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2023.09.21

シチリアの太陽のような美女が醸す「ドンナフガータ」って、どんなワイン?

太陽がさんさんとそそぐシチリア島へ。イタリアでも有数のワインメーカー「ドンナフガータ」の生産現場を訪問してきました。

CREDIT :

文・編集/秋山 都(LEON.JP) 写真/MASA

LEON.JPの食いしん坊&呑兵衛、秋山 都です。 
コロナ禍でなかなか海外へ出かけるチャンスがありませんでしたが、この夏、4年ぶりに日本を脱出して出かけてまいりました。向かったのは……イタリアはシチリア島です。
ドンナ・フガータ シチリア
▲ シチリア、パンテレリア島の小高い丘から海を眺める。まさにシシリアン・ブルー。
シチリア島にはみなさん、どんなイメージをお持ちでしょうか。映画『ザ・ゴッドファーザー』や『ニューシネマパラダイス』、『イル・ポスティーノ』のロケ地として知られていることもあり、その美しい風景が忘れられないという方も多いでしょう。私が訪れたのは7月でしたが、映画さながらの青い海、緑の葉を茂らせるオリーブの木、たわわに実るオレンジや桃などカラフルな光景に、日々のストレスで凝り固まっていた心もほどけてゆくような……すっかり癒されました。
シチリア ドンナ・フガータ
▲ シチリア・パンテレリア島の海辺のレストランで。シチリア島はエビ、カニ、マグロなどのシーフード料理が美味しい。
とは言え、自称食いしん坊の私がただ自然に癒されるためだけにシチリア島へ行くわけがありません。今回のお目当てはもちろんグルメ。なかでもシチリア島ナンバーワンのワインメーカー「ドンナフガータ」の生産現場を訪問するという大事なお役目があったのでした。

イタリアのワイン生産量は年間で48億リットル(!)と世界一ですが、そのイタリア国内でもワインの生産量がトスカーナと並んで常にトップクラスなのがシチリアです。ある調査によればイタリア国内の認知度調査で1位が「フェラーリ」(トレントのスパークリング)、2位が「ベルッキ」(フランチャコルタのスパークリング)、そして3位が「ドンナ・フガータ」という結果もあるのだとか。1位、2位ともにスパークリングですが、3位の「ドンナフガータ」だけスティル(泡のない)ワインですから、「ドンナフガータ」がどれほどポピュラーな存在なのか、推して知るべしですね。
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生産量はイタリアでも有数! イタリアを代表するワイン

◆ドンナフガータ

シチリア ドンナ・フガータ ワイン
▲ 「ドンナフガータ」はシチリア島に5か所のブドウ畑をもっている。こちらはそのひとつ「コンテッサ・エンテリーナ」にある屋敷。
では「ドンナフガータ」とはどんなワインなのか。イタリア語ではDONNA FUGATAと書き、これは直訳すれば逃げる女という意味らしいんですが……。

「これは歴史的な名前なんです。さかのぼること19世紀初頭、ブルボン王朝のフェルナンデス4世の妃であったマリア・カロリーナが、ナポリで起きた革命を逃れてここ(ドンナフガータの自社葡萄畑のあるコンテッサ・エンテリーナ)に逃げてきたという歴史にちなんでつけたんですよ」

とワイングラス片手に説明してくれたのはガブリエラ・ラッロさん。フィレンツェ出身で、もともと英語の教師をしていたというガブリエラさんが恋に落ちたのは、シチリアでワインを代々つくってきたファミリーの4代目。「自分がワインをつくるなんて考えもしなかったわ」と笑うガブリエラさんですが、これも運命だとすっぱり英語教師のキャリアをあきらめ、ブドウ栽培をイチから勉強したのだとか。
ドンナ・フガータ シチリア ガブリエラ・ラッロ
▲ 「ブドウの苗はもちろん、庭園の木々や花に至るまですべて私が手で植えたのよ」
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ドンナ・フガータ シチリア
▲ ブドウ畑を駆け抜ける若かりしころのガブリエラさん。まるでドンナフガータ(逃げる女)ですが、逃げているわけではありません、もちろん。
「ドンナフガータ」といえばドルチェ&ガッバーナとのコラボレーションボトルが発表されるなど、美しいエチケットのデザインで知られています。この女性を配するデザインもそもそもはガブリエラが発案したものだとか。う~ん、イタリアの女はやっぱり強いですね。
2018年には「ドンナフガータ」のエチケットを展示する「Inseguendo Donna Fugata」展がミラノの博物館「ヴィラ ネッキ カンピリオ」で開催された。
▲ 2018年には「ドンナフガータ」のエチケットを展示する「Inseguendo Donna Fugata」展がミラノの博物館「ヴィラ ネッキ カンピリオ」で開催された。
ガブリエラさんのセンスで装飾された居間。
▲ ガブリエラさんのセンスで装飾された居間。
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シチリアの環境を守る「ドンナフガータ」のブドウ栽培

では、ここからは「ドンナフガータ」のブドウ栽培について少しだけ。
シチリアに5カ所あるブドウ畑について、それぞれの特徴を説明する広報のエマニュエレさん。こう見えて日本のアニメ好きです。
▲ シチリアに5カ所あるブドウ畑について、それぞれの特徴を説明する広報のエマニュエレさん。こう見えて日本のアニメ好きです。
「ドンナフガータ」は30年以上も前からエコサスティナブル、つまり環境に配慮したブドウ栽培に取り組んできました。農薬は必要に応じて最小限の生薬のみを使用し、ケミカルな除草剤は不使用。有機肥料のみを使用し、広大な畑にもかかわらずブドウはすべてハンドピック(手で収穫)しています。
現在、妹のジョセさんとともに「ドンナフガータ」を守るアントニオ・ラッロ氏。「すべての畑で二酸化炭素と水の使用量を測定し、地球にやさしい農業を目指しています」
▲ 現在、妹のジョセさんとともに「ドンナフガータ」を守るアントニオ・ラッロ氏。「すべての畑で二酸化炭素と水の使用量を測定し、地球にやさしい農業を目指しています」
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世界農業遺産に指定されたパンテレリア島のブドウ栽培

ドンナ・フガータ シチリア
▲ パンテレリア島「ドンナフガータ」のワイン畑
「ドンナフガータ」の5カ所に点在するブドウ畑のなかでも、とくにユニークなのはパンテレリア島のそれでしょう。イタリアの最西端に位置し、晴れていたらアフリカ大陸が見えるというパンテレリア島は1年中強風が吹きつける厳しい気候で、夏には50度を超える熱風が吹くこともあるのだとか。
斜面にあるブドウ畑は灌漑ができないため、ブドウの樹は根っこを下に長く伸ばすそう。
▲ 斜面にあるブドウ畑は灌漑ができないため、ブドウの樹は根っこを下に長く伸ばすそう。
そのため、パンテレリアの畑ではブドウを強風から守るためコンチャ(くぼみ)を作って、ほぼ地面と垂直にブドウがなるよう、低く植えています。もともと平地が少ないことから斜面に作られた畑には機械が入ることができないため、すべての作業が手作業で行われるのだとか。大変そうだけど、このユニークな栽培方法はユネスコの無形文化遺産にも指定されたというからスゴイ。
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最後に訪れたのはマルサラにあるワイナリー。オーク樽でワインが静かに眠る熟成庫でひんやりとした空気に身を浸していたら「All the man is like an elegant wine~♪」という素敵な歌声が聞こえてきました。声の主はガブリエラさんの娘であり、「ドンナフガータ」の共同経営者であるジョセさん。
ドンナ・フガータ シチリア マルサラ ワイナリー
このジョセさん、以前はジャズのボーカルを勉強しており、あのNY「ブルーノート」で歌ったこともあるのだとか。パーカッショニストであるご主人と結婚後、シチリア島に戻り一男一女に恵まれました。そしてこの娘、ガブリエラさんから見て孫にあたる女性がアメリカでビジネスを学んだ後に「ドンナフガータ」へ戻り、ワイナリーを継承していくのだそうです。つまり「ドンナフガータ」はガブリエラさんから3代の女性に愛され、育てられるワインというわけですね。
ガブリエラさんの娘であるジョセさん。彼女の美声を私のインスタグラム内でリール動画としてアップしていますので、ぜひチェックしてみてください。
▲ ガブリエラさんの娘であるジョセさん。彼女の美声を私のインスタグラム内でリール動画としてアップしていますので、ぜひチェックしてみてください。
ジョセさんの歌声を聞いていたら、私も同じ女として背中を押されるような気がしてきました。イタリアの女性って強いだけじゃなくて美しいんですよね。でも女が美しくいるためには、愛してくれる男も必要なわけで……おっと、横道にそれてしまいそうですので、今回はこの辺りにて。
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「ドンナフガータ」を代表する「タンクレディ」(左)と「ミッレ・エ・ウナ・ノッテ」(右)。「タンクレディ」はドルチェ&ガッバーナがエチケットを手がけたことでも知られ、日本でも大人気。
▲ 「ドンナフガータ」を代表する「タンクレディ」(左)と「ミッレ・エ・ウナ・ノッテ」(右)。「タンクレディ」はドルチェ&ガッバーナがエチケットを手がけたことでも知られ、日本でも大人気。

 ドンナ・フガータ

商品についてのお問合せ/クリオインターナショナル
https://clioint.wixsite.com/1991

ワインがもっと知りたい、飲みたい?

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