2024.11.16
フランク ミュラーの新たな一手は“古くて斬新”な手巻き時計です
腕時計のプロたちが魅了された1本をリコメンドする本企画。今回はライター/エディターの長谷川剛さんが「フランク ミュラー」の『グランド カーベックス 7デイズ パワーリザーブ』を選びました! 伝統的なスイス機械式時計のエッセンスを盛り込み、さらに約7日巻きの力強さも兼備した、オイシイモデルなのです。
- CREDIT :
文/長谷川 剛(TRS) 編集/岸澤美希(Web LEON)
選者:ライター/エディター 長谷川 剛
ブランドの新章を告げる? 旧くて斬新な手巻きモデル
そして今季は、その美麗ケースに新造ムーブメントを組み込んだ非常に興味深いモデルが登場しました。グランド カーベックス 7デイズ パワーリザーブは、一見シンプルな3針モデル。もちろん先述の究極的湾曲ケースを採用しており、他の時計にはない滑らかなエレガンスを放ちます。
加えて、シンプルな3針式としてはある意味珍しい手巻き式です。あたかも機械式時計の古典に対しリスペクトを表すかたちで、このcal.1702は作りだされたように見えるのです。
ただし、現代時計としてのエッジもきちんと装備。香箱は先進技術の投入により実現した二階建て式のツインバレルで、モデル名のとおり約7日間という極めて長いパワーリザーブを保持します。この機能により2〜3日おきに巻き上げるなどの手間が不用なだけでなく、安定したトルクにより常に正確な時間を刻み続けてくれるのです。
つまり、グランド カーベックス 7デイズ パワーリザーブは、フランク ミュラーならではのエレガンスに加え、現代技術の賜物であるスーパーロングパワーリザーブ、そして古典的味わいなど多くのエッセンスを網羅した新作というワケ。時計の持つあらゆる側面を楽しみ尽くしたいという人に、うってつけの一本と言えるでしょう。
「時計オタクを唸らせる数々の伝統様式と技法に注目」(長谷川)
そんななか打ち出された本モデルで特に注目したいのが、そのムーブメント。新造のcal.1702は、ジュネーブ様式のブリッジに加え、シャトン留めスタイルやチラねじテンプなど、要素だけを見たら古えの懐中時計のごときパッケージ。
しかも、パーツの磨きにおいてもジュネーブの伝統であるコート・ド・ジュネーブやペルラージュにはじまり、アングラージュ(面取り)、サティナージュ(サテン仕上げ)、コワン・ソルタン(鋭角仕上げ)など、各種の職人技が注ぎ込まれています。
つまり18世紀から長く蓄積されたスイス時計の伝統を網羅したアーカイブ的な側面も備えているのです。コアな時計好きの琴線に触れる要素を詰め込んだ、フランク ミュラーの新たなる一手。思った以上の奥深さに一本取られてしまいました。
● 長谷川 剛(はせがわ・つよし)
各種ファッションメディアを中心に、男性の服装や時計についてのページを手掛けるライター、時々エディター。バイクと古い服と時計好き。老近眼。
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フランク ミュラー ウォッチランド東京 03-3549-1949