2024.02.25
【第88回】
すぐ好きになっちゃうのに一度も付き合ったことがない!? 蛙化現象に悩む美女
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第88回目のゲストは、佳乃さん(32)です。
女子校育ち。男性の免疫はほとんどありませんでした
「はい、よろしくお願いします。私、この企画に出て大丈夫かなと心配しているんですが」
── そうなんですか。それはなぜでしょう。
「実は男性とお付き合いにまで発展したことがないんです。自分でもなんでそうなっているのかよくわかっていなくて」
── そういうことでしたか。大丈夫ですよ。ではそれについても一緒に考えていきましょうか。まずは似ている芸能人の名を借りてニックネームをつけなければいけないんですが、え〜っと、あ、木村佳乃さんに似ていると言われたことはないですか。
「あ、光栄なことに何度か言われたことがあります」
── では今日は佳乃さんと呼ばせていただきます。とても可愛らしい方だなと思いましたが、いつ自分が可愛いと気づきましたか。
「え、自分が可愛いだなんて思っていないです。でも、こうしてメディアに出ようとすること自体、そうした気持ちがゼロではないからだと思うし、自分の嫌なところを改善したい気持ちがあるからかなとは思っています」
「中高一貫の女子校です。校則も厳しく、硬い感じの学校で」
── それだと男子と知り合うことがなさそうですよね。そうすると、好きな人も全然できずに?
「中学生の時は小学校が一緒だった男子のことがずっと好きでした。家が近所だったのでたまに駅でばったり会うと一緒に帰るとか、中学受験をした塾仲間でもあったので、グループで地元の夏祭りに行くとかもしていたんですが」
── わあ〜、中学生同士のそういう交流って凄くいいですね。浴衣姿にドキドキしたりしたんだろうな〜。お付き合いには発展しなかったんですか。
「しなかったんですよ。私の想いはグループ内ではバレていて、彼も気持ちを知っていたと思いますが、どうも他の男子が私のことを好いてくれてたみたいで。でも、私は彼のことが好きで……なんかうまくいかないですね。でも他に出会いがないから、中学から高校までずっと思いを引きずってしまいました」
── あ〜、難しいものですねえ。その彼にはアクション的なことは何もせず? バレンタインのチョコレートとかも渡さなかったんですか?
「はい、何もしませんでした。一度、彼の高校の文化祭に行った時に偶然会ったんですが、言葉を交わさず、お互いに振り返りはするけど、そのまますれ違って……」
── うわぁ〜切ない〜。でも僕こういう話が一番好きなので、この話ばかり聞いていたい(笑)! ただ、そういうわけにもいかないので先に行きます。
私が好きになる人って大体チャラい遊び人なんです
「大学に入ってからは部活を通じて他大学との交流がありました。運動部だったので男性も多く、フレッシュマンキャンプで他校と一緒にチームを組んでゲームしたりとか、合宿があったりとか」
── あ、それならガンガン来ますよね。
「うん、まぁそうですね(笑)。好きな人もできたけど、私がいいなと思う人が大体チャラい遊び人なんですよ」
── チャラい男に声をかけられて、付き合うとかにはならなかったんですか。
「私が片想いするだけで、飲み会で終わり。そういう人のアンテナに引っかからないのかな」
── いやこのルックスでそんなことある!?
「いやいやいやいや!」
── どうしてなんだろう、真面目なのかな。例えばこの連載で、「私、ただ遊ばれただけでした」みたいな女性もいっぱいいるんですよ。女の子に慣れている先輩に誘われて、彼の部屋に行っちゃったとか、新歓デビューで失敗した、っていうのをよく聞くんです。
「そういう意味だとないです。でもカッコいいなと思っている男子に飲み会でチューされたことはありました」
── ファーストキスがそれ!?
「そうそう(笑)。でも彼はそれがファーストキスだと思ってないでしょうし、私は考える間もなくチュッとされてしまった」
── わあ〜そうか〜。でも、きっとこれまでもいろんなお誘いがあったはずです。今からそれを検証してみましょうか。みんな内なる衝動で「好き! 触れたい、デートしたい!」って思うんです。それがなかった感じですか。
「好きな人はできますが、そうなるとその人しか見えなくなって、他の人には目が行かなくなってしまうんですよね」
自分から「好き好き」と言っていても、「僕も好き」と言われると、もうお腹いっぱいで……
「そうなんですよね。そして悪いことに私、よく蛙化現象を起こすんです」
── 蛙化?
「好きだと思っていたのに、相手からアクションを起こされると急に気持ち悪くなる現象のことを、最近では『蛙化現象』って言うんですよ」
── へえ〜、そうなんですか。男子からアクションを起こされると気持ち悪くなる。
「最初は自分から『好き好き〜♡』ってしていても、『僕も好き♡』って来られると『いや、お腹いっぱいです』となってしまう」
── どうしてなんだろう。
「私もその原因が知りたいです」
「う〜ん、違うような気がします」
── 男性がそもそも苦手? 女子校出身の人には時々いますよ。
「男性自体は気持ち悪くないんです。好きにはなるし。……でも途中で気持ち悪くなるっていうのは、そうなんでしょうか」
── どうだろう。女性として見られている視線が嫌、性的に見られるのが気持ち悪いというのは当てはまりますか。
「それは好きじゃなかったら嫌ですけど、う〜ん。私的にはゲームを仕掛けている感覚なのかな。いやそれか、『思ってたような人じゃなかった』パターンが多いのかも。減点方式といいますか、途中で『私の好きな人はこんな人じゃない』となってしまうみたいな。私、本当に見る目がないんです」
── うーん。最初に期待値が上がりすぎるのでしょうか……。後編ではその後の恋愛談を聞かせてください。
後編に続く
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)