2025.03.11
オメガは自動巻きのスピードマスターもイイぞ! 王道パイロットウォッチの魅力もたっぷりな新作
腕時計のプロたちが魅了された1本をリコメンドする本企画。今回は時計ジャーナリストの渋谷ヤスヒトさんが「オメガ」の『スピードマスター パイロット』を選びました! ムーンウォッチとは違う、スピードマスターの魅力が楽しめます。
- CREDIT :
文/渋谷ヤスヒト 編集/岸澤美希(Web LEON)
選者:時計ジャーナリスト 渋谷ヤスヒト
自動巻きの「スピマス」もお忘れなく!


ところで“ムーンウォッチ”はなぜ手巻きだったのか。それにはふたつの理由があります。ひとつめの理由は月に行く時計を選んだ当時、自動巻きのクロノグラフがまだなかったから。
そしてもうひとつは、宇宙空間や月面には重力が少なく、自動巻き機構の意味がないから。ただ、実はふたつめの理由は正確じゃありません。なぜなら腕に着けていれば、重力が少なくても回転錘は回るので、それなりにぜんまいは巻かれるはずなのです。

その特徴は、ひと目でそれとわかる存在感抜群の“トノー型”の外枠をもつケース。“ボルケーノ(火山)”や“モノコック”、マーク型などと呼ばれています。そして1970年代のレーシングデザインと言えばよいのか、インダイヤルやインデックスに鮮やかな“差し色”を使った文字盤も特徴です。加えて、オメガ初のレマニア製自動巻きクロノグラフムーブメント、Cal.1040が搭載されました(※)。実は、ボルケーノ・ケースは分厚いこのムーブメントを搭載するために生まれたデザインだったのです。
自動巻きクロノグラフが各社から競って登場したのはマークⅢより1年半くらい前の1969年。「オメガとしても自動巻きモデルを出さないわけにはいかない」という気合いを、このボルケーノ・ケースからは感じられます。
そういえば、マークⅢの前作のマークⅡも手巻きではありますが、プロフェッショナルとは違うテイストのデザインでした。「他の人とは違うスピマスが欲しい」という向きには、そっちもなかなかに魅力的です。
「パイロットウォッチの王道デザイン!」(渋谷)

ケースバックにも伝統的なシーホースのメダリオン取り入れるなど、手巻きスピードマスターの伝説をさりげなく継承しているのも見逃せないところ。
▲ グレイン仕上げマットブラックの文字盤に対し、2つのインダイヤルが鮮やか。9時位置のスモールセコンドは、飛行機のコックピットの目標照準表示をモチーフにしたデザイン。どちらのインダイヤルもオパーリン仕上げで、文字盤から傾斜がつけられたくぼみ形状になっている。
▲ ねじ込み式の裏ブタにはシーホースのメダリオンが鎮座。あえてシースルーバックにしないのも往年のパイロットウォッチを彷彿とさせる。
▲ 特製トラベルポーチにNATOストラップ、交換用工具が付属するため、簡単にSSブレスと交換して気分を変えて楽しむこともできる。
▲ グレイン仕上げマットブラックの文字盤に対し、2つのインダイヤルが鮮やか。9時位置のスモールセコンドは、飛行機のコックピットの目標照準表示をモチーフにしたデザイン。どちらのインダイヤルもオパーリン仕上げで、文字盤から傾斜がつけられたくぼみ形状になっている。
▲ ねじ込み式の裏ブタにはシーホースのメダリオンが鎮座。あえてシースルーバックにしないのも往年のパイロットウォッチを彷彿とさせる。
▲ 特製トラベルポーチにNATOストラップ、交換用工具が付属するため、簡単にSSブレスと交換して気分を変えて楽しむこともできる。
手巻きの“ムーンウォッチ”の伝統を継承しつつ、パイロットウォッチの王道を行く自動巻きモデルであるスピードマスター パイロット。これで146万3000円という価格は、かなり良心的。スピマスの未来を拓こうという、オメガの気合いを感じます。
コンサバの手巻きももちろんいいけど、ここまで作り込まれてる自動巻き、なかなかない。何しろ、マスタークロノメーターだし!


● 渋谷ヤスヒト(しぶや・やすひと)
ジャーナリスト、ライター、編集者。腕時計をいちばんのメインに、洗濯機や掃除機などの白モノ家電、パソコンやケータイ、デジカメなどの情報家電からクルマ、靴などのファッションアイテム、食品まで幅広く「本当に良いモノ」を探求中。
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オメガ 0570-000087