2024.02.14
技術スキー王者、武田 竜選手に聞く! 39歳で5連覇に挑むカラダ作りの極意とは?
アルペンスキー競技の日本代表としてしのぎを削った20代を経て、現在は基礎スキーのジャンルで名を馳せるプロスキーヤー、武田 竜選手。全日本技術スキー選手権大会を4連覇中の39歳に、ライフステージに見合ったカラダ作りのコツを教えていただきました!
- CREDIT :
写真/上村幸将、伊藤 剛 ヘアメイク/鈴木パラ(ONTHE) 取材協力/Functional Training Lab ORIGIN 文/吉田奈緒子(Web LEON)
“日本一美しいスキー”の根幹となるトレーニング、食事、睡眠
オリンピック出場を目指していた20代の頃、全日本スキー選手権大会のアルペン競技男子回転および大回転で優勝経験を誇る持ち主だけに、当時はトレーニングから食生活までストイックに自らを律していたという。現在のライフスタイルでは「かつてほどのアスリートといった感覚はもうない」と語るが、アジア全体の基礎スキーを牽引する役割を果たすために、現在はどのようなカラダ作りをしているのだろうか? その秘訣を聞いてみた!
「できることをできる時にやる。そんな感じ」
武田 トレーニングの頻度は理想としては1回2時間で週5日。有酸素運動とウエイトトレーニングで強化をします。でも若い頃のようにガムシャラに鍛えるのではなく、“量より質”を重視してパーソナルトレーナーにも付いてもらっていますね。ストレッチも大事で、トレーニング後だけでなく、自宅やホテルなどの出先でもやっています。
基本的に移動が多い仕事だし、毎日何かと動いています。性分的にジッとしていられない(笑)。こうしてインタビューを受けている間だって、5秒間足を浮かせるだけでも腹筋を鍛えられるわけだし、できることをできる時にやる。そんな感じです。
── 陸上でのトレーニングについて、もう少し詳しく教えてください。
実はゴルフが趣味なんです。ベストスコアは71で、2〜3年前から競技会にも出るようになりました。
武田 足腰の強さが大切なので、お尻の大臀筋ともも裏のハムストリングです。上半身だと、肩甲骨周りの筋肉と背筋も鍛えますね。後ろ側全体に刺激を与えながら、バランスを取るために前側も鍛えます。
武田 いえ、オリンピックを目指していた頃に比べたら緩い感じです。いまは当時よりもだいぶ筋肉が落ちて、カラダがひと回り小さくなりましたから。食事面も同じように、もうそれほどストイックではないんですよ。アルペン競技に本腰を入れていた頃は、標高の高いところで毎日何本も滑走するキツい練習をしていたし、パフォーマンスを最大限に発揮するための適正体重を保てるよう、食事を厳しくコントロールしていました。
いまは指導者なので、たとえ会食が長引いてしまっても、翌日は早朝からゲレンデに出るなんてこともけっこうあります。でも、子供の時からずっとスキーをやってきたから、それでもきちんと滑れちゃうんですよ。
── サプリメントは何か利用されていますか?
武田 いまも昔も特に何も摂ってないです。僕は昔から好き嫌いなく何でも食べるし、サプリメントで何かが変わる感じはしないので。食事とトレーニングで、充分にコンディションを整えられると思います。
武田 分かってはいるんですが、シーズン中はどうしても睡眠は少なくなります。ほとんどホテル生活なのでヘンな枕だと寝付きが悪かったりするけど、「ブレインスリープ」の枕に換えてからすごくよく眠れるようになりましたね。国内の移動ではつねに持っていきます。
── 武田選手はふだんからお洒落も好きかと思いますが、服をカッコ良く着るためにはどんなトレーニングが最適でしょうか?
「チャンピオンのプライドは、当然あります」
武田 そうですね。正直、「4回も勝って、もういいんじゃない?」と思っている人たちが多いのも事実。でも、「次も頼むね」って期待してくれている人たちがいる限り、(5連覇を)狙っていきたいです。
1回目、2回目に優勝した時は、僕の技術は誰もマネができなかった。それで僕の滑りが基準になったわけですが、3回目、4回目の時はだんだんと他の選手たちが追いついてきて、今度は間違いなく混戦になります。だから、審判員たちの意表を突くような何か新しいことをやらないといけない。それをいま、考えているところです。
取材時、「ディフェンディング・チャンピオンとしてのプライドは、当然あります」と静かに闘志を燃やしていた武田選手。30代最後の年に前人未到の偉業達成なるか──!? 経験と実績、勝負勘の強さに裏打ちされた美しいスキーを、頂上決戦で見られる日は近い。
Profile
● 武田 竜(たけだ・りゅう)
1984年6月20日、北海道・小樽市生まれ。4歳からスキーを始め、地元のレーシングチームを拠点に活動。中学3年生でアルペンスキーの日本代表ジュニア指定選手に選出され、シニアの代表選出後も国内外のアルペン競技大会で挑み続ける。2011年、2013年に全日本スキー選手権大会で優勝。同年は国内で4勝を果たした。
2014年、イタリア開催のアルペンスキー・ワールドカップに初出場後、活動拠点を日本に移す。帰国後は、技術を競い合う基礎スキーとアルペンスキーの二刀流を手掛け、全日本技術スキー選手権大会では2019年〜2023年の間に4連覇を達成。2024年3月開催の同大会本選で5連覇に挑む。
現在は、全日本スキー連盟の教育本部に所属。国内のみならず、アジア各国にも遠征、各地のインストラクターたちに技術スキーの指導を行ない、スキー人口の裾野拡大に尽力している。
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