世界的陶芸家・黒田泰蔵のセンスに触れる『白の中のカラフル 黒田泰蔵の暮らし』

“スタイルのある人”って、憧れますよね。

でも、スタイルというのは、一朝一夕では身につかないもの。試行錯誤を積み重ねて確立させているからこそきっと、カッコよく映るんですね。

そんなスタイルを確立させた方のひとりが、静謐な白磁の作品で知られる陶芸家の黒田泰蔵さんです。残念ながら2021年に逝去されてしまいましたが、現在、BAG-Brillia Art Gallery-（バッグ ブリリア アート ギャラリー）にて、展覧会『白の中のカラフル 黒田泰蔵の暮らし』が開催されています。

黒田泰蔵さんは、国内外で個展を開催し、作品も名だたる博物館に所蔵されている世界的な陶芸家です。その白磁は、“禅を感じる”と評されるほどにミニマルな印象ですが、実は、ご本人は可愛いもの・色彩あふれるものを愛して暮らしていたそう。

本展覧会では、黒田さんの人生の折々の出来事や思索に重ねてその作品を紹介した『Colorful』という書籍を軸にし、美意識のルーツとタイムレスなご本人の魅力とが、白磁作品とともに展示されています。

黒田さんの作品は上掲のような円筒の白磁が有名ですが、展示スペースでは過去の作品も時系列に並び、その美意識の変遷も垣間見られます。まさに、人に歴史あり、です。

そして、黒田さんは装いにもこだわりがあり、革靴やパンツ、帽子のコレクションの一部も展示されています。晩年には、制作中もきちんとシャツを着ていたのだとか。センスってこうやって磨かれていくんですね。アートや陶芸好きな方はもちろん、ファッション好きにも刺さる内容になっています。

黒田さんはご自身の作品を「見るものでもなく、見せるものでもなく、持つものでもなく、まして持ってもらうものでもない」と語っていたそうです。黒田さんが白磁で表現しようとしていたのは、“普通のもの”だったのだとか。

黒田さんの作品は、普通と呼ぶにはあまりにも洗練されているけれど、どこかあたたかさもある。作品に向き合うと、「普通って何だろう？」「自分にとっての普通って？」なんて疑問が自然と頭をよぎることかと。

暮らしから装い、作品にまで貫かれた黒田さんのスタイルを実感してください。