2024.04.13
【第92回】
必ず相手に告白してもらう。戦略的美女の恋愛とお仕事
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第92回目のゲストは、翔子さん(29)です。
“付き合った”って何もしていないのもカウントします?
「よろしくお願いします」
── まずはここでのニックネームを付けたいのですが、誰かに似ていると言われたことはありませんか。
「そうだ、芸能人の名前で呼ぶんですよね。あまり言われないんですよ」
── そうですか。え〜っと、目がぱっちりしていて可愛らしいお顔立ちで、ちょっと中川翔子さんに似ているような感じがします。今日は翔子さんと呼ばせていただいてもいいですか。
「嬉しいです。よろしくお願いします」
── 翔子さんはどんなお仕事をされているんですか。
「今はSNSマーケティング関連の会社を経営しています」
「自分が美人だと思ったことはあまりなかったですね。でも、きっと愛嬌があるから、その面はプラスされているだろうなと、わりと冷静に分析してはいました。就活の時でも“笑顔多めでいくか”みたいな」
── ああ〜、そうして色々作戦を立てて面接に臨んだりするものなんですね。そういうことはきっと恋愛にも応用されると思うのですが、男子と初めて付き合ったのは何歳くらいの時でしたか。
「えっと、それはどこから? 何もしていないのもカウントします?」
── ワハハハ。では何かあったことから聞きましょうか。
「だったら、高校1年生です(笑)」
「いえ、オタクですよ。初めは気の合う友達だったんですが、そこからおつきあいに発展して。進学校だったからあまり派手な男子はいなかった気がしますね」
── 遊んでいる男子じゃなくても高1で女子と付き合えるのか……。どちらから付き合おうと言ったんですか。
「昔のことなので覚えてないけど、私からじゃないですね。自分から言ったことはないです」
自分から告白はしないけど、釣り糸は垂らします
「あ、でももちろん釣り糸は垂らしていますよ」
── どんな感じに釣り糸を垂らすんですか。
「普通に話しかけるくらいです。例えば高校生の時だったら、『この前発売された誰々のCD買った?』みたいな、そういうやつです」
「相手が見た目と中身のどちらで女性を選んでいるかに大きく二分されますが、結局初手は印象値なんですよね。見た目に関してはもう変えようがないし、相手の好みに変える気もない。
アクションを起こして感触が良ければ見た目は好み、引っかかってこなかったら、そもそも好みじゃないのでしょう。ひとまず見た目をどう思っているかは、それで分かります」
── そうやって相手が自分に興味があるかないかを見ているんですね。
「そうですね。好きかどうかまではわかりませんけど、無風なのか、ちょっとやれば波打つかどうかはなんとなくわかるし、言語コミュニケーション以外の部分でも受け取っている情報がある気がします」
── ああ、人間も本来は動物たちと同じように、いろんな感覚を使ってコミュニケーションをしていると聞いたことがあります。で、“何かあった”のは高校1年生とのことでしたが、最初から楽しかったですか。
ワンナイトには良さを感じない。同時並行はほぼしません
── どんな人だったんですか。
「バイト先で知り合った4コ上の専門学生です。なんとなく話すようになってすぐ付き合ったんですが、ひとり暮らしだったから毎日相手の家に行って、半同棲みたいになっていました」
── ええっ、高校生で! しかも進学校に行ってるんですよね? 急に成績が落ちたりとかしませんでした?
「普通にやれていました。そもそも学年トップとかじゃなかったからそんなに変わらなかったです」
── それは良かった。これまでお付き合いした人って何人くらいいるんですか。
「10人くらいだと思いますが、あまりカウントしてないですね」
── カウントしていないということは、ワンナイトみたいなこともあるんですか。
── 浮気はしない感じで?
「してた時はありました(笑)。新卒でPR会社に入社したんですが、その時ですね」
「私はやりたくない仕事がたくさんあったので、削っていった中で一番楽しそうというか、自分に向いてると感じたのがPRだったので。消去法に近いです」
── そこを目指していたわけではなかったんだ。会社ではどんな仕事をしていたんですか。
「営業でした。営業の仕事自体は楽しかったんですが、本当に忙しくて大変すぎて……完全にブラックですよ。周りの人はいい人だし、仕事でも評価されましたが、20代前半の今だからできるけど、こうやって身も心も削って働くのはどうなんだろうと考えて、転職しました」
── そんな大変な状況でもちゃんと考えて行動できるなんてえらいなあ。転職先はどんなところで?
「今後、世の中的に編集力が必要になってくるだろうと予感していたので、そちらの能力をつけた方がいいなと戦略的に考えて、制作会社で編集兼プランナーの仕事に就きました」
「まあ、簡単だと思います。正直思い切りがあればできると思う。私には『フリーとしてやっていくぞ!』みたいな気持ちはなくて、もう本当に疲れたな、こんなに忙しく頑張って働いてきたんだからしばらく休もうという感じだったんです。一応、フリーランスという体で、仕事が来なかったら失業保険をもらってニートしようって思ったんですよ。でもありがたいことにすぐ仕事が来たから、結局ニート期間はゼロでした」
── お話ししていても人を惹きつける何かがあると感じるので、仕事は来るだろうなと思います。すみません、勢いで仕事の話を聞いてしまいました。後編では、翔子さんの恋愛について詳しく伺わせてください。
後編に続く。
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)