2018.04.12
【バーゼル速報10】
名門マニュファクチュールのゼニスが展開する新戦略
世界最大規模の時計見本市が、スイスのバーゼルで行われる「バーゼルワールド」。著名な時計ブランドが多数出店するなかで、静かで熱い地殻変動がおこっている模様。そんななかから、LEON.JPが注目する時計ブランドの最新作と、目が離せないブランドの動向をご紹介します。新作、新機構などの開発が目白押しの、ゼニスです。
- CREDIT :
写真/小林孝至 取材・文/福田 豊
◆ ゼニス
新製品の開発が目覚ましいゼニス
そして迎えた3月のバーゼルワールドでは、予定されていた「デファイ ラボ」の新作が残念ながら間に合わず、関係者はなんだか申し訳なさそうにしていました。ですが、そんなことはまったくなく、そういうことも起きるほうが、好ましい気がするのです。
というのも、以前、某高級時計店の社長がこんなことを言っていたことを時々思い出すからです。「時計の開発には時間がかかるのだから、毎年、驚くような新作が発表されるというのは、とても不自然。毎年見せられると丁寧に作っていないように思えてしまう」と。
そのとおりだと思うのです。2000年代の中頃、誰も彼もがトゥールビヨンなどの超複雑機構の開発で競い合っていたころは、急ごしらえの荒っぽい仕上げのプロトタイプの新作が少なくなかったですから。なので、たまに予定通りにいかなくても、それはむしろ安心します。一生懸命作っているんだな、と思えるのです。
進化した新機構、新モデルを続々展開
「デファイ エル・プリメロ21」、「デファイ ラボ」に続く「デファイ」シリーズの第3作としてシンプルな中3針コレクション「デファイ クラシック」を発表。搭載されるのは「エル・プリメロ」と並ぶ名ムーブメント「エリート」で、脱進機にシリコンを使用し、初のオープンワーク化がなされるなど、随所に進化を見ることができるモデルです。
大作「クリストファー コロンブス」で開発された、調速脱進機構を常に水平に保つ「グラビティコントロール」を小型化した「デファイ ゼロ」も見応えたっぷり。
また、パイロットウォッチはゼニスが時計界で唯一、ダイヤルに「PILOT」と表記することのできる、ゼニスにとって特別なカテゴリー。その新作も、ステンレススティールケースのエイジド仕上げや、ブロンズケースなど、魅力的なモデルが多数揃いました。
そして来年は、歴史的名作クロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」の誕生50周年。となれば、それを祝したスペシャルモデルが登場することは必至。かなり気が早いですが、いまから楽しみでしかたがありません。
バーゼルワールドとは?
「BASELWORLD」=「バーゼルワールド」は、毎春先にスイスのバーゼルで開催される、世界最大級の時計宝飾見本市。そもそもはスイスの主要産業である工業製品を国内外に披露する「スイス工業展」が起源で、昨年100周年を迎えました。
そんな長い歴史と伝統から、市民にとっては“年に一度の祭事”のようになっており、チケットを買えば誰でも入場できる、まさにお祭りのような明るくオープンな雰囲気が特徴。週末には、友だち同士や、カップル、ベビーカーを押した家族、老夫婦、犬連れの方など、さまざまな来場者が皆うれしそうに時計を眺めている姿を見ることができます。
■ お問い合わせ
ゼニス 03-5524-6420