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2025.03.19

【試乗リポート】フェラーリ12チリンドリ・スパイダーは何がスゴイのか?

6496cc12気筒ノンターボエンジンを搭載し、50〜60年代のGTからインスピレーションを受けたロングノーズのデザイン。今あえて大排気量自然吸気、かつクラシカルとも言えるボディデザインで登場したフェラーリ12チリンドリのオープン版、フェラーリ12チリンドリ・スパイダーを、ポルトガルでジャーナリスト小川フミオが試乗。その魅力を詳細にリポートします。

CREDIT :

文/小川フミオ 写真/Ferrari SpA

【試乗リポート】フェラーリ12チリンドリ・スパイダー

流麗なスタイルに12気筒エンジンを搭載した特別なクルマ!?

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 50〜60年代のGTからインスピレーションを受けたロングノーズのデザイン。
▲ 50〜60年代のGTからインスピレーションを受けたロングノーズのデザイン。
「選ばれた少数のために」なんてわざわざ大書したキャッチコピーとともに発表されたのが、フェラーリ12チリンドリ・スパイダー。そうです、あのスタイリッシュな12気筒クーペのフルオープン版です。

発表されたのは、クーペ版とおなじ24年5月ですが、遅れて市場に投入され、乗れたのは25年になってから。ポルトガルはリスボンから1時間ほどのカシュカイスなるリゾート地を中心に、テストドライブの機会が設定されました。
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フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 6496ccの12気筒ノンターボのエンジンを搭載する。
▲ 6496ccの12気筒ノンターボのエンジンを搭載する。
このクルマの最大の特長は、ふたつ。ひとつめは、12チリンドリのために開発された12気筒エンジン。もうひとつは、流麗なスタイリング。加えてもうひとつ挙げるとしたら、速い、けれど快適な操縦性でしょう。

そのまま車名になっている12気筒エンジンは、6496ccの大きな排気量で、ターボをそなえていないのが、競合他社と違うところ。あえて自然吸気で勝負です。それだけでなく、各部を軽量化したり慣性マッスを減らしたりと徹底的に手が入っています。
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50〜60年代のフェラーリにインスピレーションを受けたデザイン

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 長いボンネットの下に12気筒エンジンがミドシップマウントされている。
▲ 長いボンネットの下に12気筒エンジンがミドシップマウントされている。
F1マシンでおなじみの、スライディングフィンガーフォロワーをバルブ開閉のために使うなどして、エンジンは驚異の9500rpmまで回り、610kWと驚くほどのパワーを発生。自然吸気エンジンの醍醐味を味わわせてくれようというのです。

ボディデザインは、1950年代から60年代にかけてフェラーリが送り出した、フロントエンジンでオープンボディのGTからインスピレーションを受けているとのこと。

「他に類のないドライビングのたのしさと、快適性と、イタリアンデザインの美を併せもったモデル」というのが、フェラーリの説明。フロントまわりは、往年の365GTB/4(別名デイトナ)を思わせつつ、リアは「スペースシップ」と、ヘッドオブデザインのフラビオ・マンツォーニ氏は造型の妙を説明してくれました。
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フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 前後フェンダーの盛り上がりが官能的。
▲ 前後フェンダーの盛り上がりが官能的。
英語で二枚貝を意味するクラムシェル型フロントフェンダーは、車体側面にまで回り込む凝った造型で、フロントタイヤの上あたりが盛り上がっています。そこが実に美しい。お見事なデザインです。

「たとえば812コンペティチオーネAのようなミドシップモデルに特徴的だった彫刻的デザインからおおきく離れ、新しいデザインを確立しました」

フェラーリが上記のようなことをプレスリリースで書いているぐらいです。なんとなく昔のモデルの官能的な魅力を漂わせながら、従来のモデルとは一線を画した新しさがあるのです。
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9000rpmまで回るエンジンだけど、ドライブフィールはすこぶる快適

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー パワフルだけれどエンジンは騒音や排ガス規制に適合。
▲ パワフルだけれどエンジンは騒音や排ガス規制に適合。
ドライブの印象は、想像以上に運転しやすいものでした。たっぷりしたエンジントルクゆえ、ごく低回転域から力があって、アクセルペダルを踏み込むと、エンジンは軽く上の回転まで吹け上がります。

できれば9000rpmまで回してみたかったのですが、周囲の交通がそれを許してくれませんでした。海岸線も、高速も交通量が多かったのが、残念です。

回せば回すほど心躍るエンジンフィールと、ダイレクト感の強い操縦感覚は、さすがフェラーリ。思いっきり床までアクセルペダルを踏み込んでみたいという誘惑と戦うのが、なんとたいへんだったことか。危険です(笑)。

それでいて、フェラーリが「快適」とするのは本当で、路面の突き上げなどはよく吸収してくれて、乗り心地は終始フラット感が強いもの。高めの速度でも、遠くまで快適に走っていけるスタイリッシュなクーペであるのがGT。その本領が強く感じられました。
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フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 運転席と助手席と同じようなデザインのコクーンコンセプト採用。
▲ 運転席と助手席と同じようなデザインのコクーンコンセプト採用。
風の巻き込みが少ないのも印象的。電動ハードトップを開けて、サイドウインドウをおろして高速を走っても、乗員どうしの会話が遮られるようなことはほとんどありません。リゾートの海岸沿いを”流す”と、ほんのり潮の香りと、太陽のやわらかい熱が、ドライブをいっそう印象的なものにしてくれました。

オヤジさん、ファッションをきめて、幌を下ろして、美しい内装とともに、周囲から見られるよろこび、味わってはどうでしょう? ごくかぎられた少数のひとに用意された、フェラーリのオープンGTという魅力的なモデルなのですから。
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Ferrari 12 Cilindri Spiderギャラリー

フェラーリ12チリンドリ・スパイダー フルオープン状態。
▲ フルオープン状態。
フェラーリ12チリンドリ・スパイダー 電動により14秒で開閉可能。
▲ 電動により14秒で開閉可能。
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フェラーリ12チリンドリ・スパイダー クーペ状態では走行中の静粛性がかなり高い。
▲ クーペ状態では走行中の静粛性がかなり高い。
フェラーリ 12チリンドリスパイダーがもっとも美しく見える角度。
▲ 12チリンドリスパイダーがもっとも美しく見える角度。
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フェラーリ12チリンドリ・スパイダー テールランプの意匠などはローマスパイダーを思わせる。
▲ テールランプの意匠などはローマスパイダーを思わせる。

■ Ferrari 12 Cilindri Spider

全長×全幅×全高/4733×2176×1292mm
ホイールベース/2700mm
6496cc V型12気筒(NA)後輪駆動
最高出力/610kW@9250rpm
最大トルク/678Nm@7250rpm
乗車定員/2名
燃費/15.9L@100km(WLTP)
価格/6241万円~

フェラーリ・ジャパン
HP/https://www.ferrari.com/ja-JP

● 小川フミオ

クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。

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