2019.10.17
こんなワイン好きは嫌われる、ワイピのNG行動とはなにか。
5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多いときは月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。
- CREDIT :
文・グラフ/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)
モテるワイン道~NG行動を避けよう!
次のような事例に心当たりがあるあなたは要注意です。
【ワインの知識や経験値をひけらかす】
ワイピが陥るNG行動の典型です。
ワインスクールや雑誌で得た知識を女子の前でカッコよくキメて好印象を得たいという気持ちはわかります。残念ながら、その企みはまったくの逆効果です。あなたがワインに関して長々と自慢するのを聞きたいという女子に遭遇する可能性は、京都で「四つ葉」タクシーを見つけるよりも低いはず。なので百害あって一利なしです。
伝家の宝刀の抜いても構わないシチュエーションはふたつだけ、質問されて答えるときと、マウンティングに遭ってやむを得ず防御するときのみです。しかし、ワインを飲むのですからワインの話題をまったくしないわけにもいかないでしょう。目安として、あなたが話したいことの5~10%くらいが相手の許容限度だと考えて下さい。また、情報量や難易度、用語の選択も相手のワイピ度に合わせて配慮しましょう。
私も渋谷にある某老舗百貨店地下1階のワインショップで、週末に催されるテイスティング・カウンターにはよく足を運びます。ここのソムリエF氏はワイピ界でもちょっとした有名人なので、常連ワイピたちが入れ代わり立ち代わり来店するのですが、聞こえてくる会話のほとんどがワインの知識や経験自慢です。
具体例をご紹介しましょう。たとえば、ボルドー右岸のワインがテーマだったとして「このワインはペトリュス(*1)みたいな雰囲気があるね~」「僕がパリの某レストランで飲んだ19xx年のペトリュスは・・・・・・」「10年前にペトリュスのシャトーを訪問したときには……」と聞いてもいないのに延々と喋り続けるオジサマ。
当然ながら、相手が聞きたがっているかはお構いなし。単に自慢したいだけです。ほとんどのワイピがまず飲んだことのない超高級ワインを引き合いに出してマシンガントークされても、聞いている方はポカンとするしかありません。
もちろん、ここはワイピ達の集まりですからある程度このような会話は許されて然るべきですが、それでもパワフルな自慢ワイピに遭遇すると閉口してしまいます。
通勤ラッシュの満員電車で体臭の強い人の近くに乗ってしまったような感じでしょうか。
NG行動、ほかにもまだまだありますよ。次回以降も引き続き見ていきたいと思います。
(*1)
シャトー・ペトリュス(Chateau Petrus)はボルドー右岸ポムロール(Pomerol)地区で生産される超高級ワイン。生産量が少なく、かつ高価なのでワイン愛好家垂涎のワインでもある。
連載Vol.02 「モテるのは片手にワイングラス8脚をモテる男」
連載Vol.03 「一目置かれるワイン会の掟、お教えします」
連載Vol.04 「ワインのカジュアル・フォーマルはここで決まる!」
連載Vol.05 「ダジャレで選ぶワイン、ありやなしや」
連載Vol.06 「ワインを愛するならまず『ワインセラー』を買いなさい」
連載Vol.07 「人のワインを笑うな、けなすな、値段を聞くな」
連載Vol.08 「古酒は小さなグラスにちょびちょびと注ぐべし」
連載Vol.09 「あなたはなぜワインを飲むのか? と聞かれたら」
連載Vol.10 「ワイン会は店選びが9割⁉ 幹事の心得いよいよ最終編へ突入」
連載Vol.11 「宴会幹事必読! ワイン会の開催までにやっておくべきTo Doリスト」
連載Vol.12 「ワインを楽しむ男はなぜモテるのか。公式化してみた」
連載Vol.13 「高価なワインをご馳走すればモテる」と勘違いしていませんか。
● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa
1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。