2024.07.28
【第2回】
1度に数百万、数千万をかける富裕層の旅で最も求められるサービスとは?
富裕層向けコンシェルジュサービスを運営するアルカディア代表取締役の才津香果(さいつかぐみ)さん。贈り物選びから旅の手配などなど、世界のセレブリティのあらゆる要望に応えるなかで見てきた、富裕層の遊び方とは?
- CREDIT :
構成/才津香果 文/安井桃子 写真/笠谷 龍 協力/株式会社アルカディア 編集/森本 泉(Web LEON)
連載第2回は富裕層を満足させる旅を提供するために、コンシェルジュが意識していることを解説します。
その場所での最大限のラグジュアリーを提供する
一緒に行かれる方の「旅偏差値」はどのくらいなのか。
富裕層の方々は実はご自身が楽しむことよりも、大切な方であるご同行者が喜ばれることを最優先事項とします。ですから私たちは最大限、一緒に行かれる方のお好みと、これまでの旅の経験についてSNSや打ち合わせを通してリサーチさせていただきます。
例えば動物が好きで、世界中を旅しているアクティブな方なら、ちょっとマニアックに、ルワンダのゴリラトレッキングへ。野生のゴリラを見ることができる、旅好きには大変有名なディスティネーションです。
動物は好きだけれどアフリカには行ったことがない、という場合であれば、まずはアフリカの中でも比較的日本に近く、王道であるケニアやタンザニアのサファリリゾートの方が喜ばれるでしょう。
ファッションがお好きなら、パリやミラノのファッションウイーク、アートがお好きだけどお忙しい方なら、近場の香港へアートバーゼルを組み込んだ旅程を。
行き先から、私たちがご提案をさせていただく場合、こうしてご同行者の旅の経験、「旅偏差値」をもとに、目的地をリストアップし、趣向を組み込んだ最もラグジュアリーな旅をご提案いたします。
大都市より大自然で快適に過ごす方が金額も手間もかかる
本来南極点の到達を目指す場合、マイナス30度の世界の中、重いリュックを背負って歩きますが、ご提案した旅はプライベートジェットでの移動、食事も山歩き用のドライフードではなく、シェフ同行でフルコース。私たちはこのように、それがどんな環境でも、その中で最大限のラグジュアリーをご提案できるよう努めています。
実は、大都市で贅沢に遊ぶよりも、大自然で快適に過ごすことの方が、金額も手間もかかります。今のラグジュアリートラベルはキラキラしたシャンデリアのような世界よりも、手つかずの大自然をどれだけ不便なく楽しめるかという遊び方が増えている印象です。
プラスのサービスを重ねるよりもマイナスを防ぐことに全力を傾ける
ケアされていると、常に感じられるようにすること。
例えば、早朝に入国したのに、ホテルでアーリーチェックインができず、レストランも空いていない。あるいは指定したはずの部屋が用意されていない、予約したレストランが子供不可だった、苦手食材の指示が通っていない、などなど旅に不便やトラブルはつきものでしょう。けれど1度の旅で数百万、数千万をお支払いするような方であれば、楽しい旅の思い出よりも、不便があったことの方が記憶に残ってしまいます。
ケアされていると、常にお客様に感じていただくために
また、ご到着時にお部屋の中にスウィーツや花束、私たちコンシェルジュからの手紙を置いておいていただくなど、お客様の方向を常にホテルスタッフや私たちが見ている、ということをお伝えし続けます。
コンシェルジュはパーソナライズな対応が求められるため、日々お客様に向き合い、ご指摘やご指導もいただきながら改善を繰り返しています。
● 才津香果(さいつかぐみ)
1982年生まれ。有料会員制コンシェルジュサービス「アルカディア」代表取締役。早稲田大学在学中から株式投資を行い、卒業後はリクルートに入社。2カ月で退社したのち飲食店や営業会社、ITビジネスを立ち上げる。2014年に事業売却、ドバイに移住する。その資金で世界のラグジュアリーリゾートをめぐり知見を得る。2019年、旅の経験を活かし、アルカディアを設立。ギフトの選定から、旅行企画、クリニックやファッションののアレンジなど富裕層のあらゆるオーダーに応え続けている。