから別れたんですが、メンタル的には辛いことも多かったです」
── 色々と大変でしたね。ご両親は大丈夫だったんですか。
「子どもができた時に結婚する前提で会わせていました。話が先に進まずだったから親には申し訳ないなとは思っています。
ただ、今は良い関係なんです。子どもとも仲良しですし、教育に関係する費用なども全部彼が負担してくれる。経済的に困ることはなかったので、その辺は財力のある方で感謝しています」
── あ〜その辺はちゃんとしてくださる方だったんですね。それは良かったです。もし今タイムリープして昔の自分に言葉を伝えられるとしたら「その男はやめておきなさい」と言いますか。
「あ〜。いえ、これで正解かな。精神的には辛いことが多かったんですが、自分だけでは関われなかったような人との交流の場にもたくさん連れて行っていただきました。彼がいなかったら見えなかった世界だと思うし、苦労したことについても、今となっては細かく覚えていません」
結婚という形式にこだわらなくて良いと思う
「結婚したいとは思っていません。その制度に縛られてしまうと、夫ならこうしてほしい、妻としてこれをしなければという真面目な自分が出てきそうで。そうしてお互いの行動を狭めてしまうんだったら、形式にこだわらなくて良いと思うし」
── 例えば、また既婚男性のことを好きになったらどうしますか。
「それはもうないかな。妻帯者は嫌ですね。結局、彼と別れた原因も女性関係だったんです」
「そうそう(笑)。その存在が見え隠れしたのもあって別れを決めたんです。だって、それじゃあ私は奥さんでもなければ恋人でもないじゃないですか。自分って何?と思いましたよ。
私はシた側の気持ちもサレた側の気持ちもわかるので、既婚者には行きません。そういう人を好きになっても不幸にしかなりませんから」
── そうですよね。実体験をもとにした言葉には重みがある。今日はいろんなお話を聞かせてくださってありがとうございました!
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)