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2024.11.16

【Vol.03】森實敏彦さん/会社経営者

人と人がサウナを起点につながる、“ととのう”ための別邸

会社経営者の森實敏彦さんは、日本で最初に会社の中にサウナをつくったサ界の功労者。このたび、東京にサウナを中心に人と人がつながることができる別邸を誕生させました。サウナで繋がる人の輪はどこまでも広がっていくようで……。

CREDIT :

写真/長谷川直紀 文・編集/秋山 都(Web LEON)

「サウナは人と人の垣根を取り払い、つながっていくための絶好のツール」

“ととのい”や“サ道”という言葉も生まれ、ヒートアップするばかりのサウナ人気。自宅やオフィスのそばに日常的に通えるサウナアドレスをお持ちの方も多いかと思いますが、いつでも入れるようにと自身が経営する企業の最上階にサウナをつくってしまったのは森實敏彦さん。自動車・航空・宇宙などの分野の総合エンジニアリング企業「タマディック」新社屋に誕生した社内サウナは、世界的建築家である坂茂氏が手がけたこともあり、大いに話題となりました。この時点(2021年)では日本で初めて会社内につくられたサウナでしたが、その後、いくつも会社内サウナが誕生したことから、森實さんがいかに日本のサ界に大きな変化を与えているか、推して知るべしでしょう。
森實敏彦 サウナ
▲ 森實敏彦さんと妻の有紀子さんが東京の別邸に完成させたサウナ「KAUNIS OLO」。
「社内にサウナをつくったことで社員の健康意識や生活は大きく変わりました。でも、その影響はぼく自身にも大きくて。サウナは裸の付き合いだし、人と人の距離が近いことから、まさに胸襟をひらいてリラックスしながら語り合うことができる場所。社員同士のコミュニケーションに役立つのはもちろん、いまままでのビジネス人脈ではつながることのなかった人と出会うことができて、生活は公私ともに大きく変わりました」と語る森實さん。このほど人生で2軒目となるサウナを東京の別宅に誕生させたと聞きつけ、さっそく拝見してきました。
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森實敏彦 サウナ
▲ 120㎡超の物件を大きなLDKと、2ベッドルーム、サウナ+バスルームという間取りにリノベーションした。
場所は都内の閑静なレジデンシャルエリア、小高い丘の上に建つ低層のマンション。1階の物件を今回のサウナのために購入し、スケルトンリノベーションしました。デザインはこれまた今をときめく建築家の谷尻誠氏だというからすごい。
森實敏彦 サウナ
▲ ソファやテーブルなども谷尻氏が吉田愛氏と共同主宰するサポーズデザインオフィスによるオリジナル。なんという贅沢!
会社である「タマディック」のサウナは森實さんのディレクションでつくられたそうですが、自邸のひとつでもある今回のサウナはどちらかと言えば奥さまの有紀子夫人が主導。谷尻誠氏のデザインはとても都会的でクールなテイストが多いという印象でしたが、森實さん宅はどこかやわらかくて有機的だと思っていたら、奥さまの意見が反映されていたんですね。
森實敏彦 サウナ
▲ リビングの椅子はピエール・ジャンヌレ、ダイニングの椅子はハンスJ・ウェグナーがセレクトされていた。
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◆サウナ「KAUNIS OLO」

森實敏彦 サウナ
▲ 茶室のにじり口を思わせるサウナ室のドアは、茶道の師範でもある有紀子夫人のアイデア。
さて、ではいよいよサウナへ。フィンランド語でBeautiful Feelingという意味を持つ「KAUNIS OLO」と名付けられたサウナは手前に洗面スペース、右に水風呂、左にととのいスペース、奥にサウナ室というつくり。特筆すべきは、サウナ室の壁が耐熱性の高いガラス素材のため、内と外で会話が可能というところ。入浴ターン8分の人も、10分の人も会話が途切れず、また視線も遮断されないため、シームレスなコミュニケーションが可能です。なにより奥のサウナ室から手前に流れてくるような高さを違えた構造も美しい。サウナ室で座っている人と、洗面スペースで立って水を飲んでいる人の視線がきっちり合うなど、緻密な計算が成されています。
森實敏彦 サウナ
▲ 一面を鏡面仕上げのステンレスにしたことで広く奥行きを感じられるサウナ室。ストーブは「Harvia Clindro6」、天井に設置した反射板は真鍮製を採用。


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森實敏彦 サウナ
▲ ととのいスペースのベンチは引き出し式で脚を伸ばしてくつろげるように工夫。
サウナの楽しさを描いたマンガ『サ道』にもモリザネ社長として登場する森實さんらしく、ディテールまでこだわりぬいた「KAUNIS OLO」は早くもサウナ―の注目を集めています。が、あくまで個人宅ですので、誰でもが入れるわけではありません。選ばれし者が集まり、膝と膝を突き合わせて密談(?)する様はどこか戦国時代の武将たちが茶室で茶の湯に興じていた様を思い起こさせます。
森實敏彦 サウナ
▲ 屋外にチラー(冷却水循環装置)を設置し、キンキンに冷やすこともできる水風呂。2人で入浴してもゆったりできるビッグサイズだ。
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サウナを出たら、有紀子夫人がダイニングテーブルに切った炉でお茶を点ててくれていました。なるほど、サウナ=茶室という発想はあながち間違いでもないのかも。
森實敏彦 サウナ
▲ 有紀子夫人は表千家の茶道師範を始め、日本舞踊家としても活躍。ワインスクールで講師も務めるなど、美食の世界へも造詣が深い。
最近では「KAUNIS OLO」ブランドのタオルを製作し、ゲストに配ったり、白樺やクランベリーなどフィンランドゆかりの食材を使用したサウナソーセージを開発したという森實夫妻。サウナという余暇に行う、いわば“遊び”にも本気で取り組み、そこで拡がるネットワークを基にさらに成長していくという、ふたりのサ活に成功者の秘訣を学んだように思います。
森實敏彦 サウナ
▲ 今治タオルに草木染で特注したオリジナルサウナタオル。
森實敏彦 サウナ
▲ 白樺入りのソーセージ? と驚いたが、これが意外に(失礼!)ほど良いスモーク感で美味。マスタードをたっぷり添えて食べるのがフィンランド流。
森實敏彦 サウナ

● 森實敏彦(もりざね・としひこ)

株式会社タマディック代表取締役社長。1973年愛知県生まれ。1996年慶應義塾大学卒業後、外資系IT企業を経て、2000年に祖父が創業した株式会社タマディック入社。2002年、代表取締役社長に就任。2021年、自社ビルを坂茂氏のデザイン・設計で木質免振構造に建て替えた際、最上階にサウナ「LUOVA SAUNA」を誕生させ、社員の健康意識と社員同士のコミュニケーションに劇的な改善を図る。フィンランド大使館公認のフィンランドサウナアンバサダー、マスターオブフィンランドサウナにも認定。

ステキなお宅、もっと見たいでしょ?

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