• TOP
  • CARS
  • 新型ポルシェタイカンで1000kmドライブ。その正常進化ぶりを体感!

2024.11.15

VOL.22 「電気自動車ってなんだ?」

新型ポルシェタイカンで1000kmドライブ。その正常進化ぶりを体感!

2024年2月、新型のポルシェタイカンが発表された。「Higher, faster, further(より高く、より速く、より遠くへ)」をキャッチコピーとして掲げるフェイスリフトモデルだ。9月末頃からようやく日本でも納車が始まっており、ベーシックモデルである後輪駆動のタイカンを借り出し約1000kmのロングドライブへ出かけてみた。

CREDIT :

文/藤野太一 写真/ポルシェAG

フェイスリフトでよりシンプルに、洗練された印象へ

ポルシェ初の量産BEV(電気自動車)タイカンが発表されたのは2019年末のこと。それから約4年を経て、広範囲におよぶアップグレードが施された。これまでグローバルで約15万台のタイカンが生産されたという。導入当初は年産約3万台という話を聞いていたので、計画以上のタイカンが世界中を走っていることになる。日本市場はいまだ新車販売におけるBEVの割合が約2%ということもあり販売台数はまだそう多くはないかもしれないが、東京の街ではよく見かけるようになってきた。
ポルシェ タイカン 新型
▲ こちらは先代、前期型タイカン。ヘッドライトの下にのびるスリットが特徴。
これは他のモデルにも共通することだが、ポルシェはフェイスリフトでエクステリアデザインに大きく手を入れることはしない。変更点は主に2つ。ヘッドライトとテールライトだ。フロントは先代ではヘッドライトから縦にのびる特徴的なスリットが与えられていたが、それが廃されシンプルな顔つきになった(ちなみにターボとターボSには、新デザインの縦長の黒いパネルが配されている)。テールライトはひと目で見分けるのは難しいが、よく見るとライト中央にあるポルシェロゴが立体的なガラスルックのデザインになっている。
ポルシェ タイカン 新型
▲ テールライトの中央にあるPORSCHEのロゴが立体的なガラスルックのデザインに。
インテリアデザインも基本的に先代から大きな変更はない。インストルメントクラスターやセンターディスプレイの機能やデザインが最適化されており、アンビエントライトやスマートフォンのワイヤレス充電機能、ステアリングホイールのモードスイッチ、パワーステアリングプラスが標準装備になった。
PAGE 2

理想的な環境下での充電性能が向上

BEVにとってもっとも気になるのは航続距離だろう。バッテリーの総容量は89kWhで、オプションの大容量仕様であるパフォーマンスバッテリープラス(PBP)は、先代の93kWhから105kWhに増加。標準仕様は最大出力408PS/最大トルク410Nm、PBP仕様なら435PS/420Nmへとアップする。0-100 km/h加速は4.8秒で、これは先代モデルを0.6秒上回る。
ポルシェ タイカン 新型
▲ 基本デザインは先代を踏襲するインテリア。オプションで助手席用のディスプレイが備わる。ステアリングホイールに、ダイヤル式のドライブモードセレクターを標準装備。「ノーマル」「スポーツ」「スポーツプラス」「レンジ」の4種類の走行モードを切り替え可能。
PBP仕様の航続距離は最大678 km (WLTPモード)と先代に比べ約35%増加しており、また充電性能も最高270kWから最高320kWに引き上げられている。理想的な環境であればバッテリーを10%から80%まで充電するのに必要な時間は、先代の21分30秒から18分まで短縮されているという。実際のところいまの日本の環境では、高速道路の急速充電器で30〜90kW、ポルシェディーラーなどのポルシェターボチャージングで150kWなので、その性能を使いこなせる環境は整っていない。
PAGE 3
まだ約1000kmの慣らし運転を終えたばかりの100%充電された新型タイカンを借り出す。車両はPBP仕様でメーターに航続可能距離522kmと表示されていた。この数値は今後の走り方によって変わるものだが、おおよそカタログ値の8割くらいは走りそうだ。
ポルシェ タイカン 新型
▲ バッテリーの容量は先代では標準79.2kWh、オプションのパフォーマンスバッテリープラスが93.4kWhだったが、新型では標準が89kWh、PBP仕様では105kWhにまで増えている。
東京から約400km、東北自動車道にのって仙台へと向かった。新型タイカンはリアモーターの出力を60kWアップ。さらにソフトウェアの最適化、高速からの減速時の最大回生性能を30%以上向上、空気抵抗や転がり抵抗の低減など高効率化が図られている。またアダプティブエアサスペンションが標準装備になったこともあり、加速がよくなっているとともに、乗り心地もさらに改善されている。BEVならではの静粛性の高さもあって、オプションのBOSEサウンドシステムがさらにいい仕事をする。ロングドライブにはまさにうってつけのクルマだ。
PAGE 4

1日目は不安を感じさせることなく約420kmを完走

ポルシェ タイカン 新型
▲ メーター類、センターディスプレイなど、アナログなスイッチ類はほぼなくデジタル化されている。オプションの固定式パノラマルーフを選べば明るく開放的な室内に。
道中は高速を下りて那須塩原あたりで少しドライブをしてから昼食をとり、ふたたび高速にのって仙台へと向かう。バッテリー残量が少なくなった場合には安達太良SAにある90kWの充電器に立ち寄る算段だったが、その時点でバッテリー残量は51%、航続可能距離は253kmと表示されていた。仙台まではあと約120kmということもあり、そのまま向かうことにする。仙台市内に到着時点での表示は残り37%、178kmだった。結局、道中は一度も充電することなく、なんの不安なく約420kmを完走できた。

ホテルにある普通充電器でひと晩充電しておくと、翌朝にはバッテリー残量は100%になっていた。翌日は山形県の天童市に立ち寄ってから東京へ向かうとする。道中は雨に降られるもいたって快適にひた走る。2WDだから安定感に欠けるなんてことはまったくないし、なおのこと軽快感が気持ちいい。
ポルシェ タイカン 新型
▲ 全車にアダプティブエアサスペンションを標準装備。出力と航続距離が増加したこととあいまって、ベースモデルであってもグランドツーリングカーとしての性能が高まっている。
帰路は途中渋滞にももまれたため、念のため蓮田SAの充電スタンドに立ち寄ることにする。ここは90kWが6基あるので並ぶこともほとんどない。30分の充電でバッテリー残量は20%から50%まで回復。これだけ残量があれば、首都高速の渋滞にも不安なく飛び込める。充電の待ち時間にイライラすることもなく約1000kmのドライブを終えた。
PAGE 5

150kWの充電器の速さはケタ違い

翌日は、東京・虎ノ門にあるポルシェターボチャージングステーションでの充電を試す。CHAdeMO規格としては国内最速級の150kWの充電器が全国のポルシェ正規販売店や東京、名古屋、大阪の10拠点に用意されているものだ。バッテリーの状態にもよるが、やはり速い。残り37%で充電を開始し、バッテリー残量70%を超えても140kWで、80%を超えても102kWでチャージし続け、わずか30分で90%に到達した。

これならその名の由来のとおり、“お茶でも”しながら待っていられる。新型タイカンは実用性がぐっと増し、その魅力がさらに増したことは間違いなさそうだ。ちなみに返却時に100%充電状態の航続可能距離を確認したところ544kmと電費は少し改善されていた。走り方によってはまだまだ改良の余地はあるはずだ。
ポルシェ タイカン 新型
▲ 新型のタイカンターボクロスツーリスモ。こちらはヘッドライトの下に黒いパネルが配されている。最大出力884PS、0-100km/h加速2.8秒とまさにスーパースポーツカー。
世界的にBEVの需要が減速しているという報道が多くみられるが、それはあくまで伸び率が鈍化しているという話であり、世界市場に占めるBEVのシェアは拡大し続けている。そしてポルシェもまた着実にBEVを進化し続けているというわけだ。
PAGE 6

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        新型ポルシェタイカンで1000kmドライブ。その正常進化ぶりを体感! | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト