３つ星ならぬ３つ鍵⁉ 日本のミシュランキーホテルを巡ってみた

レストランの格付けで知られる「ミシュランガイド」は、今年4月からフランス、アメリカ、スペイン、イタリアで各国初となるミシュランキーホテルを発表してきました。そして、この7月には日本初のミシュランキーホテルをアジア圏では先駆けて発表。アジア初となる今回のセレクションでは、、3ミシュランキー6軒、2ミシュランキー17軒、1ミシュランキー85軒の、トータル108軒のミシュランキーホテルが誕生しました。

いままでホテルの格付けといえば、フォーブス・トラベルガイドやアメリカ自動車協会（AAA）による最大５つ星のランキングが一般的でしたが、これからは「あそこは3つ鍵だからね～」などと呼ぶようになるのかしらん？ ちなみに、この評価については次の５つの基準から選定されているのだそうです。

1. ホテル自体が旅の目的地であり、その土地ならではの体験ができる
2. 素晴らしい建築とインテリアデザイン
3. サービスの質、快適性、メンテナンスが行き届いている
4. 価格に見合った体験ができる
5. 施設の個性やユニークな特徴を反映した独自性がある

今回３ミシュランキーに選ばれたのは、強羅花壇（神奈川県箱根町）、HOTEL THE MITSUI KYOTO（京都府京都市）、アマネム（三重県志摩市）、パレスホテル東京（東京千代田区）、フォーシーズンズホテル東京大手町（東京千代田区）、ブルガリ ホテル 東京（東京都中央区）の6軒でしたが、上の評価基準と照らし合わせながら見るとフムフム……と納得できます。強羅花壇やアマネムはそれ自体が旅のデスティネーションとなっており、多くの海外富裕層が日本旅行のコースに組み込んでいますよね。ではそれ以外の4軒はどこがすばらしいのか？ ラッキーなことに、これらホテルとご縁の深い筆者が自らの体験をふまえて解説いたします。

このミシュランキーが発表されると聞いて、間違いなく３つ鍵に選ばれると思っていたのがこちら。京都市中でもかつて三井総領家の別宅があったという由緒正しきロケーション、ロビーから臨む水盤のある美しい庭園、そして使い勝手のよいゲストルームと、まさにすべてにおいてケチのつけようのない満点ホテルです。

なかでも筆者が唯一無二と思っているのがこちらのサーマルスプリングスパ。「静謐を湛える」のコンセプトのもと、上質な静けさと暗さのなかで身体を温泉に沈めていると、自分がどこにいるのかわからなくなるような……深い癒しとくつろぎを得ることができます。

コチラが３つ鍵に選ばれたと聞いて、とてもうれしかったです。だって、東京で選ばれた3軒のうち、唯一のドメスティックブランド。さらに他がオープンから間もない新しめなホテルであるのに対し、「パレスホテル東京」は1961年に誕生、2012年にリニューアルオープンした歴史と伝統ある老舗だから。

パレスホテル東京の素晴らしさはひと言で言って総合力だと思うのですが、その魅力が端的に結晶していると感じるのはこのロビーです。この画像からはわかりませんが、多くのスタッフがここにいて、少しでも行き先がわからないそぶりのゲストにはさりげなく声をかけ、ただすれ違うだけでも笑顔で挨拶してくれる質の高いサービスが徹底されています。また、特筆したいのはこの中央のお花。いつも四季折々のみずみずしい生花がたっぷりとアレンジされていて、見る人の心を癒してくれるだけではなく、素敵な写真スポットにもなっています。

最近ではフレンチファインダイニング「エステール」のお料理も楽しみ。23年1月より、名匠アラン・デュカスのもとで長年腕を磨いた小島景氏がシェフとして就任し、シェフお得意の鎌倉野菜をふんだんに使ったコースをいただけるようになりました。

2023年にオープンしたホテルのなかで最も注目されたのがコチラのホテル。なかでも話題を呼んだのは床面積416㎡を誇る都内最大級のブルガリ スイート。４カ所のシーティングエリアをそなえた広大なリビングルーム、プライベートオフィス、10人は座ることができる専用キッチン付きのゆったりとしたダイニングルーム、さらにプライベートバーコーナー……もちろん私は泊ったことがありません（笑）。

庶民の私でも楽しめるからおすすめしたいのはアペロや食後にサクッと立ち寄れるバー。45階のルーフトップにあり、東京駅サイドと東京湾サイドの双方にテラスを擁する「ブルガリ バー」は、たとえるなら東京のビル群に浮かぶ地中海式庭園。カクテルやワインのみならずバーフードも充実しているので、軽く食べるなら、ここ1軒でも完結します。

2020年に開業した際、108㎡もの広さのテラス席のあるレストラン「PIGNETO（ピニェ―ト）」には衝撃を受けました。東京を一望する立地で、こんな高層階かつダイナミックなホテルのテラスは当時他にはなかったから。

この「PIGNETO」は「アボンダンツァ」（豊潤な人生）をテーマに、旬の食材を活かした季節のイタリア料理をファミリースタイルで提供する比較的カジュアルなレストランなのですが、私のおすすめはピザ。4人くらいでわいわいとテーブルを囲みたい時にぴったりです。

食後には、バー「VIRTÙ」へ。ヘッド・バーテンダーであるキース・モッツィ氏のカクテルはイノベーティブでありながら、時流に流されない芯のある美味しさ。杯を重ねるごとに、心地よく東京の夜が更けていきます。

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