2023.10.10
featuring ロレックス愛好家 原 健介
ロレックス×ティファニーのダブルネームから始まるストーリー
お洒落な男性なら誰もがステキな時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いお話がアレコレと飛び出します。
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写真/多田 悟(Rooster) 構成・文/長谷川 剛(TRS)
世代やカルチャーに導かれたロレックスという趣味
東京生まれ、都心育ちの原さんは、学生時代からファッションにもこだわりを持ち、多くのアイテムを選ぶなかで時計に興味を抱くようになったと語ります。
原 健介さん(以下、原) 現在に繋がる、このような時計を集めだした理由のひとつが、僕の属した“世代”にあると思っています。自分の生まれは1975年。「渋カジ」と呼ばれるファッションムーブメントを高校生時代に経験し、服装と同様に時計もある種のブランドのものを選ぶことが、ひとつのお洒落として確立した時代だったように思います。
原 渋カジを通過した自分は、その次に「裏原」と呼ばれるカルチャーに強い感心を持っていました。なかでも藤原ヒロシさんはひとつのアイコンであり、当時は雑誌などを見て、彼のスタイルをいろいろと参考にしていました。
── その「裏原」のシーンでもロレックスは絶大な影響力を誇っていた時計。過去には「渋カジ」も経てきた原さんですから、どうせ手に入れるならロレックスしかないと考えるのは自然の流れです。そんなタイミングで出会ったのが、なんとティファニーとのダブルネームによるサブマリーナー。
ダブルネームのヴィンテージ・サブマリーナーが時計趣味の原点
── 当初はアンティークショップに陳列していたままの、少しくすんだ状態で使用していたという原さん。しかし身に付けていると、色々な人が助言をしてくれるようになり、後年専門ショップで磨いてもらうなどメンテナンスにも気を付けるようになったと振り返ります。
原 正規ショップにオーバーホールに出すことも覚え、一度、ベゼルのルミナスポイントを紛失してしまったこともありますが、そのつど修理に出すなど、今も大事に使っています。
原 そこで手に入れたのがエクスプローラー Ⅰ。こちらもいわゆる第三世代と呼ばれるヴィンテージです。現行のモデルと大きく変わることは無いのですが、このRef.1060はケース径36mmであり、現代の感覚ではやや小振りのタイプ。文字盤も非常にシンプルゆえに、かっちりしたビジネススタイルから休日のオフまで、シーンを問わずに着用できるスペックです。
よりマルチに使えるエクスプローラー Ⅰのヴィンテージ
原 そうですね。現行モデルもいくつか手に入れたことはありますが、ヴィンテージモデルは探す楽しみもあるし、一期一会の出会いなども見逃せないポイントだと思います。そして現行モデルは自分にはちょっとゴツい(笑)。今日の着こなしのようなプレーンな服装にも、このRef.1016なら自然に馴染むように感じます。
そして、僕自身がサブカル好きというところも現行品を選ばないポイント。何かしらのサイドストーリーを持つアイテムが好きなんです。たとえばGMTマスターならチェ・ゲバラが愛用していたとか、スティーブ・マックイーンのサブマリーナー(Ref.5513)は、2009年にオークションに出品されたとか。
コレクションに広がりを見せた“茶系”ロレックス
原 その人が言うには「今、神戸にいるんですけど、原さんの探していたルートビア、とあるショップで見つけました。良かったら押さえておきますよ?」と。とにかく突然だったし値段もそれなりだったので「一日待ってもらえませんか」と慌ててペンディング。しかし熟考の末、結局購入することになりました(笑)。こういった出会いもストーリーといえばストーリーと言えるので。
原 ロレックスやチューダーは実用品として非常に使いやすく完成された時計です。ほとんどの服装やシーンにハマる高い汎用性もひとつの魅力。そしてヴィンテージであれば一期一会の楽しみやサイドストーリーも豊富です。そういったことから、自然と同好の士が身の回りに増えていくところが実にユニーク。
もちろん時計趣味というと、スイスの雲上ブランドなどもあるのでしょう。しかし、ロレックスはいろいろな意味で適度にカジュアル。マニアすぎでもないし貴族っぽくもないので、ざっくばらんに語り合えるところがイイと感じます。ただ知り合いを増やすと、不意に電話が掛かってくることもあるので注意が必要です(笑)。
● 原 健介 (株式会社 野原 代表)
広告カテゴリーに関わるマーケティング会社の経営者。大手広告代理店を経て独立。企業案件のデジタルマーケティングやコンサルティングをメインに手掛ける。その他、IPOのためのブランディングなど硬いモノから柔らかいモノまで、業種にこだわらず幅広く取り扱う。