• TOP
  • CARS
  • Gクラス、ジープのいいとこ取り⁉ 「ジムニー・ノマド」に人々が熱中する納得の理由とは?

2025.02.26

Gクラス、ジープのいいとこ取り⁉ 「ジムニー・ノマド」に人々が熱中する納得の理由とは?

2025年1月30日、ジムニーの生みの親であり前社長である、故・鈴木修氏の誕生日でもあるこの日、ジムニーの5ドア版の「ジムニー・ノマド」が発表された。そのわずか4日後、“注文停止”のプレスリリースが配信された。週末のディーラーには順番待ちの長蛇の列ができ、販売計画を大幅に超える約5万台の注文が入ったという。どうしてそれほどまでにジムニーは人気なのか考察してみる。

CREDIT :

文/藤野太一

ジムニー史上初の5ドアモデル「ジムニー・ノマド」と現社長の鈴木俊宏氏。
▲ ジムニー史上初の5ドアモデル「ジムニー・ノマド」と現社長の鈴木俊宏氏。
現行型ジムニーが登場したのは2018年のこと。660ccのエンジンを搭載する軽自動車版の「ジムニー」と、軽のジムニーをベースに1.5リッターエンジンを搭載し、トレッド幅を少し拡大した普通車版の「ジムニー・シエラ」というバリエーションがある。いずれも3ドアのみの設定だ。

このジムニー&シエラはデビュー直後から大ヒットとなり、デビューからおよそ7年が経過したいまもグレードや仕様によっては納車1年待ちとも言われている。

そもそもジムニーとはどんなクルマなのか。ひとことでいえば、ラダーフレーム構造をもつ本格オフローダーであり、軽自動車としては唯一無二の存在。1970年の初代誕生以来50年以上にわたってそれを貫いており、林業関係者やオフロード走行愛好家、競技者などいわばプロのツールとしてのニーズに支えられてきた。よりマニアックにいうならば、ジムニーとは「FRレイアウト」、「副変速機付パートタイム4WD」、「リジッドアクスル式サスペンション」を求める人たちのクルマだった。
PAGE 2
ラダーフレームは梯子型の形状からそう呼ばれる。このフレームの上にボディを載せて固定するもので、構造がシンプルでタフであることがメリット。それゆえ本格オフロード車や貨物車などトラックでもこれを採用する。一方、現在の乗用車の主流はボディとシャシーとを一体化したモノコック構造。軽量で衝突安全性に優れるといったメリットがある。
▲ ラダーフレームは梯子型の形状からそう呼ばれる。このフレームの上にボディを載せて固定するもので、構造がシンプルでタフであることがメリット。それゆえ本格オフロード車や貨物車などトラックでもこれを採用する。一方、現在の乗用車の主流はボディとシャシーとを一体化したモノコック構造。軽量で衝突安全性に優れるといったメリットがある。
初期のジムニーを見ればわかるが当初はいわゆるミニ・ジープともいうべきデザインだった。ジープは丸いヘッドライトと7スロットグリル(縦に7本のスリットが入っている)を特徴とするが、ジムニーの初期モデルでも丸いヘッドライトで8本や10本のスロットを備えたモデルがあった。その後はスロットを廃止するなどデザイン変更を繰り返し、ジムニーらしさを求めて試行錯誤してきた歴史がある。
1977年のジムニー8(SJ20)。丸いヘッドライトに8スロットグリルを組み合わせた、まさにミニ・ジープといえるデザイン。
▲ 1977年のジムニー8(SJ20)。丸いヘッドライトに8スロットグリルを組み合わせた、まさにミニ・ジープといえるデザイン。
PAGE 3
そして2018年に現行型4代目ジムニーがデビューする。フロントグリルには丸いヘッドライトと5スロットを備え、ボディ形状は空力性能を重視するいまどきのクルマとは思えないほど圧倒的に四角い。個人的な意見ではあるが、メルセデス・ベンツGクラスを彷彿とさせる。このジープとGクラスのいいとこ取りをしたようなデザインが、現在のジムニー人気の大きなきっかけとなったはずだ。
軽自動車版の「ジムニー」のボディサイズは全長3395 mm、全幅1475mm、全高1725 mm。これに対して「ジムニー・シエラ」は全長3550 mm、全幅1645mm、全高1730mm、「ジムニー・ノマド」は全長3890 mm、全幅1645mm、全高1725mmとなっている。
▲ 軽自動車版の「ジムニー」のボディサイズは全長3395 mm、全幅1475mm、全高1725 mm。これに対して「ジムニー・シエラ」は全長3550 mm、全幅1645mm、全高1730mm、「ジムニー・ノマド」は全長3890 mm、全幅1645mm、全高1725mmとなっている。
PAGE 4
ここで少しジープとGクラスの共通点について振り返ってみる。オンロードでの乗り心地には不利と知りながらも、あくまでも悪路走破性を優先しラダーフレーム構造にこだわり続けていること。そしてデザインはひたすらにキープコンセプトであること。こういった両モデルがもつ“本物感”が広く支持されるようになり、いまではファッションアイテムのひとつとして大人気なのはご存知のとおり。

実はこれらのモデルにはもうひとつ共通する点がある。それは3ドアだけでなく5ドアモデルを設定していることだ。国内でジープラングラーがヒットしたのは5ドアのアンリミテッドの導入がきっかけだった。Gクラスでは、かつて存在した3ドアモデルは生産終了となっており、いまは5ドアのみの設定だ。

こうした流れを鑑みれば、ジムニーは本格オフローダーとして従来からのユーザーに支持されているだけでなく、現行型のジープとGクラスのエッセンスを取り込んだデザインによって認知を広め、ファッションアイテムとして使う新たなユーザー層を獲得したと考えられるわけだ。さらにもうひとつジムニーが人気の理由に手頃な価格がある。軽自動車のジムニーなら車両価格は165万4400円〜。比較するのももうしわけないが、ジープラングラーなら約800万円、Gクラスなら約2000万円がスタートプライスになる。
PAGE 5
5スロットのフロントグリルは、ガンメタリックの塗装とメッキの縁取りを施したノマド専用のデザインに。
▲ 5スロットのフロントグリルは、ガンメタリックの塗装とメッキの縁取りを施したノマド専用のデザインに。
ホイールベースを340mm延長。また後席ヒップポイントを50mm後方に移動しニースペースを拡大、さらに後席乗員間の距離を90mm拡大し後席の居住性を向上している。
▲ ホイールベースを340mm延長。また後席ヒップポイントを50mm後方に移動しニースペースを拡大、さらに後席乗員間の距離を90mm拡大し後席の居住性を向上している。
PAGE 6
ホイールベースの延長によりラゲッジスペースを拡大。4名乗車時でも荷室床面長が590mmあり、211Lの荷室容量を確保。さらにリヤシートを前倒しすれば、アウトドア道具や長尺物も積載できる。
▲ ホイールベースの延長によりラゲッジスペースを拡大。4名乗車時でも荷室床面長が590mmあり、211Lの荷室容量を確保。さらにリヤシートを前倒しすれば、アウトドア道具や長尺物も積載できる。
衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、4AT車には後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、アダプティブクルーズコントロール(ACC)など先進の予防安全技術を標準装備する。
▲ 衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、4AT車には後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、アダプティブクルーズコントロール(ACC)など先進の予防安全技術を標準装備する。
PAGE 7
使い勝手のよい5ドアの「ジムニー・ノマド」の車両価格は5速MTで265万1000円、4ATで275万円。自動車業界関係者からは「安すぎる・・・」という声が出たほど。これがダメ押しとなった。3ドアであるがゆえに購入を躊躇していた潜在的ジムニーファンが一気にディーラーへと駆け込みわずか数日で5万台という結果につながった。スズキが発表した目標販売台数は月間1200台。すでに約42ヶ月、3年半分のオーダーが入ったわけで、大慌てで受注を止めたというわけだ。

ちなみにこの「ジムニー・ノマド」はインドで生産されており(ジムニーは静岡県の湖西工場製)、現地では2023年から先行して販売されていた。そのため日本にも並行輸入されプレミアム価格で販売されている車両も多く存在する。スズキでは今後生産調整に追われることになるが、せっかく増えたジムニーファンのためにも1日も早い受注再開に期待したい。

こちらの記事もオススメです

PAGE 8

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        Gクラス、ジープのいいとこ取り⁉ 「ジムニー・ノマド」に人々が熱中する納得の理由とは? | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト