2025.01.03

超富裕層顧客が“この販売員からしか買わない”と決める納得の理由とは？

謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の迷える男性諸氏を洗練へと導く連載。今回のテーマは……。

CREDIT :: 文／カトリーヌ10世　イラスト／ユリコフ・カワヒロ

世界のラグジュアリー人脈に通じ、社交界の裏事情にも詳しい謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の男性諸氏が陥っている、ファッションと恋愛の無自覚・無意識の怠慢に覚醒を促し、読者を洗練へと導く連載です。今回のテーマは……。

■ お金を持続的に動かす鍵に目覚めなさい

ある百貨店でトップの売り上げを誇る販売員の話をしましょう。小さな家が買えそうな価格のジュエリーも、この販売員はやすやすと売っていくのです。

彼は販売員になった当初からこの地位を目指していました。上位0.5％の超富裕層のみを顧客につかむと決め、彼らの生態や考え方を徹底的に研究し、そこに波長を合わせたのです。その結果、行動を抜本的に変えます。

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まずSNSは一切やらない。多くの哲学書を読み、テレビはNHKのドキュメンタリーしか見ない。ファストフードや安価チェーンには入らない。ゴルフ、ヨット、乗馬、秘境リゾートなどの経験を可能な限り積む。

販売スキルなど意識したことはない、と彼は言います。「物販はしません。人間同士のおつきあいをどう続けるか、お客様にどう幸福感を味わってもらえるか、それだけを考えます」と。

お孫さんの誕生日にプレゼントを贈ることもあります。幸せな気持ちになってもらうサービスをするために、顧客のことばや行動から情報を収集し、あらゆる努力をするそうです。

また、商品やブランドのうんちくも一切語らない、と彼は言います。「商品知識は大前提ですが、ほとんど説明しません。むしろお客様を笑わせるような、面白いネタを常に仕入れていきます」

こうして買い物のたびにパーソナルで幸せな体験ができると顧客が信じるようになった時、そのお客様はすでにこの販売員の「沼」に入っているのです。この人からしか買わない、と決めるまでに。

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疑似恋愛を思わせる世界です。実際、何人ものお客様を喜ばせることに努めていると、並行して何人とも恋愛しているような気分になってくるそうです。

とはいえ、彼はお客様を騙しているわけではなく、人間同士の親密な関係を保つことに徹底し、お買い上げ後も長くケアするので、幸福な関係は持続します。

ほかの領域にも通じる話ですね。世界を回すのはお金に見えて実はそうでもなく、そのお金を持続的に動かす鍵になるのは「パーソナルで幸福な、人と人との関係」であることに目覚めなさい。