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2024.06.21

【第1回】

コンシェルジュが紐解く、今どきの富裕層のお金の使い方とは?

目の肥えた富裕層を相手に、常に彼らを驚かせる特別な経験を提供してきた、コンシェルジュ会社「アルカディア」の才津香果(さいつ・かぐみ)社長。彼女の人並外れた経験値と審美眼を深掘りする連載がスタート!

CREDIT :

構成/才津香果 文/安井桃子 写真/笠谷 龍 協力/株式会社アルカディア 編集/森本 泉(Web LEON)

才津香果 さいつかぐみ WebLEON
▲ プライベートジェットで訪れた南極大陸。
富裕層向けコンシェルジュサービスを運営するアルカディア代表取締役の才津香果(さいつ・かぐみ)さん。贈り物選びから旅の手配などなど、世界のセレブリティのあらゆる要望に応えるなかで見てきた、富裕層の遊び方、そしてお金に対する共通の哲学とは?

自身も旅マニアとして、世界のラグジュアリーリゾートをめぐり続け、これまでかけた自腹・旅費総額は9億円超え! その旅で見つけたセレブのための驚きのサービスなども今後ご紹介します。連載第1回はコンシェルジュという仕事、そしてそこから垣間見える富裕層のお金の使い方を語ってもらいました。
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「ご予算」をお伺いするのは最後の最後

ご家族のバースデーパーティーの企画から、旅の行き先のご提案・コーディネート、ヘリやプライベートジェットの手配。さらに、海外からのお客様の接待、美容クリニックやファッションのご提案など、ありとあらゆるご要望を承るのが、コンシェルジュという仕事です。

お客様の日常に関わるほぼすべてのことをお手伝いさせていただいておりますので、プライべートにおける秘書のような存在とも言えるかもしれません。
世の中、何をするにもまず【予算】というものがあるでしょう。予算がいくらだから、できること、できないことがあり、あらゆる仕事はまずその予算を計算することから始まると思います。けれど私たちからお客様にご要望をお伺いする際に「ご予算はおいくらですか?」とお聞きするのは実は最後の最後なんです。

なぜなら富裕層の方々は、払う価値のあるものであればいくらでも払い、価値を感じないものにはたとえ少額でも払いたくない、という思考をお持ちだからです。
才津香果 さいつかぐみ WebLEON
▲ モロッコのラグジュアリーホテルで、一夜限りの特別ディナー。
ご子息の誕生日パーティーを世界でも有名なテーマパークで開催し1日で1億円使った王族のお客様や、仲間の結婚パーティーに5000万円かけお祝いをした経営者の方もいらっしゃいました。お世話になった先輩へ贈りたいから数千万円の限定スポーツカーを世界中から探してほしいという依頼もありました。

そのくらい、富裕層の方というのは価値を感じるものにはお金を惜しみなく使います。そういう方々と対峙する際、知らなくてはいけないのは予算ではなくその方の価値観です。予算に合わせるのでなく、お客様の目的や価値観に合わせて、私たちが適正な予算を提示しなくてはなりません。お客様と同じ目線を持ち、限りなくお客様の立場に立つことが求められています。
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富裕層の方々の価値観を徹底的に探っていく

例えば、旅のプランをご提案する場合。空港でいっさい待たずに、入国できるというサービスに1人10万円かかったとします。家族4名で40万円。これにも価値を感じる方と感じない方がいます。時間にもっとも価値を置く方の場合は、ご利用されるでしょう。けれど「待たないだけで40万円はちょっと」という方もいらっしゃいます。

何かのサービスや体験にどれほど費用をかけるのかは、所得や資産額に比例しません。それは個人の価値観と経験によるものです。そもそも富裕層の方は、お金があるからといって湯水のように使うわけではありません。価値を感じるものには際限なく、一方で無駄なことにコストはいっさいかけない。だからこそビジネスなどで成功し、富裕層たりえるのでしょう。そしてその「価値を感じるもの」とは千差万別、ひとりひとり違います。

ですから私たちの大きな仕事は、その方がどこにもっとも価値を置くのか、その価値観を、あらゆる方法で探っていくことです。例えば旅において、何を大切にされる方なのか。食事なのか、ホテルの部屋の広さか、話題性なのか、新しさかアクティビティの体験の幅なのか……。

そして同行者の好みを探ることもとても大切です。なぜなら富裕層の方々は自分自身が楽しむことよりも、大切な方々が満足してくれることに、より喜びを感じることが多いからです。ひと言で価値観といっても、その幅や種類を私たちが知っていなければ、お客様に質問さえできません。優秀なコンシェルジュというのはあらゆるジャンルの知識を持ち、質問上手です。何気ない会話のなかでさり気なく質問をしていって、その方の価値観や、何に感情が動かされるのかを探っていくのです。
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モノの価値と適正価格をよくご存知のお客様をどう満足させるか

さらに富裕層の方は情報感度がとても高く、ものの価値をよくご存知でいらっしゃいます。ですから私たちも、あらゆるものの相場・適正価格を知っていなければなりません。

例えば、ほどんどのお客様は、レアな時計やバッグ、お酒の適正価格などを把握しています。そしてお金があるからといって極端なプレミアム価格で購入されることはほとんどありません。さらに言えば、適正価格で買える独自ルートをご自身でお持ちだったりするのです。

私たちから見ればとんでもない高額のワインだったとしても、相場よりそれが安価であれば、数百本でも買う方達です。そして逆にそれが少しでも、相場より高いならば決して買わないでしょう。
一方で相場より高くても、時間をお金で買うという場合もあります。大切な方へのギフトだから今すぐほしい、今夜の会食に指定年のロマネ・コンティが欲しいなど、この場合は商品を購入しているというよりは、大切な方々との思い出や体験を購入されているように感じます。

繰り返しになりますが富裕層の方々はお金があるからこそ、お金の使い方に厳しい目線をお持ちです。みなさん同じものを相場よりも高く購入するということを一般の方以上に嫌います。ただしご自身が価値さえ感じていれば、支払額に限度はありません。それが富裕層の方々のお金の使い方なのだと思います。
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そのようにモノの価値と適正価格をよくご存知の、さらに情報通でいらっしゃるお客様を、満足させるような情報を私たちは持っていなくてはなりません。旅、レストラン、ギフト、クリニック、ファッション、教育、などなど……富裕層の皆さまから口コミでお伺いしたり、世界中のメディアをチェック、各分野の専門家とのコネクションも日々深めています。

そうして見つけたものは、最終的には自分たちの目で確かめ、お客様におすすめできるものであるかどうか判断をします。ですから私たちの仕事の大半はリサーチに費やしているのです。

次回からは、どのように私がお客様と接し、どんなサービスをご提案しているのか、具体的にお話できたらと思います。ご要望ひとつからも、知られざる富裕層の遊び方、そして生き方が見えてくるかもしれません。どうぞお楽しみに。
才津香果 さいつかぐみ WebLEON

● 才津香果(さいつかぐみ)

1982年生まれ。有料会員制コンシェルジュサービス「アルカディア」代表取締役。早稲田大学在学中から株式投資を行い、卒業後はリクルートに入社。2カ月で退社したのち飲食店や営業会社、ITビジネスを立ち上げる。2014年に事業売却、ドバイに移住する。その資金で世界のラグジュアリーリゾートをめぐり知見を得る。2019年、旅の経験を活かし、アルカディアを設立。ギフトの選定から、旅行企画、クリニックやファッションののアレンジなど富裕層のあらゆるオーダーに応え続けている。

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