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2024.07.28

【第2回】

1度に数百万、数千万をかける富裕層の旅で最も求められるサービスとは?

富裕層向けコンシェルジュサービスを運営するアルカディア代表取締役の才津香果(さいつかぐみ)さん。贈り物選びから旅の手配などなど、世界のセレブリティのあらゆる要望に応えるなかで見てきた、富裕層の遊び方とは?

CREDIT :

構成/才津香果 文/安井桃子 写真/笠谷 龍 協力/株式会社アルカディア 編集/森本 泉(Web LEON)

才津香果 さいつかぐみ WebLEON
▲ ケニア・ナイロビ郊外にあるホテル「ジラフ マナー」。ジラフセンターを併設してキリンと近い距離で触れ合える。
自身も旅マニアとして、世界のラグジュアリーリゾートをめぐり続け、これまでかけた自腹・旅費総額は9億円超え! その旅で見つけたセレブのための驚きのサービスなども今後ご紹介!

連載第2回は富裕層を満足させる旅を提供するために、コンシェルジュが意識していることを解説します。
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その場所での最大限のラグジュアリーを提供する

誰とご旅行に行かれるのか。
一緒に行かれる方の「旅偏差値」はどのくらいなのか。
コンシェルジュとして、富裕層の方々へ旅のご提案・ご手配をさせていただく際に、私がもっとも意識するのがこの2点です。

富裕層の方々は実はご自身が楽しむことよりも、大切な方であるご同行者が喜ばれることを最優先事項とします。ですから私たちは最大限、一緒に行かれる方のお好みと、これまでの旅の経験についてSNSや打ち合わせを通してリサーチさせていただきます。

例えば動物が好きで、世界中を旅しているアクティブな方なら、ちょっとマニアックに、ルワンダのゴリラトレッキングへ。野生のゴリラを見ることができる、旅好きには大変有名なディスティネーションです。

動物は好きだけれどアフリカには行ったことがない、という場合であれば、まずはアフリカの中でも比較的日本に近く、王道であるケニアやタンザニアのサファリリゾートの方が喜ばれるでしょう。
もし、まったく海外経験がなく、ご旅行に不安をお持ちという方でしたら、外国を感じつつ日本語も溢れているハワイ本島と離島のプライベートリゾートの組み合わせからスタートすれば、無理なく楽しめるかもしれません。

ファッションがお好きなら、パリやミラノのファッションウイーク、アートがお好きだけどお忙しい方なら、近場の香港へアートバーゼルを組み込んだ旅程を。

行き先から、私たちがご提案をさせていただく場合、こうしてご同行者の旅の経験、「旅偏差値」をもとに、目的地をリストアップし、趣向を組み込んだ最もラグジュアリーな旅をご提案いたします。
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才津香果 さいつかぐみ WebLEON
▲ モルディブ・ヌーヌ環礁にあるラグジュアリーリゾート「ソネバジャニ」は水上ヴィラタイプの客室がメイン。

大都市より大自然で快適に過ごす方が金額も手間もかかる

もちろん、目的地が利便性の高い都市である場合と、過酷な自然環境である場合、それぞれの食事や滞在するお部屋はまったく異なるものになります。例えば先日は、あるお客様に南極点への到達を目指す旅のご提案をさせていただきました。

本来南極点の到達を目指す場合、マイナス30度の世界の中、重いリュックを背負って歩きますが、ご提案した旅はプライベートジェットでの移動、食事も山歩き用のドライフードではなく、シェフ同行でフルコース。私たちはこのように、それがどんな環境でも、その中で最大限のラグジュアリーをご提案できるよう努めています。

実は、大都市で贅沢に遊ぶよりも、大自然で快適に過ごすことの方が、金額も手間もかかります。今のラグジュアリートラベルはキラキラしたシャンデリアのような世界よりも、手つかずの大自然をどれだけ不便なく楽しめるかという遊び方が増えている印象です。
そして、その不便さや過酷ささえも楽しみたいという旅の強者(つわもの)も、実は結構いらっしゃいます。このようにそれぞれのお客様の旅偏差値、ご年齢や目的に合わせたラグジュアリーな旅を私たちコンシェルジュはご提案しています。
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プラスのサービスを重ねるよりもマイナスを防ぐことに全力を傾ける

そもそも、富裕層の方の考えるラグジュアリーな旅とはなんでしょうか。贅をつくしたホテルにもお食事にも、すでに慣れているような方々です。そういう方に旅を楽しんでいただくために、私たちコンシェルジュが意識していることがふたつあります。
不便がないこと。
ケアされていると、常に感じられるようにすること。

例えば、早朝に入国したのに、ホテルでアーリーチェックインができず、レストランも空いていない。あるいは指定したはずの部屋が用意されていない、予約したレストランが子供不可だった、苦手食材の指示が通っていない、などなど旅に不便やトラブルはつきものでしょう。けれど1度の旅で数百万、数千万をお支払いするような方であれば、楽しい旅の思い出よりも、不便があったことの方が記憶に残ってしまいます。
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▲ モロッコ王室によって運営される「ロイヤル マンスール マラケシュ」では豪華絢爛な王族の暮らしを体験できる。
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アーリーチェックインが確約できないのであれば、フライトを変える。プライベートジェットのお客様であれば、チェックイン頃の時間に着くよう調整する、または休憩用のお部屋を予約する。
私たちは事前にお客様の情報や家族構成などを現地に共有し、VIP対応の依頼や、アクティビティの手配をしています。さらに、アレルギーなど注意点がある場合、予約日前日に直接現地に電話で再確認をとるなど、徹底的かつ地道に、不便の種、トラブルの可能性を潰していきます。
時間はどんな人にも平等にあり、そして有限です。そして富裕層の方たちは、普通の方以上に時間の大切さを深く理解していらっしゃいます。有限である時間を誰とどのように過ごすのか。忙しい日々の中、大切な人と過ごすバケーションは何よりも貴重な時間なのです。だからこそ、お客様が無駄だと感じてしまうような時間はつくらないように徹底しなければなりません。
もちろん、無駄な時間も旅のひとつ、と楽しんでくださる方も多くいらっしゃいます。けれどそういう方だって、待ち時間は少ない方が絶対にいいはず。贅沢なワインやスウィーツを用意しておくなど、プラスのサービスを重ねるよりも、このマイナスを防ぐサービスこそがもっとも難しく、そして予算をかけるべき、やりがいのある仕事なのです。
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ケアされていると、常にお客様に感じていただくために

例えばお子様がいらっしゃるお客様の場合、何歳で、何が好きで、という情報を事前にホテルにシェアし、お部屋におもちゃやテントなど、お子様が楽しめるグッズを依頼します。レストランでも気を遣わずに食事を楽しめるように個室やお子様用のメニューを用意するなど、できる限りのパーソナライズな対応を意識しています。

また、ご到着時にお部屋の中にスウィーツや花束、私たちコンシェルジュからの手紙を置いておいていただくなど、お客様の方向を常にホテルスタッフや私たちが見ている、ということをお伝えし続けます。
そういったパーソナライズされたホスピタリティを私達からもホテルからも、どこにいても、旅の間に感じていただきたいのです。

コンシェルジュはパーソナライズな対応が求められるため、日々お客様に向き合い、ご指摘やご指導もいただきながら改善を繰り返しています。
この仕事に「正解」はありません。もっとできたのではないかと、時に思うこともあります。けれど「思いやり」を重ねていければ、きっとお客様に伝わる。それがホスピタリティのかたちになっていくと、私は信じています。
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● 才津香果(さいつかぐみ)

1982年生まれ。有料会員制コンシェルジュサービス「アルカディア」代表取締役。早稲田大学在学中から株式投資を行い、卒業後はリクルートに入社。2カ月で退社したのち飲食店や営業会社、ITビジネスを立ち上げる。2014年に事業売却、ドバイに移住する。その資金で世界のラグジュアリーリゾートをめぐり知見を得る。2019年、旅の経験を活かし、アルカディアを設立。ギフトの選定から、旅行企画、クリニックやファッションののアレンジなど富裕層のあらゆるオーダーに応え続けている。

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