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2024.09.07

次の役は色気ダダもれ!? 仲野太賀「常に未知のキャラクターに挑める役者でいたいんです」

映画やTV・配信ドラマにひっぱりだこ、しかも作品毎に全く違う表情を見せてくれる俳優・仲野太賀さん。大活躍だった2024年、その締めくくりとなる舞台作品への思いや、俳優という仕事で大切にしていることなどを伺いました。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ スタイリスト/石井 大 ヘアメイク/高橋将氣 文/牛丸由紀子 編集/アキヤマケイコ

「また仕事をしたい」と思ってもらえることは、とても幸せです

▲ ジャケット7万4800円/ティー・ティー、靴9万2400円/フィグベル(プロッド 東京)、その他スタイリスト私物
13歳で俳優デビュー後、多くの映画やドラマ、舞台で実力を積んだ仲野太賀さん。今や、強烈な個性で場を掻き回す役から、市井の青年の心の機微を表現する役まで幅広く演じ分ける実力派として、高い評価を受けています。話題作にも次々と出演、今年10月からは、岩松 了作・演出の舞台『峠の我が家』で主演を務めます。舞台の魅力、そこで演じることで俳優として得た気づきなどを話していただきました。

── 岩松作品には、今回、6作目の参加ですね。もう、岩松さんの舞台になくてはならない存在なのでは?
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仲野太賀さん(以下、仲野) いや、まだまだです。毎回、演じるたびに「これで大丈夫だったのかな」「やっていたことが正しかったかな」と不安になることも。だから、またオファーをいただくと、自分が間違ってなかったと感じられるのでうれしいんです。

俳優というのは「この人とまた仕事をしたい」と思ってもらえなかったら終わり。ですから、初めて仕事をいただくのもうれしいですが、何度も声をかけていただく喜びは、より大きいです。

── 特に今回の『峠の我が家』は、岩松作品で初めての単独主演です。

仲野 出演が決まること自体がうれしいので、順番は何でもいいと思ってはいました。でも、「いつかそんな日が来れば……」と思っていたので、とうとう来たんだな、と感慨深かったです。

── 座長としてのプレッシャーはありますか?

仲野 そこは正直、ないのですが、この作品に関わる皆さんが、参加してよかったなと思えるようにはしたいですね。どの作品も一期一会、同じメンバーで2回、3回と仕事をすることはなかなかない。だから、座長かどうかに関わらず、常に仕事現場はいい空気にしようと心がけています。
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映画少年だった僕に、舞台への扉を開いてくれたのが岩松さんの作品です

── 岩松作品への参加回数を重ねたことで、内容の解釈や、受け取るものに変化はありましたか?

仲野 岩松さんと過ごす時間が長くなり、戯曲への考え方や価値観に触れる機会が増える毎に、自分自身も作品をより楽しめるようになりました。岩松作品は難しいと言われることも多いんですが、そこも含めて。何とも形容しがたいことの方が、実は重要なんじゃないかと捉えられるようになったというか。演者の視点だけではなく、岩松作品の一ファンとしても、楽しみ方がどんどん深まっている気がします。
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── 舞台の世界に足を踏み入れたきっかけも、岩松さんのワークショップへの参加だったそうですね。

仲野 映画少年だったので、映画への憧れは強かったのですが、舞台にはほとんど触れてなかったんです。でも10代後半で初めて岩松さんの舞台を見た時に、舞台って何だかすごい、言葉にできないけれど、確実に心に残るこの感覚は何なんだ! と感じて。映画以外にも楽しい素敵なものが、この世界にはいっぱいあるじゃないか! と、目の前に新しい扉が開いたんです。

知らず知らずのうちに自分の世界を狭めていたことにも気がついて、もっと舞台を見ないと駄目だ、と思いました。それからどんどん興味を持つようになった。舞台の奥深さを初めて体験したのが岩松さんの作品だったので、自分の中では特別なものですね。

深い吸引力があり、余韻が残る。そんな舞台に惹かれ続けています

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── 惹かれたのは、舞台ならではの生身の人間が発する迫力のような部分ですか?

仲野 岩松作品の世界観って、外に向かって発光していく魅力というより、エネルギーを吸引していく、引力のような深さがある。その虜になった気がします。だから、この世界をもっと知りたい、この人が書く作品の中に入ってみたいと思った。それでワークショップを受けたのですが、やればやるほど難しい(笑)。でも、台本を読むほどに新しい発見があって、それが当時の僕には鮮烈でしたね。

さらに舞台が始まると、小さな劇場にも関わらず、自分が憧れている俳優さんや映画監督がたくさん観に来ている。自分が本当によいと思うもの、カッコいいと思うものを突き詰めれば、映画とか舞台とか、ジャンルに関係なく繋がったり広がったりするのかもしれないと思いました。

自分の理解を超えた“分からない”ことに本質があると気付かされました

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── 岩松作品に参加したことで、仲野さんのお仕事や人生観に影響を与えていることや、岩松さんからの言葉で印象に残っているものはありますか?

仲野 以前、岩松さんが、「人はいろいろなことを“分かった”気になるけれど、それは結局、その時、自分の中で理解できている小さなこと。でも“分からない”ということは、自分の理解を超えた大きなもので、実はそこに真実や本質があるんじゃないか」とおっしゃった。“分からない”ことをネガティブに捉えない、そういう解釈があるということが、目からウロコというか、衝撃でした。でも、すごく納得できたんですよね。

人間って“分かっている”ことで安心するし、分かった知識や経験を多く持っていることを重視しがち。でも世界中には“分からない”ことのほうがはるかに多い。“分かっている”は、自分の主観でしかない。それより“分からない”ことのほうに、はるかにドラマがあるんじゃないかと。

── なるほど。“分からない”部分にこそ、魅力があると。

仲野 そうなんです。“今を描く”という視点でも、分かってしまった時点で、それは今じゃなくて過去になってしまう。“分からない今”、それが岩松さんの描こうとしている“今”じゃないかと思うんですね。

岩松作品は、セリフもすごく多いんですけど、どれも美しい。でも、言葉を尽くしても尽くしても、形容できない何かが舞台上に残っていく。それが素敵だと思えるんです。
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挑戦し続ける人、世代の垣根を越えられる人はカッコいいと思います

── 数々の映画やTV・配信ドラマに参加されていますが、特に今年は、主役級の役も続いていて、大ブレイクされている印象です。

仲野 大ブレイク、というのは正直、自分では分からないですが、そう言っていただけるのは素直にうれしいですね。実際には、ひとつの作品が終わってから次に取り組む、という形でスケジュールを組んでもらっているので、それぞれ集中して向き合えていて、自分にとって心地いいリズムでお芝居ができている感覚です。

役者って、声をかけていただいて、それが次につながる仕事なので、映像であれ舞台であれ、たくさんの人に作品を見てほしいです。
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── 現在31歳。今後、ますます活躍が期待されていますが、ご自身の目標や目指す方向は? また「Web LEON」で必ずする質問ですが“カッコいい大人”とは、どういう人だと思いますか?

仲野 やっぱり“挑戦を続ける人”はカッコいいと思いますね。年齢を重ねると経験値は増えていくと思いますが、それで守りに入るのではなく、常に新しいことに挑戦する人。さらに言えば、自分より若い世代の人たちと活動できる人、世代の垣根を越えて物事に飛び込んでいける精神性を持ち続けられる人。自分自身もそうありたいですよね。

僕は、未知の人と出会ったり、新しい発見をしたりすると、すごくモチベーションが高まる。だから、そういう機会を求めて、旅にもよく出かけます。今年もいろいろな場所に行きました。今後も旅を通して新鮮な体験をして、少しずつでも知らないことを知る努力を続けたい。それが、仕事にもいい刺激をもたらしてくれるんじゃないかと思っています。

持って生まれた色気で勝負!? 新たな男の魅力をお楽しみに

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── 新しい挑戦といえば、今回の『峠の我が家』は、岩松了さんと二階堂ふみさんが演じる夫婦の旅館に、仲野さんが旅人として訪れて人間関係が不穏に……という物語で、岩松さんが「仲野さんの男の色気を期待しています」とコメントされています。色気のある男の役作り、何かされていますか? 

仲野 いやぁ、何もしてないな。持って生まれたもので勝負ですかね(笑)。確かに、男の色気を出すような役柄は、今まであまりなかったかもしれないですね。でも、これまで岩松さんにいろんなキャラクターを演じさせてもらったので、今回も楽しみにしています。

── 色気ダダもれの仲野さん! 新たな魅力に期待してもいいでしょうか?

仲野 劇場が色気で溢れるような(笑)。ぜひ、楽しみにしてください!
※掲載商品はすべて税込み価格です

● 仲野太賀(なかの・たいが)

1993年生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビュー。2021年に映画『すばらしき世界』で日本アカデミー賞優秀助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞、2022年にエランドール賞新人賞を受賞。近年の主な出演作に、舞台『もうがまんできない』、『いのち知らず』、『二度目の夏』、映画『熱のあとに』、『笑いのカイブツ』、TVドラマ「新宿野戦病院」「虎に翼」、「季節のない街」、「いちばんすきな花」など。今後、映画『十一人の賊軍』(11/1公開)、『本心』(11/8公開)も控えている。また、2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、主演の豊臣秀長役を予定している。

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■ M&Oplays プロデュース『峠の我が家』

作・演出/岩松 了
『結びの庭』(2015年)、『家庭内失踪』(2016年)、『少女ミウ』(2017 年)、『二度目の夏』(2019年)など、数々の話題作を提供し続けている、M&Oplaysと岩松了による人気プロデュース公演最新作。『国民傘』(2011年)で岩松作品に初参加し、今回で6作目となる仲野太賀が単独初主演、ほか二階堂ふみ、柄本時生、池津祥子、豊原功補らが参加する。物語の舞台は、峠にある世間から隔絶されたような古い一軒家。夏の間、旅館を営むこの家には借金のカタとして家に嫁いできた女(二階堂ふみ)がいる。そこにある若者(仲野太賀)が訪れ、やがて若い二人の間に芽生えていく感情……それは、恋心なのか? さらに、この家を取り巻く人々の思惑や企みが絡みあい、物語は不穏な方向へ──。10/25〜東京・本多劇場を皮切りに、新潟、宮城、富山、愛知、広島、岡山、大阪と巡演。
HP/https://mo-plays.com/wagaya/

■ お問い合わせ

ティー・ティー 075-525-0402
プロッド 東京 03-6427-8345

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