2023.06.11
【オーストラリア・ノーザンテリトリーへの旅 前編】
絶景の島でワニと過ごした2泊3日がワイルドすぎた!
雄大な自然を誇るオーストラリアのなかでも、ノーザンテリトリーは神秘的な魅力に溢れる土地。周りとはちょっと違う、冒険をしたい人におすすめの旅先であります。そんなノーザンテリトリーを2回に分けてご紹介。前編では美しき秘境、ティウィ諸島をご紹介します。
- CREDIT :
文・写真/大石智子
ノーザンテリトリー準州とは?
なぜなら自然がワイルドすぎて、大部分が植物と野生動物の領域だった。人間が彼らのなわばりの一部を借りているといった印象の大自然。太古から続く環境を最大限に尊重している場所でもあります。
ノーザンテリトリーといえばかつてエアーズ・ロックと呼ばれたウルルが有名ですが、今回はそこから北に離れたトップエンド(ダーウィン、ティウィ諸島、カカドゥ)を旅しました。
まずは州都ダーウィンにチェックイン
今回はカンタス航空に乗りシドニーで1日過ごし、ダーウィンへ。なお、最も所要時間が短いのはジェットスターを利用してのケアンズ経由で片道11時間半。他、シンガポールやバリ経由もいいなと個人的には思います。バリのデンパサールからダーウィンは所要2時間40分。バリの合間に挟むのも手でしょう。
さて、筆者がダーウィンに到着したのは夜22時過ぎ。驚いたのが、ダーウィン上空まであと5分となった時、まだ辺り一面が真っ暗だったこと! 本当に人が住んでいないのだなと、漆黒の地上に感じたのでした。
その夜はビーチ沿いに立つ1983年創業の「ミンディル・ビーチ・カジノ・リゾート」にチェックイン。客室に入ると、なんと到着早々ワニに遭遇! といってもベッドメイキングのサービスとして作られたタオルのワニです。やはりこのエリアの名物はワニなのだと初日から印象づけられました。
ゆったり2泊した翌朝、ティウィ諸島を目指すべく「Air Frontier」の小型飛行機に乗り込みます。
どんなところに泊まるか未知数ですが、向かうは2泊2名13万6500円〜からのオールインクルーシブのお宿です。
久しぶりの圏外リゾート
凄いところに来たなと感じますが、ここからが本番。リゾートまでの道のりはジャングルクルーズで、船はマングローブの間を進んでいきます。世界に84種あるマングローブのうち78種はティウィ諸島にあるのだとか。
それは私の浅はかな第一印象でした。よくある島のリゾートだと開拓して大規模な施設を建てますが、ここは真逆。木々を切り倒してまでの豪華さはいらないというスタンスです。客室、バー併設のレストラン、プール、以上。宿の周りに道すらない。
元々は釣り人たちの拠点となっていたロッジを、パースで不動産会社を営むジョンさんが19室の宿へと改築。一般的なホテルの常識にとらわれず、この島らしい長閑な過ごし方を提案しています。例えばWi-Fiは本当に必要な人だけパスワードを教えてもらう方式。携帯は圏外なので本気のデジタルデトックスです。仕事から離れ、SNSなどを見ている時間もない。
ちまちましたことを忘れられるのは、底抜けに明るい「TIWI ISLAND RETREAT」のスタッフのおかげでもあります。最初から「あれっ、前に会ったことあったけ?」と思うフレンドリーさ。
オールインクルーシブなのでバーのドリンク(ビール、ワイン、カクテル等)は飲み放題ですが、雰囲気の違うスタッフがバーカウンターにいるなと思ったら宿泊客だったりする。カウンター内のお酒や氷を客がセルフで持っていく様子もちらほら。逆に夜遅くまでテラスで飲んでいる客がいると思ったら仕事終わりのスタッフだったりする。日本にはないこのラフさが島の小さな宿らしく心地いいです。
そして、忘れられないのが波打ち際散歩で見た夕暮れの美しさ。曇りで太陽が見えないと諦めたあと、雲が一気に赤く染まっていった。曇天でも抑えられない太陽のエネルギー。ほんの1分くらいでしたが、永遠に忘れられない一瞬でした。
爆釣や大物も狙える秘境です!
自分たちで釣った魚はさっそく当日のディナーとして食卓に登場しました。丸揚げにされアジア風ソースとたっぷりのハーブがかかり、淡白なハタが大変身。シェフが作るのは先住民とアジアの影響を受けたメニューの数々で、スパイスやブッシュタッカー(先住民が食するオーストラリ固有のハーブ)を多用します。ノーザンテリトリーの牧草牛のステーキも絶品でした。
また、薄々知っていましたがオーストラリアのみなさんは酒が強い。日本人グループより遅くまで飲み、よく喋り、ご機嫌。彼らとの出会いも旅のいい思い出となるでしょう。今回は機会がありませんでしたが、この島では先住民の文化体験や彼らとの交流のチャンスもあり気になるところです。
▲ ビクトリア州から来た陽気な2夫婦。
▲ 海辺でのサンセットカクテルタイムでは、ジャングルから調達した薪で豪快な焚き火が行われる。
▲ 意外と難しい椰子の実投げ。椰子の実が頭を直撃しないように、木の周りには侵入禁止のロープが敷かれている。
▲ リンボーダンス大会の優勝は日本人。
▲ 波の音を聴きながらのナイトキャップ。
▲ ビクトリア州から来た陽気な2夫婦。
▲ 海辺でのサンセットカクテルタイムでは、ジャングルから調達した薪で豪快な焚き火が行われる。
▲ 意外と難しい椰子の実投げ。椰子の実が頭を直撃しないように、木の周りには侵入禁止のロープが敷かれている。
▲ リンボーダンス大会の優勝は日本人。
▲ 波の音を聴きながらのナイトキャップ。
最後にひとつ、くれぐれも“サンドフライ”にはご注意を。刺されるとどれくらい痒いかは検索してくださいませ。筆者もサンドフライの洗礼を受けました。なぜ手足が隠れる服を着なかったのか、なぜオーストラリア製の強力な虫除けスプレー「BUSHMAN」(要購入!)をつけなかったのかと悔いても後の祭り。大自然は甘くない。
でも、それぐらいワイルドだからこそ、忘れられない絶景にも出会える。単に豪華なホテルとは違う「TIWI ISLAND RETREAT」での滞在は、圧倒的にユニークな時間でした。チェックアウト時、野性のワニが見送ってくれるリゾートはそうそうないです。
iPhoneの写真で見返してもハッとする景色を生で見る体験。まさに非日常の旅なのでした。そんな感想が後半も続く、ノーザンテリトリーは奥深い。
後編に続きます。
取材協力:ノーザンテリトリー政府観光局
https://northernterritory.com/jp/ja
※価格はすべて編集部調べ 1オーストラリアドル90.93円で計算
● 大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。