2023.12.03
ピース綾部祐二「タレントはいいよなって。いやいや僕もあなたと一緒。何も変わりませんから」
6年前、いきなりニューヨークへと旅立ったピースの綾部さん。いまだハリウッドスターにはなっていなくとも、後悔は一切なく、得ることはたくさんあったと言います。常に未来を見ながら果敢に挑戦を続けてきた綾部さんが皆に言いたいこととは?
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文/相川由美 写真/トヨダリョウ 編集/森本 泉(LEON.JP)
こんな人と出会えて、自分はなんてラッキーなんだと思う
綾部祐二さん(以下、綾部) 折れるというよりも、英語に対しての自分のできなさ加減に、打ちのめされますね。本当にもうそこだけです。1にも2にも3にも4にも5にも6にも英語です。肝はもう英語でしかないです。
── その大きな課題である英語の先生と、綾部さんは結婚されたという報道がありましたが?
綾部 いや、英語の教師ではないんです。別に仕事を持っていて、個人的に僕が英語を教えてもらっていたというだけで。
── でも、アメリカに行ったからこそ、出会えた縁ですね。
綾部 それはそうですね。たぶん、日本にいたら、僕は100%結婚してなかったと思います。概念としてなかったんですけど、アメリカに行ってマインドが変わったんでしょうね。一応、「ハリウッドスターになる」って渡米したものの、それが叶わなかったとしても、アメリカで「結婚しよう」と思う人が現れたから、それだけでも十分ありがたいし、いいかなっていうふうにも思えます。
綾部 僕が今、夢中になってるアメリカっていうものの、すべての上をいってるところですかね。女性というよりも、人として尊敬して惹かれたところが80%ぐらい占めてるんじゃないかな。あとの20%は、外見的なところとか性格もありますけど。ある意味、僕にはメリットでしかない結婚ですね。自分の目標を達成するための精神的なパートナーでもありますし、ティーチャーであり、ワイフであり、マネージャーであり、ベストフレンドであり、コロコロと役割を変える。そんな人と出会えて、自分はなんてラッキーなんだと思いますね。
綾部 いやいや(笑)、年下ですね。みなさんが勝手に熟女専門にしてますけど、僕は一度もそれを人前で言ったことはないですからね(笑)。ただ、僕の中で幅がありますよっていうだけで。
── 著書の中でも、「毎日、I love youを言う」と書いていますが、先ほど言われたように、ずっと好きでいられる人を見つけたんですね?
綾部 まぁ、自分で「恋」に例えておきながら、じゃあ、それってほかの女性に浮気しないってことですよねって言われたら、ちょっと1時間お時間いただいていいですか(笑)。でも、明らかに日本にいる時とは違う感じですね。日本にいる時は、手をつないだり、寄り添ってベタベタするような恋愛の仕方は、40年間で一度もないんですよ。でも、今はまったく抵抗がなくなりましたね。
「ノールックだったけど、もういいよね」って、バーンとLAへ
綾部 特に、結婚を人生のターニングポイントだとも思ってないんです。ただ、自分の好きな国で価値観が同じ人と、一緒にいて楽しいというだけでいいなって。この先、子どもとかができたら変化が訪れるのかな、とは思いますけど。
綾部 ニューヨークでワイフと別々に住んでいたので、一緒に住んだほうがいいよねって。それで物件を探してる時に、「ちなみにこの家賃で、LAだったらどんな部屋があるかな?」って見てたら、「ちょっと待って、ガレージがついてくるよ」「一軒家とかだよ」「え、そんななの?」となって。次の日にエアとって、2日後にLAに行って、「住むっていう概念で訪れてみよう」って。それで街を見て、スーパーを見て、「なんかいいんじゃない?」「ノールックだったけど、もういいよね」って、バーンと決めました。
ハリウッドも近いし、ハーレーに乗るから、ガレージがあるのはありがたいし。今、住んでても好きな街ですね。これは「お寿司と焼き肉とどっちが好き?」っていうのと同じで、ニューヨークもLAも両方好きです。ただ、アメリカにいて「出身はどこ?」って聞かれたら、僕はやっぱり「ニューヨーク出身です」っていうところはありますね。
綾部 そんなにオーディションも受けてるわけじゃないんですけど、やっぱり人と会う時に、パンパンッと会えるので、それはもう全然違いますね。今の時点で「ハリウッドスターになる」道のりは、1歩ずつというよりは、1ミリずつ進んでるという感じですかね。
どんな経緯でもハリウッドスターとレッドカーペットを歩けりゃいい
綾部 別にポジティブでいようと思ってるわけではないんですよ。「全然できねぇな、ダメだな」って、ネガティブに考えることもありますし。ただ、自分のことなので、やってることを人に納得してもらいたい、認めてもらいたいという気持ちが人よりも少ないと思うんです。僕がアメリカでいろいろやってることを、人に評価されたいとも思わないですし。
とにかく僕は、どんな経緯でも、ハリウッドスターと仕事ができればいいんですよ。急に、吉本興業が金をねじこんで、キアヌ・リーブスの映画に出られたとして、その時間を共有できて、レッドカーペットを一緒に歩けたら、その経緯をあなたが認めるどこうじゃなくて、僕は「あぁ、うれしい!」ってだけなんです。
綾部 「会社に金積んでもらって」とか言われても、いやいや、僕は1回も「ハリウッド行って、自分の実力でコツコツ1からやってレッドカーペット歩きたい」なんて言ってないですからね。「ただの1回でもいいから、みんなが知ってるハリウッドスターとレッドカーペットを歩く」って言ってるだけなんで。LEONさんが、実は莫大なコネを持ってて、「もしよかったら、LEONで独占密着するのでハリウッド映画に出ませんか?」って言ってくれたら、「ありがとうございます」って話なんですよ(笑)。
綾部 「ハリウッドスターになる」というのと同じくらいに、「英語をモノにする」という目標が1コ増えたんです。今こうやって1時間インタビューを受けたのと同じくらいに、英語でも言葉を操って、みなさんに「おもしろかった」って言われるようになりたい。そのどちらの目標も成しとげて、街を歩いていると「おまえ、この間のTVショー見たよ」「この前の映画見たよ、おもしろかったな。写真撮ってよ」って言われるような。そんな中で、ワイフと一緒にアメリカで生活できたら、もうそれだけでいいです。
こんな話をすると、「おまえはタレントだから、そうやってアメリカに行って、好きなことがやれていいよな。俺は田舎のサラリーマンだし……」とかって言うヤツがいるけど、そんなの知らないよって思うんですよ。僕だって、生まれながらにタレントだったわけじゃない。茨城の村の工場で働いて、「これだけ油まみれになって働いても年収230万円か。でも、芸能人になったらもっともらえるんだろうな。よし、やってみよう」って自分で東京に出てきて、たまたま成功してるんだから。
おまえがグズグズ言いながら働いてるのは、それはおまえ自身が選択してることなんだよって。僕だって、ご飯ともやしだけを食ってる時代があって、そこを経て今があるんだから。例えば、今はすごい金持ちの社長でも、ユニクロの柳井さんや楽天の三木谷さんも、起業した時に借金まみれで不安でどうしようっていうときがあったと思うんですよ。「そこを飛ばすなよ、おまえら」って言いたいです(笑)。
綾部 だって、本当ですから。今日も、洋服屋さんに行って、「お時間ない中、来てくださってありがとうございます。これ良かったらどうぞ」って、袋にお香を入れてもらったんですけど(笑)。それだって、僕が茨城から東京に出てきたばっかりの時は、お香1本つかないわけですからね。「タレントはいいよな。そうやって、お香もらえて」じゃないのよ(笑)。いやいや、僕は自分でなったんだよ。油まみれの作業着を脱いで、東京でテレビでお仕事させてもらって、お香をもらえるようになったんだよ(笑)。そこを忘れないでね。「あなたと一緒。何も変わりません」って。
── 染みるお言葉ありがとうございます!(笑)
綾部祐二(あやべ・ゆうじ)
2000年デビュー、03年、又吉直樹とお笑いコンビ「ピース」を結成。10年にブレイクを果たし、一躍人気タレントに。人気絶頂の16年、アメリカに拠点を移すことを発表。9本あったレギュラー番組すべてを降板し、17年10月にニューヨークへ移住。22年5月には渡米5周年を機にロサンゼルスへ移動し、YouTubeチャンネル『YUJI AYABE from AMERICA』を立ち上げるなど、夢の実現に向け精力的に活動している。