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2025.01.12

アメリカ製の店名入り“ワークエプロン”。これをどう使うかと言えば

常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。

CREDIT :

文/田中知之(FPM) 写真/鈴木泰之(Studio Log)

世界を舞台に活躍するDJ田中知之(FPM)さんが自らの美意識に叶った「男の定番」をご紹介する連載。今回のテーマは……。

■ ヴィンテージ アドバタイジング ネイルエプロン

ここ数年、いよいよ老眼が酷くなってしまったこともあって、iPhoneの機種選びがMaxと名の付く大型タイプになってしまった。携帯電話は以前ならば、サイズも小ぶりだったし、ジャケットやパンツのポケットに突っ込んでおいても何とかなったのだが、この大きさだとどうもおぼつかない。かといってカバンを携行するのも面倒な日もある。

何か良いアイテムはないものか? と探していたところ、某古着屋の店頭で見つけたのがこれ、ヴィンテージの店名入りの“ワークエプロン”、日本風に言えば商店名入りの“前かけ”である。さまざまな職種のものや、もちろん胸あてがあるタイプ、イラストが入ったり、各時代に素材もカラーリングもさまざまに作られているが、私が手に入れたのはアメリカ製で、少し古そうだが詳しい年代は不明のコットンのキャンバス地に無骨なぺったりとしたプリントが施されている2枚。
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ヴィンテージアドバタイジングネイルエプロン WebLEON
青いほうは未使用品で、赤いほうは少しだけ使われた痕跡があり、キャンバス地が黄味を帯びてきている(ちなみに私はこの古い白のコットン地の経年変化が大好物である)。いずれの個体も“LUMBER”とあるから材木屋さんのもので、スラッシュポケットが付くのだが、これは材木屋さんが釘を入れて使うためで、特に“Nail(釘)Apron”と呼ばれる。このポケットがiPhoneやちょっとしたカードケースなどを入れるのにピッタリなわけだ。
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腰紐が付属するが、さすがに腰に巻く正規の使用はせず、紐を最大の長さに結んでサコッシュのように斜め掛けするのだ。これはキャンバスといえど薄手の布製だし、身体にフィットするので、ジャケットやコートの内側にさり気なく着用できる。もちろん、上着の上からでも良いわけだが、英語といえど「〇〇木材株式会社」とデカデカと書いてあるわけで。これが、上着の内側だとアルファベットがチラッと見えるだけで、それが着こなしの良いアクセントになる。

私のように古着屋で探してもよいが、eBayなどを覗くと数千円くらいでたくさん出品されている。もちろん程度も年代もプリントの具合も千差万別、好みのものを探すと楽しいだろう。いつも入手困難で少々高価なヴィンテージが登場することが多いこの連載だが、今回は安価で入手も簡単。ただし、かなりニッチなアイテムなのは “裏定番”の連載タイトルとおりだなぁ、と我ながら。

ユーズドの赤いプリントのほうのポケットから釘が1本出てきた。古着を買い続けると思いがけなくこういうことがあるが、なんだか前の持ち主からのメッセージのようでうれしいものだ。

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田中知之(FPM)

田中知之(FPM)

1966年京都生まれ。音楽プロデューサーでありDJ。それでいてクルマも時計も大好物。ヴィンテージにも精通し、服、家具問わずコレクターであり、食への造詣も深い。www.fpmnet.com

2024年12月号より

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