2024.06.30
【第95回】
「学生の頃から付き合っているこの人しか知らなくていいのか」と、マッチングアプリで出会った彼と……
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第95回のゲストは、前回に続き美桜さん(25)です。
前編では、付き合った人の鼻息の荒さが気になってすぐに別れてしまったことや、女っ気のない男性が好みだというお話を伺いました。次回は初体験の彼のことから聞かせていただきます。
ちょっと悪い男に出会って経験を積みたかったんです
「いえ、お互い初めてでした。だから彼は触り方とかもわからないし、私も教える知識もないし、探り探り年月を重ねながら相性を合わせてきた感じで」
── わあ、いいですね。でもそれって実は滅多にないパターンなんですよ。女性の場合、初めはちょっと悪い年上の男性と経験して、いろいろなことがあってステップアップしていくという話をよく聞きます。
「それなんですよ! 私もちょっと悪い男に出会って経験を積みたかったんです」
── そうか、他の男性もやっぱり知りたいですか?
「はい、それで1回別れました」
── あ、ちょっと試してみたいなと。基本的な理由がそれですか?
「それもありますが、彼はあまり酒癖が良くなくて。私との約束があっても飲みに出ると連絡が取れないし、帰ってきても私の存在を無視するような振る舞いが続いて、“こんな男に時間を費やしてる暇はない”と思って、別れを切り出しました。そのモヤモヤがある頃からマッチングアプリに登録もして」
アプリで出会ったのは、吉沢 亮に似た超イケメン!
「そう、周りからも『1回自分の市場価値見てみ?』って言われて」
── それで、アプリはどうでした?
「これが、一番最初に出会った人が吉沢 亮に似た超イケメンだったんですよ! それでときめいちゃって(笑)。イケメンから来てくれることってあんまりないから」
── いやいや、美桜さんが今までバッターボックスに立たなかっただけで普通にモテると思いますよ。
「そうですか? うれしいです。1回目がその人だったので、『アプリにこんな人が本当にいるんだ』ってびっくりしましたね。女性慣れした感じの人で、楽しく話もできるし女の子扱いもしてくれるし、とても好印象でした。3回目のデートで彼の家に呼ばれて、その流れで……」
── さすが、遊び慣れた人はがっついていないし、相手のこともよく見ている感じがします。その時にはもう彼氏と別れていたんですか?
「すみません、まだ付き合っていたんです。フライングしました(笑)」
「いや〜もう何もかも上手すぎて! いろんなことを全部準備して、尽くしてくれるんですよ。最初は一緒に映画を観て、自然とそういう雰囲気になりセックスも私が気持ちくなるようにやってくれる。私優先でいろいろやってくれるという流れが私的には最高でした」
── その彼は何をしている人だったんですか。
「東北出身でここ最近上京してきたばかりと言っていました。遊び慣れている感じはするけど、悪い人ではないというか」
── 純朴で女性の扱いが上手なイケメンなんですね。
「そうそう! 話した感じだと、本当に付き合える彼女を探していたようです。ただ私は付き合うとかじゃなく、まずはそっちの経験を積みたい気持ちが強かった。彼には2ヶ月くらいハマってたかな」
── 彼は付き合おうって言わなかったんですか。
「あ、そこは正直に彼氏がいると話していたので、対象外だったと思います。その彼も最初はお姫様扱いしてくれましたけど、しばらくしたらスッと音沙汰がなくなってしまって。こちらから誘えば来てくれますが、他にいい人ができたんじゃないかなと判断し、彼だけに依存するのはやめて別の人にも会いました」
ふと寂しくなって「今電話できない?」と連絡をしてしまい(笑)
「最初の人が良すぎてしまったのか、ご飯だけでいいかな〜ってことばかりでした。でも私、お酒を飲むと人肌が恋しくなっちゃうんです。で、1回のご飯で終わりにしたはずの人に連絡して『今から家に行くね』ってことをしたこともあります」
── やってみてどうでしたか?
「したら途端に冷めてしまいました。キスの味もなんか違ったし、終わったらお酒も冷めて『じゃあ帰るね』って」
── アハハハ、男子みたいですね。やっぱり吉沢 亮似の人を落としにかかったらよかったんじゃないですか? イケメンの彼氏を友達に自慢することもできますし。
── そうか、遊びと本気でどこかで線引きをしているんですね。そうした色々があって元の彼に戻ったと。きっかけは何だったんですか。
「イケメンだと沼にハマってしまうし、他の男性に会ってみてもつまらないしで、マッチングアプリはやめました。しばらくしてからふと寂しくなって、つい『今電話できない?』ってジャブを打ったのがきっかけです」
── なるほどなるほど、ありますよね。
「彼は別れたくないのに別れちゃった形だったので、『今からすぐそっちに行くよ!』って飛んできてくれました。ずっと好きでいてくれたんです」
── いい彼だ〜。
甘え下手な私を、半ば強制的に甘やかしてくれる
── 本当にいいですね。その間に彼は他の女性に走ったことはなかったのかな。
「さあ、別れている間に女の子とご飯に行ったりはしていたみたいですが、疑うのもどうかと思いますし。でも私は『遊んだでしょ』と言われました(笑)」
── えー、言っちゃいましたか?
「言ってないです。『アプリはやったけど、ご飯くらいであんまりいい人はいなかった』って言いました」
── 凄く正しい。それでいいです! 時々全部正直に言う女性っているじゃないですか。あれね、なんで全部言うの?って思います。
「はい、今後の付き合いがありますから、黙っておくことも大事だなと」
── あー、よかった。お墓まで持って行ってください。
「はい、持っていきます!」
── 今日はありがとうございました!
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)